殿下が探しているシンデレラは貴方の嫌いな私です

榎夜

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35話

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あの話から1ヶ月が経ちました。

レオンハルト様は正式に王太子となりました。

陛下として即位するのはレオンハルト様が勉強してからになるみたいですが、優秀な方なのですぐに終わるだろう、と言われています。

それから、今まで公表していなかった私とレオンハルト様の婚約も発表しました。

理由としては、レオンハルト様って、凄く人気があるんですよね......。

それもあって、レオンハルト様宛に縁談の申し込みが殺到してしまったらしくて、立太式の時に公表したんです。

あの時は久しぶりに色んな人からの悪意を向けられましたね。

少し怖かったですが、隣にレオンハルト様が居てくれたので何も起こりませんでした。

でも、これからはお茶会とかにも参加をするので気を引き締めておいた方がいいですよね。

そう思いながら私は今、王宮の廊下を歩いています。

一応、マーランナ国で王妃教育を受けていたんですが、念の為に再教育を受けることになったんです。

マナーなどは問題ないと言われましたが、ナルジェンダ国のことは知らないことが多いので学ぶのが楽しいです。

すると、前から誰かが歩いてくるのが見えました。

あれは......『ジュリア・メリアス』公爵令嬢ですね。

ヤンヌ様の元婚約者で、新しくなった宰相の娘だそうです。

ジュリア様も私に気付いたみたいで

「あら?ユーフェミア様、御機嫌よう」

と挨拶をしてきました。

何度か一緒にお茶を飲んだことがあるんですが、とても優しくて、一緒にいると穏やかな気持ちになるんですよね。

「ジュリア様。御機嫌よう」

「王妃教育の方はどうですか?」

可愛らしく首を傾げてそう聞かれたので

「学ぶことが沢山あって、とても楽しいですわ」

と私が答えると

「それは良かったです」

そう言って微笑んでくれました。

最近聞いた話なんですが、ジュリア様はヤンヌ様のことがそんなに好ましく思っていなかったらしいんですよね。

ジュリア様の話を聞くと、ヤンヌ様はアレックス様と同じ系統の方でしたね。

そりゃあ好ましく思えないのも仕方ないですわ。

今はヤンヌ様との婚約は解消されて、新しく婚約者がいるみたいです。

相手とは家同士仲が良くて幼なじみなんだとか。

ヤンヌ様の婚約者になっていなかったら、婚約していた、とのことです。

幸せそうに話してくれたジュリア様を見て、私も嬉しい気持ちになりました。

やっぱり、いくら政略結婚になるかもとはいえ、相手のことを蔑ろにするような相手とは上手くいきませんよね。

「では、失礼しますわ」

そう言ってジュリア様は立ち去りました。

私もこれから王妃教育です。

レオンハルト様も今、勉強をしているんでしょうね。

「私も頑張りましょう...!」

誰もいない廊下でそう呟いた。
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