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第二章 外国漫遊記
(最終話)第六十三話 それから
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「今帰ったぞー!」
「お帰りなさいませ、旦那様」
「おお、ヴァルデマールさん。さっそくだが、土産をエリシャに届けようと思うんだが、どれを持って行くか選別を手伝ってくれ」
「旦那様。エリシャ様は3日前にご挨拶にいらして、アンムレーカに旅立つとおっしゃっていました」
「ア、アンムレーカだと?! 陸続きでは行けない遠国ではないか!」
「ええ。しかし遠洋航海の準備も整えて、もう旅立つとおっしゃっていたので、今からルシエンテス邸に行っても、いらっしゃらないかと」
「そ、そんなぁ~!」
どこかであったようなやりとりだが、エリシャの父シュナイダー・エストルムは、どうも間の悪い人間のようである。
愛娘にと選んで買ってきたものは、エリシャが好む食べ物ばかりで長い保存は不可能だった。そのため、数日間、エストルム邸では使用人を交えて旅立ちの宴が繰り広げられた。
「えっ、昨日ですか?」
「ああ昨日だ。エリシャが挨拶に来てな。グイスト君と一緒だったよ。今度はアンムレーカに行くという話だ」
「アンムレーカ……」
こちらは城の宰相室、エリシャの祖父である宰相と、その孫である宰相補佐のエーレンデュースが仕事を始めようとしていた。
「なんて遠いところに、いや、しかも遠洋航海はまだまだ危険がいっぱいだろう。エリシャ………!」
「そう心配しなくても。グイスト君はすでに、史上6人目のS級冒険者。エリシャもA級なんだ。とんでもなく強いってことだろう?」
「とんでもなく、まあ、そうですけど…」
「遠洋航海専属の潜水士だって、実力者揃いだ」
「おじい様! アンムレーカとの決めごとがなにか――」
「ないな」
「ない、ですか…」
あわよくば仕事を口実に、妹を追って旅立とうとしたエレンだったが、そうはいかなかったようだ。
「エリシャの護衛に!」
「却下です」
こちらエストルム邸でも、父や弟から遅れて報せを聞いたエドガー・エストルムが旅立とうとして部下に却下されていた。
「エリシャ、身を乗り出すと危険だ」
「あら、すみません。海中が気になって」
「間もなく出航だな」
「ええ。アンムレーカ、楽しみですわ」
「今度は行くだけでひと月かかるからな。冒険者を始めたころのように行って帰ってということはできないが……」
「不安は、ありませんわ」
「そうか」
「私と、あなたなら、世界中どこでだってやっていけます」
「……そうだな」
ここに、
S級冒険者グイストと
A級冒険者エリシャの
冒険が始まる。
妹?義妹ですらありませんけど?~王子様とは婚約破棄して世界中の美味しいものが食べたいですわ~
第二章・完
ありがとうございました。
「お帰りなさいませ、旦那様」
「おお、ヴァルデマールさん。さっそくだが、土産をエリシャに届けようと思うんだが、どれを持って行くか選別を手伝ってくれ」
「旦那様。エリシャ様は3日前にご挨拶にいらして、アンムレーカに旅立つとおっしゃっていました」
「ア、アンムレーカだと?! 陸続きでは行けない遠国ではないか!」
「ええ。しかし遠洋航海の準備も整えて、もう旅立つとおっしゃっていたので、今からルシエンテス邸に行っても、いらっしゃらないかと」
「そ、そんなぁ~!」
どこかであったようなやりとりだが、エリシャの父シュナイダー・エストルムは、どうも間の悪い人間のようである。
愛娘にと選んで買ってきたものは、エリシャが好む食べ物ばかりで長い保存は不可能だった。そのため、数日間、エストルム邸では使用人を交えて旅立ちの宴が繰り広げられた。
「えっ、昨日ですか?」
「ああ昨日だ。エリシャが挨拶に来てな。グイスト君と一緒だったよ。今度はアンムレーカに行くという話だ」
「アンムレーカ……」
こちらは城の宰相室、エリシャの祖父である宰相と、その孫である宰相補佐のエーレンデュースが仕事を始めようとしていた。
「なんて遠いところに、いや、しかも遠洋航海はまだまだ危険がいっぱいだろう。エリシャ………!」
「そう心配しなくても。グイスト君はすでに、史上6人目のS級冒険者。エリシャもA級なんだ。とんでもなく強いってことだろう?」
「とんでもなく、まあ、そうですけど…」
「遠洋航海専属の潜水士だって、実力者揃いだ」
「おじい様! アンムレーカとの決めごとがなにか――」
「ないな」
「ない、ですか…」
あわよくば仕事を口実に、妹を追って旅立とうとしたエレンだったが、そうはいかなかったようだ。
「エリシャの護衛に!」
「却下です」
こちらエストルム邸でも、父や弟から遅れて報せを聞いたエドガー・エストルムが旅立とうとして部下に却下されていた。
「エリシャ、身を乗り出すと危険だ」
「あら、すみません。海中が気になって」
「間もなく出航だな」
「ええ。アンムレーカ、楽しみですわ」
「今度は行くだけでひと月かかるからな。冒険者を始めたころのように行って帰ってということはできないが……」
「不安は、ありませんわ」
「そうか」
「私と、あなたなら、世界中どこでだってやっていけます」
「……そうだな」
ここに、
S級冒険者グイストと
A級冒険者エリシャの
冒険が始まる。
妹?義妹ですらありませんけど?~王子様とは婚約破棄して世界中の美味しいものが食べたいですわ~
第二章・完
ありがとうございました。
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