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里帰り
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何より嬉しかったのは、殿下のご両親に認めて頂けた事。
いつかはこうなるだろうと予想なさっていたようです。
これにはびっくりです。心の内を覗かれたのかと思いましたが、殿下の方からバレたようですね。
いい加減に相手を決めろと言われていた事もあり、殿下も特に隠していなかったそうです。
アシュトン王国とのこれからの事も、殿下に一任されているようですね。
アシュトン王国の方には既に伝令を送ってあるようで、自国の侯爵令嬢がエランド王国の王太子妃になる事もあり、パーティーが開かれるようです。
そこの席でエストファイム侯爵家が爵位返上されると発表されるようです。
お姉様がその場に来たら、逆上しそうです…少し怖いですが、グレン様達近衛兵の方々が警護して下さるので、大丈夫でしょう。
それにお姉様だって、隣国の王太子妃にくってかかるような事は…ないですよね。そんな事をしたら、犯罪者になってしまいますものね。
庭園に植えられた四季咲きの薔薇も違う種類が咲き誇り始め頃。私と殿下はアシュトン王国に向けて旅立ちました。
沈みがちな私を殿下は、わざとおどけて楽しませてくれたり、殿下の好きな釣りの話を聞いたりして長い旅路を進みました。
正直、釣りの知識は全くないので、頷くばかりでしたけれど、あの時食べた魚の串焼きの美味しさは忘れられません。
お祖父様は一足先に帰り、準備を整えるようです。
爵位を返上したら平民になってしまいますが、資産はあります。その資産も奪われたりしないように、今のうちに領民の為に使ったりするそうです。
アシュトン王国に、帰って来ました。王宮も見えます。
陛下にお会いするのは成人を迎えた時以来です。
今は殿下もいますし、私は労いの言葉と祝福の言葉を賜りました。
パーティーでの手順も教えて頂き、不測の事態が起きた時にはそれを最優先とする。不測の事態とは、お姉様の事です。
パーティーの日まではお祖父様のお屋敷で待機します。
お祖父様のお屋敷には、グストがいました。懐かしいです。
「お嬢様…よくぞご無事で」
「殿下のお陰です…心配をかけました。領土の事は残念ですが」
「いえ。ご心配には及びません。一度国の直轄地になりますが、後任の方もほぼ決まっていますし、私は引き続き補佐をさせて頂く事になっています」
それなら安心でしょう。それにグストが、両親の形見を持ってきてくれました。
そう貴重でないものはそのままにしてしまったので、お姉様に換金されて使われてしまいましたが、エストファイム家の者である事を示す徽章。金銭的価値はありませんし、エストファイム家はなくなるので何の意味も無くなってしまいますが、先祖伝来の物で、エストファイム家の誇りです。私の心の拠り所となってくれるでしょう。
「お嬢様、もうこちらには何の憂いもありません。どうかお幸せになって下さい」
「ありがとう…グスト。あなたも」
まだ完全に喜ぶ訳には行きませんが、少しだけ心が軽くなりました。
いつかはこうなるだろうと予想なさっていたようです。
これにはびっくりです。心の内を覗かれたのかと思いましたが、殿下の方からバレたようですね。
いい加減に相手を決めろと言われていた事もあり、殿下も特に隠していなかったそうです。
アシュトン王国とのこれからの事も、殿下に一任されているようですね。
アシュトン王国の方には既に伝令を送ってあるようで、自国の侯爵令嬢がエランド王国の王太子妃になる事もあり、パーティーが開かれるようです。
そこの席でエストファイム侯爵家が爵位返上されると発表されるようです。
お姉様がその場に来たら、逆上しそうです…少し怖いですが、グレン様達近衛兵の方々が警護して下さるので、大丈夫でしょう。
それにお姉様だって、隣国の王太子妃にくってかかるような事は…ないですよね。そんな事をしたら、犯罪者になってしまいますものね。
庭園に植えられた四季咲きの薔薇も違う種類が咲き誇り始め頃。私と殿下はアシュトン王国に向けて旅立ちました。
沈みがちな私を殿下は、わざとおどけて楽しませてくれたり、殿下の好きな釣りの話を聞いたりして長い旅路を進みました。
正直、釣りの知識は全くないので、頷くばかりでしたけれど、あの時食べた魚の串焼きの美味しさは忘れられません。
お祖父様は一足先に帰り、準備を整えるようです。
爵位を返上したら平民になってしまいますが、資産はあります。その資産も奪われたりしないように、今のうちに領民の為に使ったりするそうです。
アシュトン王国に、帰って来ました。王宮も見えます。
陛下にお会いするのは成人を迎えた時以来です。
今は殿下もいますし、私は労いの言葉と祝福の言葉を賜りました。
パーティーでの手順も教えて頂き、不測の事態が起きた時にはそれを最優先とする。不測の事態とは、お姉様の事です。
パーティーの日まではお祖父様のお屋敷で待機します。
お祖父様のお屋敷には、グストがいました。懐かしいです。
「お嬢様…よくぞご無事で」
「殿下のお陰です…心配をかけました。領土の事は残念ですが」
「いえ。ご心配には及びません。一度国の直轄地になりますが、後任の方もほぼ決まっていますし、私は引き続き補佐をさせて頂く事になっています」
それなら安心でしょう。それにグストが、両親の形見を持ってきてくれました。
そう貴重でないものはそのままにしてしまったので、お姉様に換金されて使われてしまいましたが、エストファイム家の者である事を示す徽章。金銭的価値はありませんし、エストファイム家はなくなるので何の意味も無くなってしまいますが、先祖伝来の物で、エストファイム家の誇りです。私の心の拠り所となってくれるでしょう。
「お嬢様、もうこちらには何の憂いもありません。どうかお幸せになって下さい」
「ありがとう…グスト。あなたも」
まだ完全に喜ぶ訳には行きませんが、少しだけ心が軽くなりました。
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