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23話 ハルトside

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俺とマリアンヌの出会いは留学先の学園だった。

王太子の婚約者として紹介されたし、最初は

「あぁ、この令嬢が王妃になるんだな」

という軽い気持ちだった。

でも、なんとなくマリアンヌに惹かれた自分に気付いた。

その時は婚約者がいるから、と自分の気持ちに気付かない振りをしていたが、気がついたときにはマリアンヌを目で追うようになっていた。

マリアンヌは優しいし、頑張り屋だ。

なのにそれを1番近い仲のはずの人達が誰も理解していない、という状況だった。

俺だったらマリアンヌを絶対幸せに出来るのに...。

それは叶わぬ願いだというのはわかっていた。

アリスとか言う令嬢と会ったのも、同じくらいの時期だった。

何度も言い寄られたが、全く魅力を感じない。

それどころか、あの令嬢と話すたび不快な気持ちになった。

それなのに、王太子含め、男性たちがあの令嬢に夢中になるのが不思議で仕方なかった。

どう見ても、マリアンヌの方が美人だし、優しいし、頭もいい。

色んな男に言い寄っている令嬢のどこがいいんだ?

そう思っていた。

卒業パーティーのとき、マリアンヌが断罪される、と偶然耳にした時は怒り狂いそうになった。

奴らが主張しようとしている内容は全て冤罪だったから。

それをマリアンヌにも説明したが、マリアンヌは別に構わない、と言って何の手も打たなかった。

今思うと、あんな婚約者から早く逃げ出したい、という思いからそんなことを言ったんだろう。

俺がマリアンヌの立場でも同じことをしたと思う。

だから俺はせめてもの救いとして、マリアンヌの友達のスカーレットに、マリアンヌが困っていたら連れてきて欲しい、と頼んだ。

俺は早めに帰国しなければいけなかったからな。

本当はまだ帰りたくなかったが仕方ない。

きっとスカーレット嬢が連れてきてくれるだろう。

そう信じて、俺はマリアンヌを迎え入れるための準備を始めた。

子供のいない公爵家に養子の話を持っていったり、父上に王妃にしたい人がいる、という話をしたり。

意外とやることが多かったが、マリアンヌを俺の婚約者にするためだったら頑張れた。

そうしているうちに、マリアンヌが到着した、という報告があった。

全て準備は終わっていたから、あとはトントン拍子に話が進んだ。

これでマリアンヌと結婚出来ると思うと、嬉しさで気が狂いそうだった。

それなのに、自分で婚約破棄したくせに再びよりを戻したいなんて身勝手にも程がある。

元々手に入っていたものを自分で手放したんだ。

恨むなら、自分のそのおそかな行動を恨むんだな。

そう思いながら、マリアンヌの元に向かった。
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