どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~

榎夜

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1話

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会場にいる人達の前で、自ら不貞行為を告白した、と気付いていないフレグレッド様に

「殿下?つまりは、そちらの令嬢と婚約したいから私とは婚約を解消したい、と?そして、国にとって我が家は不要なので出て行け、ということでよろしいでしょうか?」

簡単に話をまとめて首を傾げながらそう尋ねると、

「ふんっ!田舎者の割にはよく理解しているではないか!無駄に父上から金を受け取っているだけある!」

はぁ.......この人は何を言っていますの?

田舎者、田舎者、と言いますが、そんな考えは今は時代遅れですわよ。

私たち辺境に住む者たちのおかげで、フレグレッド様達は平和に暮らしているんだ、と理解していないんでしょうか?

そう思いながら、チラッとフレグレッド様の隣に立つ令嬢を見ると、私に視線に気付いたのか

「ひっ!」

とわざとらしく大きな悲鳴を上げて子息達の後ろに隠れてしまいましたわね。

あらあら.....別に睨みつけたわけでもないのに、なんだか面倒ですわ。

きっと、こんな風にフレグレッド様のことも誑かしたんでしょうね。

なんて思いながら眺めていると、案の定令嬢の変化に気付いたフレグリッド様が

「アリスティア!ベネッサが可愛いからと睨みつけるとは何事だ!」

私のことを睨みつけながらそう言ってきましたわね。

はぁ......何が目的でこの令嬢を睨まないといけませんのよ。

もしかして、婚約者を奪われたから恨まれている、とでも思っていますの?

別にフレグリッド様を奪われたくらいでは、私は怒ったりしませんわよ。

これには思わずため息をつきそうになりましたが、目の前でイチャイチャしている2人を見るとそんな気力も起きませんでしたわ。

なので、とりあえず

「それで?この件はもちろん陛下の耳に入っていますのよね?」

と話を進めると

「はぁ?俺たちの婚約なのに、なぜ父上が関係あるんだ?」

フレグリッド様はキョトンとした顔でそう言ってきましたわね。

もしかして、この婚約がどのような約束で結ばれたのか、知りませんでしたの?

そう思った私は、これはチャンスだ、と言わんばかりに、フレグリッド様に

「だったら、すぐにでも陛下に婚約は白紙になった、とお伝えください。自分は婚約したい令嬢がいるんだ、と」

にこやかにそう言いましたわ。

まぁ、普通はこの言葉のまま伝えないだろう、と思いますが、フレグリッド様はおバカさんですからね。

きっと、陛下に私の言葉をそのまま言ってくれるでしょう。

なんて思っていると

「ふんっ!お前との婚約など白紙ではなく破棄だ!そこを勘違いするな!」

とフレグリッド様は言っていましたが、正直どちらでも良いですわよね。

私としては、この婚約がなかったことになる、という事実が嬉しいんですもの。

思わず上がりそうになった口角となんとか必死に下に下げている私に

「父上にはしっかりと伝えておいてやるから、早くこの国から出て行くんだな」

フレグリッド様はそう言うと、静かに扉の方を見ましたわ。

この行動の意味、それは会場から出て行け、ということですわね。

正直、私からするとありがたい、という思いしかありませんわ。

だって、このような空気の中、こんなところには居たくありませんもの。

今頃お父様と陛下達はお話をしている最中だと思いますが、私はお先に失礼させてもらいますわね。

なんて思いながら、スッと傍観者たちの横を通り過ぎて会場を後にしようとした、その時でしたわ。

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