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ダンジョンと、甘い物
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朝起きると、今日は頭がすっきりしている。いつもの重い感じがない。
「んー?別に長時間寝てた訳じゃないし?」
「夕べ、トーラス様が来て下さったのよ!精神の疲れを癒して下されたのよ」
「そうなの?…心が疲れていると、理解力が落ちる…か。そんなもん?」
メモに、走り書きのように書いてあった。
試しに魔道具の本を読んでみると、いつもより内容が理解出来る気がする。
今まで、明確な休日は設けていなかった。ブラック企業さながらに毎日気を張って住民達の事を考えていた気がする。
一番新しい西の町以外は、もう毎日行かないでも大丈夫だろう。
「…せめてお礼、言いたかったな」
ちゃんと気にかけてくれていた。努力も多分、認めてくれた。
なかなか素直にお礼が言える性格じゃないけど、感謝してる。
トールが来るまでに美味しい料理が作れるようになって、食べさせてあげられたらいいな。
旅の途中だけど、今日は思い切って休みにしよう。
一番欲しいのは、 炊飯器の魔道具。外側はガンボさんに注文して作ってもらおう。
うーん…銀が必要なのか。あ、たくさんあるカトラリー、あれは多分銀製だ…うん。混じり気なしの銀だ。これを使わせてもらおう。
検索機能も駆使して、回路を書き上げる。
頭を使うと、甘い物が欲しくなる。ダンジョンのお陰で手に入った卵や牛乳を使って作ったプリン。上に生クリームも添えて。
「美味しいっ!さすが私」
なんて、検索レシピとダンジョン様々だけど。
「やっぱり、生活に潤いを与えるには、甘い物がないとね!」
オーブンまで揃ってる部屋に、感謝しきりだ。
簡単につまめるクッキーをたくさん作って、あとは、ピザも作りたいと思ってたんだ。アイテムボックスに入れておけばいつでも熱々が食べられるし、手軽に食べられるのがいい。
乗せるのは…アスパラとコーンがあるな。チキンの照り焼きも作ろう。ついでに照り焼きは、夕ごはんのおかずにしよう。
今日は結局、再生のお仕事は何もしなかった。うん…明日から頑張ろう。
作物は、普通に畑に種をまくと、通常のスピードで作物が実る。
色々と実験をしている訳だけど、種が特別なのではなく、水魔法の力みたいだ。
私の中に栄養素があって、魔法と一緒にでろでろと何かが…ちょっと怖い。
「やっぱり、ミノリが育てた野菜が一番だね!」
「コルンは、火魔法はどう?」
「ん…全然かな。速さでも燃焼石には敵わないし。けど、マルーンおばさんは、土壁を作れるようになったんだよ」
「そっか…やっぱり個人差が出るよね」
結局町の名前は、私が言ってたからか、始まりの町になった。ミノリ町よりはまし。うん。良かった。
みんな、食事前には手洗い、うがいの習慣もついてきたし、畑も積極的に拡張している。
いずれは私の力がなくても、自分達だけで生活出来るようになるのかな。…そうなったら私は?…考えないでおこう。
根を詰めても良くない。だから今日は、ダンジョンに潜る事にした。新たな美味しい物が見つかるかもしれないしね!
8階層からだ。牛肉、牛乳、チーズ等を拾いつつ進む。いつの間にかモーモー位なら、余裕で倒せるようになっている。
9階層は、モコモコという羊の魔物。これが超可愛い!もっふもふで、攻撃動作も、ぐるぐるパンチしてくる…それがまた可愛い!
「ああ…私には無理!倒せない…」
「お馬鹿。いいから倒しなさいよ!」
ミカルがキーキー騒いでるけど、無理ー。
ああ…風の刃がモコモコを…
「攻撃されて抱きついているのが悪いのよ」
ごもっともです…はい。ラム肉は集めます。羊毛も集めるよ…寒さ対策の為だ。
10階層は、扉が閉まっている。重そうな鉄の扉だ。身体強化して開ける。
うわあ…!軽自動車位ある蜘蛛だ!ザ、魔物って感じだね。なんて考えてる暇ないよ…ひえっ?!
糸を飛ばしてくる!魔法は色々鍛えられてるからね。か、風の刃っ!効いてる…よし!風刃、風刃!風刃!
はぁ…どうにか倒れた。宝箱だー!
