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37話
しおりを挟むディーヴァンの背中をついて行って、どんどん洞窟の奥の方に進んでいくのは良いですが........
「あ、あの.......どこまで奥に進むの?」
あまりにも到着までに時間がかかるので、思わずそう聞いてしまいましたわ。
だって、辺りを見渡す限り岩や石......他には水滴?くらいで、景色が全く変わらないんですもの。
それなのに、ディーヴァンは分かれ道なんかがあっても迷うことなく前に進んでいきますし、私からするといつまでこれが続くのか、と考えてしまいますわ。
なんて思っていると、ディーヴァンは
[まぁ、結構歩いたからな。もうそろそろ到着するぞ]
苦笑しながらそう教えてくれましたわね。
もうそろそろ、と言われましても......ディーヴァンのもう少しとかは感覚がおかしいんですのよね。
30分くらい歩くときもあれば、10分ほどで到着することもある、という.......。
竜からすると、数十分くらい時に変わらない、という感覚でしょうし、仕方がないんでしょうけどね。
なんて思いながら、ディーヴァンの言葉に
「そ、それなら良いけど..........」
と苦笑を返しましたわ。
まぁ、きっとディーヴァンも急いで兄弟に会いたいでしょうし、きっとすぐに到着しますわね。
えぇ、そうだと思っておきましょう。
そんなことを思いながら、ディーヴァンの背中を追いかけること、約5分。
[戻ったぞ。ディーヴァンだ]
という声が聞こえてきて、反射的に辺りを見渡してしまいましたわよ。
だって、ディーヴァンは明らかに誰かに向かって声をかけていますが、目の前は真っ暗で何も見えませんし......そもそも、本当にここであっているの?と心配になるくらい何もないんですもの。
うーん...久しぶりすぎて、間違えてしまった、とか?
ですが、間違えたとしてこれほど自信満々に声をかけることはしませんわよね?
なんて思っていると、暗闇の奥の方から
[お、お兄様?]
というさっきを同じ可愛らしい声が聞こえてきましたわ。
声が近い、ということは.....確かに近くにいますのね。
そう思った私は、意識を集中させて暗闇のどこに気配を感じるか、探してみることにしましたの。
まぁ、なんといいますか......気配を察知する、みたいなものですわね。
正直あまり得意な方ではないので自信はありませんが、竜くらいの大きな気配なら流石の私も察知できるでしょう、と思いましたのよ。
ディーヴァンはそんな私に気付いていないみたいで
[やっぱり、さっきの声はシャリューアだったんだな]
と言って一歩、前に進んだので、私もディーヴァン同様に前に進んでみましたわ。
すると、ちょうど私が立ち止まった目の前に、完全に気配を感じましたわね。
ディーヴァンのものではなく違うもの.....ということは声の主はここにいるんでしょうけど......きっと私をここまで連れてきてくれた、ということは見ても良いんですのよね?
そう思った私は、顔を上に向けてシャリューアと呼ばれた竜の姿を確認してみることにしましたわ。
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