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29話 オリビアside
しおりを挟む「お嬢様、お手紙が届いてます」
はぁ...またですの?
手紙の差出人のところにはいつも通りマノン様の名前。
毎日毎日、飽きもせず手紙を送り付けてきますが、やることがないんでしょうか?
なんて思いながら、今日もいつも通り手紙を読まずに引き出しの中にしまいます。
本当は捨てた方がいいと思うんですが、何かあった時の為に残してありますわ。
もちろん、今の婚約者にもこのことは話してあります。
私の中で、マノン様と再び婚約をするなんて考えは一切ありませんし、やましいことは全くありませんもの。
新しく婚約を結んだ相手は、一回りくらい歳が違っていて、マノン様と同じく商会を経営している人ですが、性格は全く違うんですの。
私が従業員達と仲良くお話していると、嬉しそうに笑ってくれますし、なんだか一緒にいるだけで心が安らぎますわ。
来年、結婚するのが楽しみで今からワクワクしています。
そんな幸せな日々を過ごしていたある日、私の家に、マノン様のご両親が来るとの報告がありました。
キーファのところにも行った、と聞いていたので、こっちにも来るとは思いましたが、まさか私にまで婚約破棄の取り消しを言いに来たんでしょうか?
そう考えると、出来ることなら会いたくないですよね。
ですが、お父様が
「断ったら何回も来るかもしれない。今回で終わらせよう」
と言っていたので仕方ありませんわ。
「まさかマノンがここまで愚かだったとは思わなかった。本当にすまない」
そう謝ったマノン父の隣では
「オリビアさんはキーファさんと違って戻ってきてくれるわよね!?だって、無理やり年の離れた人と婚約しているんでしょう!?絶対マノンの方がいいわ!」
なんてバカげたことを言っているマノン母。
前々から少しおかしい人だな、とは思っていましたが、まさかここまでだとは思いませんでしたわ。
キーファさんに対しても、全く謝罪の意思が見えませんもの。
はぁ...とため息をついてから
「私が望んで婚約をしたんです。もし、その婚約がなくなったとしても、マノン様と再び婚約を結ぶことは有り得ません」
と丁寧に説明して差し上げました。
ここまで言わないと、マノン母は理解することが出来ないでしょうから。
するとマノン母は
「なんでよ!?はっ...そうね、マノンの商会の売り上げが悪いからこんなことを言ってるのね!オリビアさんがそんな人だと思わなかったわ!」
どこまで私を貶せば気が済むんですか。
大体、マノン様の商会の売り上げが下がっていなかったとしても、婚約は絶対にしません。
マノン様も好きじゃないですし、この人が義母になると考えるだけでも嫌ですもの。
マノン母に呆れていると
「はぁ......いい加減にしてくれるか?伯爵夫人。戻ってこい、と言っているくせに娘に対してその態度。誰が戻りたいと思うんです」
私が思っていたことを全てお父様が言ってくれましたわ。
本当にその通りです。
すると今まで黙っていたマノン父も
「そ、そうだぞ!キーファのときもそうだったが、お前には常識というものがないのか!」
と援護しましたが
「だって、あの子達は凄く反省しているのよ!?元の婚約者と一緒になりたい、って毎日のように手紙も書いて......可哀想じゃないの!」
「なんだと!?なぜそれを止めなかった!」
はぁ......なんかこんな人だと思っていなかったので幻滅しますわ。
「夫婦喧嘩なら外でやってくれますかね?それに謝罪したい、と言ってきたからこうして会っているんだ。謝る気がないなら我が家から出ていってもらいますよ」
キーファさんが二度と関わりたくない、って言った意味がよくわかりましたわ。
だって、私も同じことを思いましたもの。
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