どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~

榎夜

文字の大きさ
35 / 88

34話

しおりを挟む
さて、ディーヴァンに乗って空を飛ぶこと20分ほどが経った頃、ついにヌミア山に到着しましたわ。

といっても、空の上からどこに着地するか様子を見ているので、まだ山に着いた、とは言えないかもしれませんけどね。

空を飛んで20分......結構かかりましたが前に遠征に向かったとき何日かかったんですっけ?

確か戻ってくるのも合わせて、数週間はかかったような気がしますわ。

今はディーヴァンに乗って移動するのが基本的になってしまったので、距離間隔がわからなくなってしまいましたわね。

なんて思っていると

[やっぱりあの場所が一番いいな]

という声が聞こえてきましたわね。

ディーヴァンがあの場所、と言っているのはヌミア山の中でも足場が良さそうな場所ですわ。

あそこだったら、ディーヴァンから飛び降りた時に転んだりもしないでしょうし、私も嬉しいですわね。

そう思た私は

「そうですわね。足元も安定して良そうですし良いと思いますわ」

と言ってリュックの紐をギュッと掴みました。

すると、ディーヴァンは自分からあの場所が良い、と言っていたにも関わらず

[ただ、頂上までは少し歩かないといけないぞ?]

と心配そうな声で聞いてくるのでつい

「えぇ!?自分であの場所が良いと言ったじゃありませんか!」

なんて可愛げのないことを言うところでしたわよ。

本当に喉まで出かかっていましたが、言葉をグッと飲み込んで

「仕方がありませんわ。足場の悪いところに降りるよりも良いと思いますわよ?」

私がそう言うと、一瞬は躊躇していたディーヴァンでしたが

[それもその通りだな]

と最終的には納得してくれましたわ。

まぁ、内心では最初からそこに着地して欲しい、という感じでしたが.......ディーヴァンなりに私に対して気を遣ってくれたんでしょう。

そう考えたら、さっきの言葉に対して何も言えなくなりましたわ。

頂上まで歩く、ですか。

この場所だと大体30分くらいで行けるでしょうか?

なんて思いながら久しぶりのヌミア山に懐かしさを感じました。


ゆっくりと下に降りたディーヴァンから飛び降りた私は

「久しぶりですわねぇ」

と言って大きく息を吸うと、リーファイ様が言っていた通り王都よりも空気が冷たいような気がしましたわ。

ジャケットを着ていなかったら確かに寒かったですわね。

なんて思っていると

「そうだな。相変わらず歩きにくい場所だ」

竜の姿から人の姿に変わったディーヴァンが、眉間に皺を寄せてそう言いましたわね。

これに関しては、こんな足場が悪い中、ディーヴァンとの契約の為に歩いて行ったんだ、という感じですわよね。

ただ、流石に私の意思でやったことですし、それを言われるのは違うのでは?と思った私は、

「そんな場所にディーヴァンはずっと居たんですのよ?」

とだけ言って苦笑すると

「む.......まぁ、それはそうなんだが.........」

私の正論に言い返すことが出来ず、難しそうな顔をして黙ってしまいましたわね。

ま、まぁ......とりあえず、あまり夜遅くならないよう、急いで山を登りましょうか。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

「お前との婚約はなかったことに」と言われたので、全財産持って逃げました

ほーみ
恋愛
 その日、私は生まれて初めて「人間ってここまで自己中心的になれるんだ」と知った。 「レイナ・エルンスト。お前との婚約は、なかったことにしたい」  そう言ったのは、私の婚約者であり王太子であるエドワルド殿下だった。 「……は?」  まぬけな声が出た。無理もない。私は何の前触れもなく、突然、婚約を破棄されたのだから。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

処理中です...