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第二章 外国漫遊記
第二十三話 モンティ=ガイロ③
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「ほんっと、ありがとうな」
「いえ。困ったときはお互い様ですわ」
「俺は女神に救われたのか…」
「違うわよベジック。私たちを救ってくれたのは、超イケメンの王子様よ」
「何言ってんだポリー。見てただろ? この美人が、ベジックに水魔法をかけてくれたところを」
「ラクレンバル、私が見ていたのはこのイケメンよ」
「どうしようもねぇな」
フロア5に降りてきたところで出会った冒険者さんたちは、盾役で瀕死だったベジックさん、素早い動きの双剣使いポリーさん、両手剣で恐らくパーティの要ラクレンバルさんの三人連れでした。
「王子様、あながち間違ってはいませんわね」
「エリシャ」
「そうよねぇ! あなた、話わかるじゃない」
「だとしたら、貴女は女神様だ」
「それは間違いないなベジックとやら」
「グイスト様」
重症だったベジックさんに水属性の治癒魔法をかけて、軽傷だったラクレンバルさんにはポーションを差し上げました。ポリーさんは元気なようですね。
「だいたい、お前がちょっとした傷でポーション使いまくるからいけねぇんだろ」
「そんな! 私女の子なのよ? 治すのが遅れて傷が残ったらどうしてくれるのよ! 責任取って結婚してくれんの?! あんた顔はいいほうだからそれでもいいけど?!」
「いや、悪かった。好きなだけ使ってくれ。これからは自分の分は自分で管理するようにする。ベジック、お前もそうしろ」
「ああ、そうだな。いや、しかし、ポリーに任せていたからこそ、俺はこの女神に救ってもらえたんだ。ありがとう」
「え? はあ?? どういたしまして!」
仲がいいのか悪いのか、よくわかりません。
恐らく、素早さでいったら双剣使いのポリーさんが一番だったのでしょう。だから、回復も任せていた。そうしたら、早々に雑事でポーションを使い切っていて、いざとなったこのフロア5で、傷を治せず引き返すことになったと推察します。
「で、イケメン王子様は何さん?」
「グイストだが」
「グイストさんね。よかったら私も連れてって」
「断る」
「いいでしょう? お連れさん魔法使いみたいだし、剣使える私いたほうがいいんじゃない?」
「必要ない」
「またまた~」
「さっさと仲間とともに引き返せ」
グイスト様は、社交界でも絡んでくるような女性は嫌煙していますから、この手のタイプは苦手でしょう。
「あんたは、エリシャさん?」
「ええ」
「助けてくれて感謝する。ほんとうにありがとうな。ベジックは従兄弟で、一緒に冒険者になったんだ」
「そうでしたの。ご親戚で、えっと、ポリーさんは?」
「あいつは、ここのギルドで会ってな。攻撃役もうひとりいたほうが深くまでいけるだろうって臨時パーティ組んだんだ」
「行きたい階層が?」
「あ、ああ。知り合いが、な。子供を授かったことがわかってさ、安産のお守りとしてラパンシャンスの角が欲しかったんだ」
「まあすてき。幸運のうさぎですわね」
「モンティ=ガイロのフロア10まで行けば、エンカウントすることもあるって話だったんだが…」
「なるほど」
ずいぶんとお優しい冒険者さんに出会ったものです。
しかし、半分も行かずにポーションを使い切って引き返すことになるなんて、よほどの使い方だったのでしょう。女性の体に傷が残ったら大変、というポリーさんの言い分はよくわかりますが、ラクレンバルさんたちは少し気の毒ですね。
「よろしかったら、ご一緒しましょうか?」
「えっ、は? フロア10まで?」
「ええ。私たちは、冒険者ランク上げのために来たので、魔物を倒すことが目的ですから」
「いや、それは、大変ありがたい話だが…」
「グイスト様」
「ああ、聞いていた。エリシャがいいなら構わない」
「だそうです」
「いや、あんたも太っ腹だな! ポリーに絡まれながらもOKしてくれるなんて」
「問題ない」
「なによ、結局私と一緒に行きたかったってことでしょ? 照れちゃって」
「エリシャがしたいことを叶えるのが、護衛としての役目だ」
「え、なんだよ、こんなゴリゴリの剣士さんが護衛なのか?」
「護衛だ」
「そうですわね、名目上」
「へえ、まあいいか」
何かを察したラクレンバルさんは、私たちの関係性についてはこれ以上追求しないことにしたようです。
「ありがとう! エリシャさん、グイストさん。よろしく頼む」
「ええ。ラパンシャンス、見つかるといいですわね」
ここ、フロア5からフロア7までは、魔物の強さは大差ないようですが、すでにボロボロになって戻ってきたベジックさんを見ていますから、油断しないで行きましょう。
