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10話
しおりを挟むそれから数年後、お父様はお母様に飽きてしまったのか、浮気三昧だったらしいです。
その浮気相手の1人が義母でした。
義母は一般的に見て、美人さんです。
そして、媚びを売るのが得意なんです。
そんな義母にのめり込んだお父様はお母様が邪魔になった。
でも隣国との繋がりの為、と嫁いだお母様と離婚するなんてことは出来なかった。
それに義母は平民ということもあるので、離婚して平民と結婚するなんて醜聞として広まるでしょう。
それを恐れたお父様は王妃に相談したらしいです。
その頃、やっと次期王妃の座についたものの、仲は最悪。
愛する人を他国に追いやった女を好きになることが出来なかった陛下に痺れを切らしていたらしいです。
そんなときに、お父様からの相談を受けたものだから喜んで協力したんだそう。
衰弱死したように見せる為、毒を用意したらしい。
そして、私が5歳になったとき、お母様はついに限界を迎えてしまった。
その1週間後には義母と義妹が現れたから、お父様もお母様がもう少しで死ぬことがわかっていたんだろう。
王妃はというと、お母様が亡くなったと知らせを受けて衰弱した陛下に擦り寄って上手く結婚したらしい。
「これらを調べあげるのに時間がかかってしまった。流石に王妃が関わっていては下手に動くことが出来なかったからな」
と締めくくった伯父様の目には憎しみが宿っていた。
話を聞いている最中、伯母様が私の手をずっと握ってくれていたおかげで、なんとか冷静を保つことが出来た。
でもわからない。
なぜ自分の為に他の人を犠牲にしてのうのうと生きていけるのか。
私なら罪悪感に押し潰されてしまうだろう。
そう考えていると横から
「ユーフェミアちゃん、本当は貴方のお母様が亡くなった時、私達が引き取るはずだったのよ」
と言う伯母様の優しい声が聞こえてきた。
「え...?」
「貴方があっちの国の殿下と婚約者になってしまったから、それは叶わなかったけど......」
そう言って苦笑する伯母様の言葉にマリウスも叔父様も頷いている。
つまり、殿下のせいで私はあの地獄のような場所にずっと居たってこと...?
私が殿下の婚約者になってしまったから...
そう考えると、元々嫌いだったアレックスに対して激しい嫌悪感が押し寄せてきた。
伯父様が
「ユーフェミア、私は殿下との婚約を白紙に戻そうと思っている」
と言った目にはさっきの憎しみは消えて、決意のようなものが感じられる。
すると、私が返事をする前に
「そんなの当たり前だ。元々、あっちから婚約破棄しようとしていたらしいからな」
とマリウス様が吐き捨てるように言った。
こっちの国にまで噂が広まっていたんですか?
それは恥ずかしいというか、なんというか......
と思っていると伯母様が
「マリウスの友達が隣国に留学していたのよ。それでわざわざその噂を教えてくれたの」
と教えてくれた。
「ユーフェミアが幸せに暮らして居るなら、と思っていたが手紙を送っても返事が返ってくることはなかったし、この噂を聞いて黙っていれなかったんだ」
と伯父様が言うのに驚いてしまった。
手紙?送ってくれていたんですか?
そんな話聞いたこともなかったし、勿論渡されたこともありませんでした......。
お父様か義母の仕業ですね。
流石にこれには怒りが込み上げてきます。
「殿下と婚約破棄したいです。それから、あっちの国の陛下と王妃様に手紙を書きたいんです。それも一緒にお願いしてもいいですか?」
そう言って、上手く笑えているかわかりませんが、自分なりに精一杯微笑んだ。
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