皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

榎夜

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131話

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メイド長と共に自室に戻ると、中にはカーラとユリ、あとはジュリアがベットメイキングをしている最中でしたわ。

仕事中に申し訳ないけど、ちょっと急ぎの内容なのでカーラに

「話があるのだけど少しジュリアを借りてもいいかしら?」

と尋ねると、一瞬驚いた顔をしましたがすぐに

「もちろんです」

とジュリアが持っていたシーツを受け取って私の前へと促してくれましたわ。

そんなジュリアに

「早速で悪いのだけど単刀直入に話しますわね」

と前置きをしてさっきメイド長と話をした内容を伝えましたわ。

ジュリアがメイドとして働くことは別に悪い事ではない、ということも加えて、他のメイド達に全てを説明してもいいか、と聞くと、ジュリアは

「私は最初から全て話してから働くものだと思っていました。なので隠しておくよりかは言ってもらった方が私も働きやすいです」

考える間もなく、即答でそう答えましたわ。

しかも迷っている、という様子もなくしっかりと私の目を見て。

その姿を見た私は

「自分で言っておいて今更意見を変えるなんて本当にごめんなさい」

と言ってジュリアに頭を下げました。

本当に申し訳ないと思っていますし、私の行動が逆にジュリアの居場所を奪ってしまうことに繋がってしまったことへの謝罪です。

ジュリアの

「頭を上げてください。その件については私も同意して決まったことですし」

という言葉で頭を上げましたが、その顔は怒っている、という様子ではなく、ただただ穏やかな顔で何を考えているのかさっぱりわかりませんわ。

でも、そんな表情なのに不思議と恐怖心のようなものはなく、逆に優しさのような、そんな雰囲気を感じました。

そんなジュリアのことを思わず凝視している私に、

「正直、説明をしたときにメイド達の顔を見たら納得していないな、と思ってはいました。それにどう接して良いのか戸惑っている雰囲気も」

そう言って苦笑するジュリアはなんだか悲しそうに見えましたわ。

でもすぐに

「なので私からも皇妃様にはお願いしようと思っていたので気にしないでください」

そう言ってきたジュリアの顔は私を安心させる為なのか、心配させないように、と思ってくれたのかとても優しい表情ですわ。

そんなジュリアに

「ありがとう」

とだけ言うと、話を聞いていたユリが

「っていうことは、今からメイド達にも話をしに行くんですよね?」

この場の雰囲気を変えるように、明るい声でそう聞いてきました。

なのでユリに

「そうね。皆にも事実を隠そうとしたことを謝らないと」

と苦笑をすると

「だったら私も一緒に謝りますよ。お嬢様の提案に頷いた責任もありますしね」

任せてください、という様子でユリがそう言うと

「あら、それを言ったら私もね」

カーラもふんわりとした雰囲気で微笑みながらそう言ってくれました。





その後、すぐにメイド達にジュリアのことを説明しましたわ。

最初は驚いた顔をして聞いていたメイド達でしたが、ジュリアの家のことも軽く、簡単に説明すると皆が

「なんでちゃんと説明してくれなかったんですか!」

と、怒っているような、そんな反応をしていました。

中には

「皇妃様がジュリア様のことを気に食わなくて、わざとメイドにしたのかと思っていました」

なんていう声もあって、やっぱり隠し事は良くないことだ、と改めて思いましたわ。
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