風刃槍…何かの嫌味だろうか。強そうだから貰うけどね。
11階層に降りる前に、魔法石に触れる。
今日はもう、疲れたよ…甘味を集めたら、終わりにしよう。
「いきなり高レベル来たな…怖かった」
「それは、ボスですもの。その時は命じて下さいな。少しなら縛れます。私が自発的にやるよりも、ミノリ様の意思を尊重したいのです」
いやそこは、適当にやって、やっつけてくれれば…それじゃだめだと、ドライアは言うんだろうな。
「そうだよね。僕達が勝手にやってしまったら、主従じゃなくなるね」
「あのさ…私にはみんなを従えている気持ちはないよ?仲間…ううん、家族だよ。協力してこのバルスの人達を助けていきたい」
「10の倍数の階層は、ボス部屋である事が多いから、気をつけて。…てか、何でこんな事も知らないのよ…」
ちょっとは読んでいるけど、寝る前に読むから、いつの間にか寝てるんだよね。
折角甘味をたくさん見つけたので、おやつ系をたくさん作ろう。夕ごはんもホットケーキね。
パンを焼く時には、出来上がりをイメージすると上手くいく。イースト菌がなくても、ふっくらパンをイメージすれば、ちゃんとふわふわパンになる。逆にナンみたいに膨らませない物は、ただ焼けばいい。
イメージが大切なのは、魔法と一緒だね。
海に行く途中にあった山とは比べものにならない高い山。頂上の方は雪が積もっているのか、白い。
防寒対策は、ちゃんと出来ている。 モコモコの綿を、ウサギの皮に骨の針で縫い付けた物だ。裁縫は得意じゃないから、助かった。みんな親切だね。
槍を杖代わりにしてせっせと登る。
「もう、無理ー!」
岩だらけの山肌のあちこちには、世界樹の影響からか、小さな花が咲いている。
花を見ながら水分補給して、赤花の雫を煮詰めて飴にしたものを、口に入れる。
ゆっくりでも、歩けば進む。そう思いながら、登っていく。
下を見ると、見渡す限りの広野で、岩塩があるという森も見える。
もうどれ位登ったか分からないけど、先はまだ遠そうだ。
何しろ魔物もいるから、ゆっくりしか進めないんだよね。
「んー?別に長時間寝てた訳じゃないし?」
「夕べ、トーラス様が来て下さったのよ!精神の疲れを癒して下されたのよ」
「そうなの?…心が疲れていると、理解力が落ちる…か。そんなもん?」
メモに、走り書きのように書いてあった。
試しに魔道具の本を読んでみると、いつもより内容が理解出来る気がする。
今まで、明確な休日は設けていなかった。ブラック企業さながらに毎日気を張って住民達の事を考えていた気がする。
一番新しい西の町以外は、もう毎日行かないでも大丈夫だろう。
「…せめてお礼、言いたかったな」
ちゃんと気にかけてくれていた。努力も多分、認めてくれた。
なかなか素直にお礼が言える性格じゃないけど、感謝してる。
トールが来るまでに美味しい料理が作れるようになって、食べさせてあげられたらいいな。
旅の途中だけど、今日は思い切って休みにしよう。
一番欲しいのは、 炊飯器の魔道具。外側はガンボさんに注文して作ってもらおう。
うーん…銀が必要なのか。あ、たくさんあるカトラリー、あれは多分銀製だ…うん。混じり気なしの銀だ。これを使わせてもらおう。
検索機能も駆使して、回路を書き上げる。
頭を使うと、甘い物が欲しくなる。ダンジョンのお陰で手に入った卵や牛乳を使って作ったプリン。上に生クリームも添えて。
「美味しいっ!さすが私」
なんて、検索レシピとダンジョン様々だけど。
「やっぱり、生活に潤いを与えるには、甘い物がないとね!」
オーブンまで揃ってる部屋に、感謝しきりだ。
簡単につまめるクッキーをたくさん作って、あとは、ピザも作りたいと思ってたんだ。アイテムボックスに入れておけばいつでも熱々が食べられるし、手軽に食べられるのがいい。
乗せるのは…アスパラとコーンがあるな。チキンの照り焼きも作ろう。ついでに照り焼きは、夕ごはんのおかずにしよう。
今日は結局、再生のお仕事は何もしなかった。うん…明日から頑張ろう。
作物は、普通に畑に種をまくと、通常のスピードで作物が実る。
色々と実験をしている訳だけど、種が特別なのではなく、水魔法の力みたいだ。
私の中に栄養素があって、魔法と一緒にでろでろと何かが…ちょっと怖い。
「やっぱり、ミノリが育てた野菜が一番だね!」
「コルンは、火魔法はどう?」
「ん…全然かな。速さでも燃焼石には敵わないし。けど、マルーンおばさんは、土壁を作れるようになったんだよ」
「そっか…やっぱり個人差が出るよね」
結局町の名前は、私が言ってたからか、始まりの町になった。ミノリ町よりはまし。うん。良かった。
みんな、食事前には手洗い、うがいの習慣もついてきたし、畑も積極的に拡張している。
いずれは私の力がなくても、自分達だけで生活出来るようになるのかな。…そうなったら私は?…考えないでおこう。
根を詰めても良くない。だから今日は、ダンジョンに潜る事にした。新たな美味しい物が見つかるかもしれないしね!
