どうやら我が家は国に必要ないということで、勝手に独立させてもらいますわ~婚約破棄から始める国づくり~

榎夜

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52話

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私の鞄の中、ですか......。

それは考えてもいなかったですわね。

そう思った私は、恐る恐るではありましたがコシューミアに

「この中に入れますの?」

と鞄を開いて聞いてみましたわ。

確かにコシューミアくらいの大きさであれば鞄の中に入りますし、強い風に飛ばされてしまうことはないでしょう。

ただ、こんなに狭いところに入っていていいのか......。

ほら、竜って火を吹いたり、羽を広げたら思っていた以上に大きかったり、とかで狭いところに入れてはいけないと思っていましたのよ。

まぁ、小さい頃の竜と一緒にいるのは私が世界初でしょうし、勝手な想像でしかありませんけどね?

そう思いながら様子を窺っていましたが、意外にもコシューミアはリュックの匂いをすんすんと嗅ぐと

『ぴぃっ』

という声と同時にリュックの中に入っていきましたわ。

しかも、その時のコシューミアの表情がもう、可愛くて可愛くて......思わずリュックごと抱きしめそうになりましたわよ。

ただ、今は少し急いでいる、ということもあって抱き閉めたくなる気持ちをグッと堪えましたけどね。

これから何回でも抱きしめることが出来るんですから、今は我慢ですわ。

なんて思いながら、一応念のために

「これは......大丈夫ってことですわよね?」

とディーヴァンに尋ねると

「そういうことだな」

素っ気ない返事ですが、なんだかソワソワしていますわね。

.....もしかして、このリュックを背負ってみたい、とか思っていたりするんでしょうか?

私としては、そんなディーヴァンの姿も見てみたいので、リュックを背負いたいなら喜んで貸しますけど.....。

なんて思いながら、思わずニヤニヤしてディーヴァンを見ていると、私の笑みに気付いたんでしょう。

「じゃあ、急いで開けた場所を見つけるぞ。このままだと、帰るのが遅くなってしまう」

パッと背中を向けられてしまいましたわね。

まぁ、ヘタに色々と言っても拗ねてしまうので

「えぇ、わかりましたわ」

と言って頷きましたが、ディーヴァンも素直になればいいんですけど......。


そんなことを思いながら歩くこと10分。

行きでは20分ほど歩きましたが、半分の時間で良い場所を発見できましたわ。

しかも降りた場所よりもいい場所で、なぜ最初からここに来られなかったのか、不思議にすら思ってしまいましたわよ。

「さて、じゃあ行くか」

と言って人間の姿から竜の姿に変わるディーヴァンを横目にリュックの中を確認すると、そこには可愛らしく寝息を立てているコシューミアの姿が.........。

これは.........っ!

思わずリュックを落としそうになるくらいの可愛さですわね!

そんな私の様子をみたディーヴァンは不思議そうな顔をして首を傾げていましたが、鞄の中を見せると私の動きの理由も納得してくれましたわ。

あぁー......こんなに可愛い子とこれから一緒だなんて......。

婚約破棄してから一気に運気が上がった気がしますわね。
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