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ジークハルトの想いと、真実
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俺は迷っている。真実を告げるべきか否か。
マリーは、侯爵令嬢で、跡目を継ぐ事を期待されていた令嬢だ。
マルローネ エストファイム…彼女には、姉と婚約者がいた。
婚約者は伯爵家の三男で、今は姉のエルシーナと婚約関係にある。
谷底から馬車の残骸が見つかり、マルローネは川に流されて死んだと目されている。
彼女の両親は事故で亡くなっているが祖父は健在で、その祖父が優秀なマルローネを次期当主と決めた。
そうして、成人の儀も終えたマルローネを当主にすべく手続きを終え、あとは本人にサインさせるだけだったが、当主である祖父の突然の病という嘘の報告を受けた…が、それは姉と婚約者の策略だった。
その頃には領主代行としてマルローネが既に仕事に携わっていて、当主は王都でする仕事をこなしていたので、離れて暮らしていた。
エストファイム領は我が国とも近い僻地にあり、王都に向かう途中には山を越えねばならず、そこでマルローネは事故死とされているが、婚約者のアレクに雇われた御者もこちらで押さえてあるし、途中で事故を装うよう命令された事も白状した。
道は実際、きちんと整備されていて、意図的でない限り落ちるのはあり得ない。
当主の代変わりは行われていない。現当主である祖父のレオニダスがマルローネの事を諦めていないからだろう。
マルローネからすればショックだろう…婚約者と姉に殺されそうになったなんて。それこそ記憶を失うほどの。
ならばこのまま事実を伝えず、俺の妻として…エルランド王国の王太子妃として迎えるのが良いやり方か?
ジークハルトは、力無く頭を振り、次の瞬間には目つきを鋭くした。
そんなやり方は間違っている!黙ったまま一生俺は、マリーに嘘をつき通すのか?
今のままだとマリーは領主として領地に帰ってしまうだろう。
王太子である俺は、マリーに付いて行く事は許されない。
せめてマリーが俺を好いていてくれたら…
板にしがみつくようにして流れて来た令嬢…あちこち傷だらけで、正直生きているとは思わなかった。
身軽な俺がグレンが止めるのも聞かず、上着を脱いで助けた。
小さくて、折れそうに細くて、本当に子供だと思った。
正直、猫を拾った感覚しかなかったし、仕事を任せたけど期待なんてしてなかった。
だけど意外な事に、身につけている教養は予想以上で、まともなドレスを身に付けてからは、化けたな…驚いた。
化粧なんてしなくても綺麗な肌と、自然な色の唇は紅を引かずとも魅力的で、成人したら告白しようと思った位だ。
実際、調べてみたら成人してた事には驚いたが。
最近のマリーは、最初の頃の借りてきた猫みたいに縮こまっているような事もなく、与えられた仕事に応えられる自信がさせるのか、溌剌としていた。
そんな姿を見てしまったら、手放したくなくなるのは当然で、マリーとなら手を携えて生きていけると感じたんだ。
そんな風に感じたのはマリーが初めてだ。他の令嬢と会って話してもうわべだけで中身がない。ご機嫌取りしてますっていうのが見え見えで、閉口してしまう…もう、女と話すのが嫌になった。
王位を継ぐ前には適当に決めなきゃならないとは思っていたけど、こんな出会いが待っていたなんて、適当に決めないで本当に良かった。
もうマリー以外考えられない。だけど、どうやったらこの想いは届くのか…
マリーは、侯爵令嬢で、跡目を継ぐ事を期待されていた令嬢だ。
マルローネ エストファイム…彼女には、姉と婚約者がいた。
婚約者は伯爵家の三男で、今は姉のエルシーナと婚約関係にある。
谷底から馬車の残骸が見つかり、マルローネは川に流されて死んだと目されている。
彼女の両親は事故で亡くなっているが祖父は健在で、その祖父が優秀なマルローネを次期当主と決めた。
そうして、成人の儀も終えたマルローネを当主にすべく手続きを終え、あとは本人にサインさせるだけだったが、当主である祖父の突然の病という嘘の報告を受けた…が、それは姉と婚約者の策略だった。
その頃には領主代行としてマルローネが既に仕事に携わっていて、当主は王都でする仕事をこなしていたので、離れて暮らしていた。
エストファイム領は我が国とも近い僻地にあり、王都に向かう途中には山を越えねばならず、そこでマルローネは事故死とされているが、婚約者のアレクに雇われた御者もこちらで押さえてあるし、途中で事故を装うよう命令された事も白状した。
道は実際、きちんと整備されていて、意図的でない限り落ちるのはあり得ない。
当主の代変わりは行われていない。現当主である祖父のレオニダスがマルローネの事を諦めていないからだろう。
マルローネからすればショックだろう…婚約者と姉に殺されそうになったなんて。それこそ記憶を失うほどの。
ならばこのまま事実を伝えず、俺の妻として…エルランド王国の王太子妃として迎えるのが良いやり方か?
ジークハルトは、力無く頭を振り、次の瞬間には目つきを鋭くした。
そんなやり方は間違っている!黙ったまま一生俺は、マリーに嘘をつき通すのか?
今のままだとマリーは領主として領地に帰ってしまうだろう。
王太子である俺は、マリーに付いて行く事は許されない。
せめてマリーが俺を好いていてくれたら…
板にしがみつくようにして流れて来た令嬢…あちこち傷だらけで、正直生きているとは思わなかった。
身軽な俺がグレンが止めるのも聞かず、上着を脱いで助けた。
小さくて、折れそうに細くて、本当に子供だと思った。
正直、猫を拾った感覚しかなかったし、仕事を任せたけど期待なんてしてなかった。
だけど意外な事に、身につけている教養は予想以上で、まともなドレスを身に付けてからは、化けたな…驚いた。
化粧なんてしなくても綺麗な肌と、自然な色の唇は紅を引かずとも魅力的で、成人したら告白しようと思った位だ。
実際、調べてみたら成人してた事には驚いたが。
最近のマリーは、最初の頃の借りてきた猫みたいに縮こまっているような事もなく、与えられた仕事に応えられる自信がさせるのか、溌剌としていた。
そんな姿を見てしまったら、手放したくなくなるのは当然で、マリーとなら手を携えて生きていけると感じたんだ。
そんな風に感じたのはマリーが初めてだ。他の令嬢と会って話してもうわべだけで中身がない。ご機嫌取りしてますっていうのが見え見えで、閉口してしまう…もう、女と話すのが嫌になった。
王位を継ぐ前には適当に決めなきゃならないとは思っていたけど、こんな出会いが待っていたなんて、適当に決めないで本当に良かった。
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