8階層からだ。牛肉、牛乳、チーズ等を拾いつつ進む。いつの間にかモーモー位なら、余裕で倒せるようになっている。
9階層は、モコモコという羊の魔物。これが超可愛い!もっふもふで、攻撃動作も、ぐるぐるパンチしてくる…それがまた可愛い!
「ああ…私には無理!倒せない…」
「お馬鹿。いいから倒しなさいよ!」
ミカルがキーキー騒いでるけど、無理ー。
ああ…風の刃がモコモコを…
「攻撃されて抱きついているのが悪いのよ」
ごもっともです…はい。ラム肉は集めます。羊毛も集めるよ…寒さ対策の為だ。
10階層は、扉が閉まっている。重そうな鉄の扉だ。身体強化して開ける。
うわあ…!軽自動車位ある蜘蛛だ!ザ、魔物って感じだね。なんて考えてる暇ないよ…ひえっ?!
糸を飛ばしてくる!魔法は色々鍛えられてるからね。か、風の刃っ!効いてる…よし!風刃、風刃!風刃!
はぁ…どうにか倒れた。宝箱だー!
風刃槍…何かの嫌味だろうか。強そうだから貰うけどね。
11階層に降りる前に、魔法石に触れる。
今日はもう、疲れたよ…甘味を集めたら、終わりにしよう。
「いきなり高レベル来たな…怖かった」
「それは、ボスですもの。その時は命じて下さいな。少しなら縛れます。私が自発的にやるよりも、ミノリ様の意思を尊重したいのです」
いやそこは、適当にやって、やっつけてくれれば…それじゃだめだと、ドライアは言うんだろうな。
「そうだよね。僕達が勝手にやってしまったら、主従じゃなくなるね」
「あのさ…私にはみんなを従えている気持ちはないよ?仲間…ううん、家族だよ。協力してこのバルスの人達を助けていきたい」
「10の倍数の階層は、ボス部屋である事が多いから、気をつけて。…てか、何でこんな事も知らないのよ…」
ちょっとは読んでいるけど、寝る前に読むから、いつの間にか寝てるんだよね。
折角甘味をたくさん見つけたので、おやつ系をたくさん作ろう。夕ごはんもホットケーキね。
パンを焼く時には、出来上がりをイメージすると上手くいく。イースト菌がなくても、ふっくらパンをイメージすれば、ちゃんとふわふわパンになる。逆にナンみたいに膨らませない物は、ただ焼けばいい。
イメージが大切なのは、魔法と一緒だね。
海に行く途中にあった山とは比べものにならない高い山。頂上の方は雪が積もっているのか、白い。
防寒対策は、ちゃんと出来ている。 モコモコの綿を、ウサギの皮に骨の針で縫い付けた物だ。裁縫は得意じゃないから、助かった。みんな親切だね。
槍を杖代わりにしてせっせと登る。
「もう、無理ー!」
岩だらけの山肌のあちこちには、世界樹の影響からか、小さな花が咲いている。
花を見ながら水分補給して、赤花の雫を煮詰めて飴にしたものを、口に入れる。
ゆっくりでも、歩けば進む。そう思いながら、登っていく。
下を見ると、見渡す限りの広野で、岩塩があるという森も見える。
もうどれ位登ったか分からないけど、先はまだ遠そうだ。
何しろ魔物もいるから、ゆっくりしか進めないんだよね。
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