皇妃になりたくてなったわけじゃないんですが

榎夜

文字の大きさ
213 / 314

212話

しおりを挟む
それから1週間後。

今日はライア様の処刑日ですわ。

..........と言っても、やはり処刑というのはあまりいいものではありませんからね。

出来ることならもう二度とこんなことが起こらないようにしたいところですが、状況を考えると難しそうですわね。

とっても気が乗らないですが、アルフレッド様が買ってくれた黒いドレスを着て、時間まで待機していますわ。

黒いドレスはエンペラードレスで銀の蔦のような刺繍の入ったとても綺麗なドレスですわ。

正直、こんな時に着るようなドレスじゃなかったら気に入って、週一で着たいと思うくらい気に入ったんですが、意外と黒のドレスも良いものなんですのね。

そう思いながら、執務室で大きなため息をついていると、時間を空けるために必死に仕事を片付けているアルフレッド様が

「どうしたんだ?急にそんなに大きなため息をついて」

と心配そうな顔をして聞いてきましたわ。

正直、私も思っていた以上に大きなため息だったので、少し驚きましたが.......。

あ、実はフェルマー様が解雇された、ということで、次の宰相が決まるまでの間私が補佐をしていますの。

もちろん私も自分の仕事があるので、たまに2人で書類にかじりついている時もありますが、意外と今はどうにかなっていますわ。

まぁ、それは置いておくとして。

アルフレッド様につい

「いえ.......アルフレッド様から初めて貰ったドレスが、黒いドレスだというのはなんだか複雑な心境になりますわね」

と呟くと、まさかそんなことを言われると思っていなかったのか、物凄く都合の悪そうな顔をして

「あ........そういえば、そうだったな」

という返事が返ってきましたわ。

あ、別に不満があるわけではないんですのよ?

ただ単に、黒いドレスが最初だ、ということがなんだか........うーん.......。

そう思いながら

「まぁ、仕方のない事なんですが」

と私が言うと、アルフレッド様が焦ったような声で

「今度違うドレスも買うから、そんなに気を落とさないでくれ」

機嫌を取るようなことを言ってきました。

正直、私の持っているドレスに関しては何も困っていませんのよ。

だって、私がここに来るときにもドレスは持ってきていますし、お母様たちが来てくれた時にも他のドレスを持ってきてくれましたもの。

なので枚数だけで言うと大量にあるので、全く困っていませんの。

ただ......まぁ、何と言いますか.........言葉にしにくいですわね。

アルフレッド様に次の書類の束を渡しながら

「もちろん、ドレスだけが理由ではありませんわよ」

と私が言うと、わかっている、と言わんばかりに小さく頷きましたわ。

そんなアルフレッド様を見ながら

「このドレスを着るのは、一度だけにしたいですわね」

と私が呟くと

「あぁ、それは俺も同じ考えだ」

アルフレッド様は力強い視線でそう呟きました。

はぁ.......本当に、今回だけにして欲しいですわね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

処理中です...