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211話
しおりを挟む首を傾げている料理長に
「料理長ってお付き合いしている人はいますの?」
と率直に聞いてみましたわ。
急に私がそんな質問をしたものですから、料理長の近くにいたユリは驚いた顔をしていますが、なんだか興味津々ですわね。
その様子では、まだ料理長に聞いていなかったんですのね。
なんて思いながら料理長を見ると丁度、オーブンで焼いていたお菓子が焼きあがって鉄板を持っていたんですが
「えっ!?えぇ!?」
と驚いていますわ。
がっしりとした筋肉のおかげで鉄板を落とすことはありませんでしたが、明らかに戸惑っていますわね。
顔を真っ赤にして、早く置いた方が良いのに鉄板を持ったまま固まってしまいましたわ。
そんな料理長が、なんだか面白くて
「あら?その様子ではいませんのね?」
そう言ってニッコリと微笑むと、料理長は赤かった顔をさらに耳まで真っ赤に染めて
「こ、皇妃様もそんな話をするんですね」
なんて言いながら、やっとのことで鉄板を台の上に置いていますが.........なんだか思っていた反応と違いますわ。
料理長のことだから、お付き合いしている人が居なかったら
「こんなおじさんを好きになる物好きなんて居ませんよ」
という返事がきて、居たら
「いやぁ......実はいるんですよね」
くらいの軽い返事が来ると思っていたんですけどね。
なんて思いながらチラッと横を見ると、私を大声で呼んだメイドも、料理長の彼女さん、というのは興味津々のようで持っているシーツをそのままに、調理場の入り口のところで固まってしまっていますわ。
皆から注目されている料理長は少し気まずそうにしているので、それは申し訳ないと思いますけど。
なんて思っていると、料理長は赤い頬をポリポリと掻きながら
「付き合っている、って人はいないんですけどね。気になっている人は......まぁ.......」
と言ったかと思うと、
「これで勘弁してください!」
そう言って鉄板に乗っているお菓子の盛り付けに入ってしまいましたわ。
あら、焼いていたのはマドレーヌでしたのね。
ユリの好きなものですが......知っていて作ったんでしょうか?
そう思ってチラッとユリを見ると、私の視線に気付いたのか、一瞬目が合うとすぐに逸らされてしまいましたわ。
うーん......この2人、明らかにお互いを意識しまくっている、と私は思うんですけど。
そう思いながら2人を眺めていると、私の横にいたメイドも
「うーん.......この2人、もう付き合ったらいいのに」
ポツリとそう呟いたのが聞こえてきたので、パッとメイドの顔を見るといたずらが成功した子供のような笑みをして、その場を後にしましたわ。
それに続いて私も
「一旦部屋に戻りますわね。ユリ、出来上がったら持ってきてくれるかしら?」
ユリにそう声をかけると
「わ、わかりました!」
と返事をしてくれましたが、戸惑いを隠しきれていませんわね。
本当に.....もう付き合ったらいいのに、というのが私の感想ですわ。
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