お三方には、もしものときのため、手持ちのポーションを5本ずつ売って差し上げました。
「いえ。困ったときはお互い様ですわ」
「俺は女神に救われたのか…」
「違うわよベジック。私たちを救ってくれたのは、超イケメンの王子様よ」
「何言ってんだポリー。見てただろ? この美人が、ベジックに水魔法をかけてくれたところを」
「ラクレンバル、私が見ていたのはこのイケメンよ」
「どうしようもねぇな」
フロア5に降りてきたところで出会った冒険者さんたちは、盾役で瀕死だったベジックさん、素早い動きの双剣使いポリーさん、両手剣で恐らくパーティの要ラクレンバルさんの三人連れでした。
「王子様、あながち間違ってはいませんわね」
「エリシャ」
「そうよねぇ! あなた、話わかるじゃない」
「だとしたら、貴女は女神様だ」
「それは間違いないなベジックとやら」
「グイスト様」
重症だったベジックさんに水属性の治癒魔法をかけて、軽傷だったラクレンバルさんにはポーションを差し上げました。ポリーさんは元気なようですね。
「だいたい、お前がちょっとした傷でポーション使いまくるからいけねぇんだろ」
「そんな! 私女の子なのよ? 治すのが遅れて傷が残ったらどうしてくれるのよ! 責任取って結婚してくれんの?! あんた顔はいいほうだからそれでもいいけど?!」
「いや、悪かった。好きなだけ使ってくれ。これからは自分の分は自分で管理するようにする。ベジック、お前もそうしろ」
「ああ、そうだな。いや、しかし、ポリーに任せていたからこそ、俺はこの女神に救ってもらえたんだ。ありがとう」
「え? はあ?? どういたしまして!」
仲がいいのか悪いのか、よくわかりません。
恐らく、素早さでいったら双剣使いのポリーさんが一番だったのでしょう。だから、回復も任せていた。そうしたら、早々に雑事でポーションを使い切っていて、いざとなったこのフロア5で、傷を治せず引き返すことになったと推察します。
「で、イケメン王子様は何さん?」
「グイストだが」
「グイストさんね。よかったら私も連れてって」
「断る」
「いいでしょう? お連れさん魔法使いみたいだし、剣使える私いたほうがいいんじゃない?」
「必要ない」
「またまた~」
「さっさと仲間とともに引き返せ」
グイスト様は、社交界でも絡んでくるような女性は嫌煙していますから、この手のタイプは苦手でしょう。
「あんたは、エリシャさん?」
「ええ」
「助けてくれて感謝する。ほんとうにありがとうな。ベジックは従兄弟で、一緒に冒険者になったんだ」
「そうでしたの。ご親戚で、えっと、ポリーさんは?」
「あいつは、ここのギルドで会ってな。攻撃役もうひとりいたほうが深くまでいけるだろうって臨時パーティ組んだんだ」
「行きたい階層が?」
「あ、ああ。知り合いが、な。子供を授かったことがわかってさ、安産のお守りとしてラパンシャンスの角が欲しかったんだ」
「まあすてき。幸運のうさぎですわね」
「モンティ=ガイロのフロア10まで行けば、エンカウントすることもあるって話だったんだが…」
「なるほど」
ずいぶんとお優しい冒険者さんに出会ったものです。
しかし、半分も行かずにポーションを使い切って引き返すことになるなんて、よほどの使い方だったのでしょう。女性の体に傷が残ったら大変、というポリーさんの言い分はよくわかりますが、ラクレンバルさんたちは少し気の毒ですね。
「よろしかったら、ご一緒しましょうか?」
「えっ、は? フロア10まで?」
「ええ。私たちは、冒険者ランク上げのために来たので、魔物を倒すことが目的ですから」
「いや、それは、大変ありがたい話だが…」
「グイスト様」
「ああ、聞いていた。エリシャがいいなら構わない」
「だそうです」
「いや、あんたも太っ腹だな! ポリーに絡まれながらもOKしてくれるなんて」
「問題ない」
「なによ、結局私と一緒に行きたかったってことでしょ? 照れちゃって」
「エリシャがしたいことを叶えるのが、護衛としての役目だ」
「え、なんだよ、こんなゴリゴリの剣士さんが護衛なのか?」
「護衛だ」
「そうですわね、名目上」
「へえ、まあいいか」
何かを察したラクレンバルさんは、私たちの関係性についてはこれ以上追求しないことにしたようです。
「ありがとう! エリシャさん、グイストさん。よろしく頼む」
「ええ。ラパンシャンス、見つかるといいですわね」
ここ、フロア5からフロア7までは、魔物の強さは大差ないようですが、すでにボロボロになって戻ってきたベジックさんを見ていますから、油断しないで行きましょう。
お三方には、もしものときのため、手持ちのポーションを5本ずつ売って差し上げました。
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