(完結)記憶喪失令嬢は幸せを掴む

あかる

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ジークとグレン

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    迎えが来る前に、ジーク様が上質な生地を使った服に着替えました…という事は、勘違いではなく、それなりの立場にいる方なのでしょうか?

    迎えに来て下さった方々は、グレン様と同じデザインの服を着ているようで、やはり帯剣しているようです。
    私には覚えはないですが、何かの制服でしょうか?

「さあ、マリー、乗って」
「そちらの方は?」
「拾った。恐らくどこかのご令嬢だと思うんだが」
    不審がる皆様に、グレン様が補足説明して下さいました。
「という訳だ。身元調査は任せる」
「何がという訳なんですか…全く、これ以上の仕事を増やさないで下さい」

「あの…グレン様はどういう立場の方なのですか?」
「近衛です。まあ、ジーク様とは腐れ縁で…趣味が同じなのもあって、ここには度々来るのですが」
「ええと…ジーク様は…」
「俺は王太子。ジークハルトって、聞き覚えはない?」

「…ええと…でも、まさか王太子殿下だったとは…知らぬ事とはいえ、数々のご無礼お許し下さい!」

「ああ、いいって。俺も何も言わなかったしな。でも、エランド王国の名まで知らなくはないよな?」
「そ…れは…隣国の…!頭が」

「…あー。俺って結構有名だから、知らないならそうかもとは思っていたけどな。まあ、川に流されて来たなら、アシュトン王国辺りだろうな」

「ジーク様、取り敢えず出ませんか?マリー嬢を休ませてあげたいですし」
「おう。そうだな」

    頭がズキズキ痛みます。アシュトン王国は、確かに私の国です。そして、エランド王国とは確かに、川が繋がっています。
    不思議な物です。自分の事は何一つ思い出せないのに、そんな所だけ覚えているなんて。

「焦る事はないさ。そこまで分かったなら、すぐに身元も判明するだろう。何故川を流れて来たのかも」

    ゾクリ、と悪寒が走りました…何か、とてつもなく嫌な気持ちになるのです…
「どうした?」
「いえ…私は、誤って川に転落したのでしょうか?」

「さあな。けどうちの近衛は言わなくても事件と事故の両方で調べてくれるだろう」

「ご迷惑を…おかけ致します」
「全然?調べるのは俺じゃないし。それに子供は大人に頼るもんだぜ」
「私は…それほど子供ではないと思うのですが」
「そうなのか?」
「だって…私は、大人になり、権利が発生して…うっ!」
「あぁ、焦るなよ。今はどうしようもないだろう?」

    今着ている服ではあんまりなので、ワンピースを買って頂いた。
    落ちつき次第、ちゃんとした物を頂けると教えられ、恐縮しきりです。

    その上、王宮では客人扱いで…只でそんな扱いをされる訳にはいきません。もし家が貧乏だったらどうするのでしょう?とてもお返し出来ません!

    
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