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第二章 外国漫遊記
第五十三話 ベジパパと謁見
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「(そっくりですわ)」
「(そっくりだな)」
「(わー似てるなー)」
三者三様、フィレンセ王プロスペールとの対面を果たし、私たちはほんとうにヴァランタンさんがこの王と血縁だということを思い知りました。
「ベジックから話は聞いている。そなたらの働きを大変嬉しく思う」
「そう、だからパパ。ジャービーとの戦争はもうやめよう? ガインドラにはもう侵攻しないと、ここで約束してほしいんだ」
「ああ、そうか、そうだな。長年小競り合いを続けてきたが、子供たちの恩人のいる国と争うのは望ましくない。すぐにジャービーに親書を送ろう」
「ありがとうパパ!」
ベジックさんのパパ呼びが気になってほとんど頭に入ってこなかったですけれど、つまりこれで、国に親書を届けたら終戦条約を結べる、ということですわよね。
我が国ジャービーとここフィレンセでは、ピレネト山脈の山間にあるガインドラ村を巡って、長年争いが起きていました。
この村は代々、フィレンセ人だったりジャービー人だったりがおさめてきた土地だと言われていて、それが争いの元になっていました。
その争いを終わらせることができれば、大国の脅威がひとつなくなります。ここはぜひ、これからは友好国として仲良くしていただきましょう。
「女神よ、書はすぐに持ち帰りたいだろうが、どうする? 商人は呼んでも明日になってしまうと思うのだが」
「そうですわね、家の商売も大事ですが、国同士の関係のほうが大事ですから、いったん帰国することにします。グイスト様もそれでよろしいでしょうか」
「もちろんだ」
「では、そうですね……またすぐ戻ってきてもいいですか?」
「そうれはもう、いつでも歓迎する」
「私たち、お友達ですものね?」
「っ、ああ! そうだな、…パパァ! こちらの女神と私はとっても仲良しなお友達なんだ。だから終戦のあとに友好国にって書き足してくれる?!」
「そうか、いいだろう。エストルム譲、息子をよろしく頼む」
「ええ、ありがとうございます」
にっこりと笑ってみせた私の視界の端に、戦々恐々とした表情をしているビトさんがいました。
今回、フィレンセとも終戦となれば、残る戦地は南のタリファ。ジダール海峡を挟んでモボ国と戦争中です。
モボ国は、さすがに冒険者としてでも入国時には厳しい審査がありますので、そこでジャービーの貴族だなんてばれたらそれだけで斬首されても文句は言えません。
今はお父様の遊撃隊も、再びジダール海峡でモボ国の侵攻に備えているはずです。
すべての戦争を終わらせることはできていませんが、私、結構国に貢献しているのではないでしょうか?
ボルティ国とも友好を結び、次期モッラーロ王妃とも仲良し。そしてフィレンセとも友好国になれれば、陸続きで隣接している国とはみなお友達ですわね。
「今夜はしっかりおもてなしするのだぞ」
「はい、パパ!」
「「「(パパ…)」」」
心の声が重なった瞬間でした。
「(そっくりだな)」
「(わー似てるなー)」
三者三様、フィレンセ王プロスペールとの対面を果たし、私たちはほんとうにヴァランタンさんがこの王と血縁だということを思い知りました。
「ベジックから話は聞いている。そなたらの働きを大変嬉しく思う」
「そう、だからパパ。ジャービーとの戦争はもうやめよう? ガインドラにはもう侵攻しないと、ここで約束してほしいんだ」
「ああ、そうか、そうだな。長年小競り合いを続けてきたが、子供たちの恩人のいる国と争うのは望ましくない。すぐにジャービーに親書を送ろう」
「ありがとうパパ!」
ベジックさんのパパ呼びが気になってほとんど頭に入ってこなかったですけれど、つまりこれで、国に親書を届けたら終戦条約を結べる、ということですわよね。
我が国ジャービーとここフィレンセでは、ピレネト山脈の山間にあるガインドラ村を巡って、長年争いが起きていました。
この村は代々、フィレンセ人だったりジャービー人だったりがおさめてきた土地だと言われていて、それが争いの元になっていました。
その争いを終わらせることができれば、大国の脅威がひとつなくなります。ここはぜひ、これからは友好国として仲良くしていただきましょう。
「女神よ、書はすぐに持ち帰りたいだろうが、どうする? 商人は呼んでも明日になってしまうと思うのだが」
「そうですわね、家の商売も大事ですが、国同士の関係のほうが大事ですから、いったん帰国することにします。グイスト様もそれでよろしいでしょうか」
「もちろんだ」
「では、そうですね……またすぐ戻ってきてもいいですか?」
「そうれはもう、いつでも歓迎する」
「私たち、お友達ですものね?」
「っ、ああ! そうだな、…パパァ! こちらの女神と私はとっても仲良しなお友達なんだ。だから終戦のあとに友好国にって書き足してくれる?!」
「そうか、いいだろう。エストルム譲、息子をよろしく頼む」
「ええ、ありがとうございます」
にっこりと笑ってみせた私の視界の端に、戦々恐々とした表情をしているビトさんがいました。
今回、フィレンセとも終戦となれば、残る戦地は南のタリファ。ジダール海峡を挟んでモボ国と戦争中です。
モボ国は、さすがに冒険者としてでも入国時には厳しい審査がありますので、そこでジャービーの貴族だなんてばれたらそれだけで斬首されても文句は言えません。
今はお父様の遊撃隊も、再びジダール海峡でモボ国の侵攻に備えているはずです。
すべての戦争を終わらせることはできていませんが、私、結構国に貢献しているのではないでしょうか?
ボルティ国とも友好を結び、次期モッラーロ王妃とも仲良し。そしてフィレンセとも友好国になれれば、陸続きで隣接している国とはみなお友達ですわね。
「今夜はしっかりおもてなしするのだぞ」
「はい、パパ!」
「「「(パパ…)」」」
心の声が重なった瞬間でした。
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