幼馴染で婚約者の私より、貴方は運命の相手の方が大事ですのね

榎夜

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2話

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令嬢たちの鋭い視線に気付かないジオルグ様は

「いいからここで話そう。俺はどんな話でも聞かれても構わない」

そう言ってリーア様の腰を抱くように引き寄せましたわ。

ここでリーア様が私に対して、勝ったような、そんな表情を浮かべる様な人だったら私も怒ることが出来たんですけどね。

リーア様は急に近付いたジオルグ様から

「ち、近すぎます!」

と必死に離れようとしていますわ。

この姿を見ても、令嬢たちはリーア様が子息達を誑かした、なんて話になるんですから迷惑なものですわよね。

なんて思っていると、私がジオルグ様と何か話しているのに気付いたお兄様が

「ジュリエッタ?一体どうしたの?」

と驚いた顔をして駆け寄ってきましたわ。

なので

「いえ......このまま、訳の分からない状況が続くくらいだったら、この際ハッキリさせた方が良いと思いまして。それでテラスの方に誘ったんですが、一向に移動してくれませんの」

と肩をすくめると、お兄様は大きくため息をつきましたわ。

ここ最近の我が家の話題は、私の婚約について、ということが多くなりましたの。

もちろん、原因はジオルグ様のせいで、ですわ。

ここ最近のパーティーで、ジオルグ様がリーア様をパートナーとしてエスコートしていることはお父様達の耳にも入ってきています。

ジオルグ様の両親の耳にもしっかりと入っている情報なので、毎回パーティーのたびに謝罪の手紙や品が届いているんですわ。

それに、ジオルグ様のことは好きですが、ここまで常識のない事ばかりしていると結婚しても良いことはありませんからね。

きっと結婚した後もリーア様を愛人のように囲おうとするでしょう。

なので、普段は見て見ぬ振りを続けてきましたが、流石にハッキリさせたい、と思って近付いたのが今日の行動の理由なんですの。

私がお兄様に言ったことに対して、ジオルグ様は

「は?ハッキリさせるって、一体何のことだ?」

と驚いた顔をしていますわ。

ジオルグ様は私が何も言ってこなかったのに、急にハッキリさせる、とか言われてもピンとこないんでしょう。

そんなジオルグ様に

「そのままの意味ですわ。この状況をいつまで続けるのか。私との婚約を白紙にしたいのか、その他のことも含めてハッキリさせたい、と言っていますの」

今までにないくらい、私の想いをハッキリと伝えましたわ。

多分ですが、今のジオルグ様にはここまで言わないと何も理解してもらえない、と思いましたもの。

すると私の言葉に驚いたのか、自分で引き寄せたリーア様をパッと離して

「ちょ、ちょっと待ってくれ。急にそんなことを言われても..........」

と、オロオロとし始めました。

なんでしょう......ジオルグ様のことはまだ好きだと思っていましたが、情けない姿を見せられると急に冷めていきますわね。

あ、でもまだ情はあるので婚約破棄だ、なんて騒ぐことはしませんわ。

巷では、パーティーで婚約破棄を叫ぶような出来事が多発している、と聞いていますけどね。

なんて思いながら、顔色を悪くさせているジオルグ様に

「急に、などと言いますが自分の行動を考えてみたらどうでしょう?ジオルグ様の行動は流石に目に余りますわよ」

と冷たく言うと、なぜかジオルグ様は

「だって、リーアが寂しがっているんだから仕方ないだろう!」

と逆上してきましたわ。

はぁ.....その行動は私よりもリーア様の方が大切だ、と言っているのと同じようなものですが、わかっているんでしょうか?

つい、大きくため息をつきたくなりましたが、周りの人達もいるのでグッと堪えて

「リーア様が寂しがっているとしても、子息達が常に群がっている状況で令嬢の友人が出来ると思っていますの?本当にリーア様のことを思うのでしたら、同性である私との仲を取り持って仲良くさせたりとかいろんな方法があると思いますわよ?」

と首を傾げながら言うと

「それは.....だな.........」

これに対しては何も言えないのかモゴモゴと口を動かしていますわ。

さて、ここまで言ったんですから、これで改善されないのであれば他の手を考えるとして、今はジオルグ様の様子を見る、ということにしておきましょう。

そう思った私は、都合の悪そうな顔をしているジオルグ様に

「とにかく、自分の行動を少し見直してくださいませ。このパーティーをぶち壊すようなそんなことはしたくないので、失礼しますわ」

と言って、ジオルグ様達から離れましたわ。



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