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7.ふかふかソファ作りました。
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昨日も充実した一日だった。
ギルドに依頼を出したあと街を散策して、服や靴なんかも買った。
カフェで休憩していると、依頼で街の外に出ていたジークさんが戻ってきたのが見えた。わずか2時間ほどしか経っていない。オープンテラスにいた私に気づくとジークさんはニコッと笑顔で手を振ってくれた。
私はそのままジークさんについてギルドに行って依頼したうぶ毛を受け取った。5キロは持てないことないけど、羽で5キロってすごくかさばるので、アイテムボックスに入れて持ち帰ることにした。
使い方が分からなかったけど、とりあえず目の前のうぶ毛5キロに手をかざして、スッとしまうイメージをしたらできた。それでまた「アイテムボックス持ち?!」と驚かれたので、こちらも秘密でお願いしておいた。
帰ろうとするとジークさんが、クラフトに興味があるそうで、ソファを作るところが見たいとパン屋さんの部屋までついてきた。
ソファを作って見せると、羽根が舞ったり布が舞ったり飛んだり光ったりでパフォーマンスとして拍手喝采だった。
出来上がったソファも文句なしのふかふかだった。2人で並んで座ってみたら意外と近い距離だったので近距離イケメンやば! って言ったらめちゃくちゃ笑われた。
「ふっ、ほんとに、面白いねヨリコは。……ふふっ。」
「笑いすぎです。」
おさまりきらない笑いをなんとか堪えながら(堪えきれてない)言われた。
それから、おかみさんが夕飯を振舞ってくれて、3人で食べて、ジークさんは帰っていった。
おかみさんと2人で、イケメンやばかったねって話をして、一日が終わった。
今日からまた働くぞー、と気合いを入れてパン屋に出勤。
接客品出し清掃を繰り返し、休憩中は美味しいパンとスープをいただく。お客さんとも楽しく会話して、1週間が過ぎていく。ジークさんも買いに来てくれるようになった。新たな常連さんだ。
「ヨリコはパン焼かないの?」
「さすがにそんな技術は持っていないので、もっぱら店頭で接客ですね。」
「そう。」
なぜか少し残念そうにしていた。
しばらくそうした日々を過ごして、休日にはスキルを試したり、街の散策をしたりした。
ここ、王都は高い壁に囲まれていて、魔物が入り込まないよう結界が張られているそうだ。出入りできるのは東西南北の門で、北側は王城がそびえ立っているので一般人は使えない。西は貴族街になっている。平民や商人が出入りできるのは、南と東の門だ。
出入りには身分証がいるらしく、それを持っていない私はこの街から出られない。
「彩花の採取なら、そう難しくもないから自分で取りに行く職人もいるよ?」
「そうなんですか?」
「うん。南門を出て、結界路を少し行くと丘があるんだ。いくつかの色はそこで採れるから。」
門を出てしばらくの街道には、結界が有効で安全に歩けるらしい。
スキルの練習も兼ねて、色とりどりのカラーボックスみたいなものを作ってみようと思い、色づけに使う『彩花』という花の採取依頼を出しに行ったらジークさんに、よかったら案内する、と言われた。
街を出入りする身分証がないから、それは無理なんだけどなんて説明したらいいか、とりあえず街の外は怖いって言っておいた。
「街の外には、出れなくて……、その、怖くて……。」
「そうか。ああ、そうだった……。なら仕方ないね。魔物がまったく出ないわけではないから、そう思うのも無理はない。」
嘘は言ってない。
街の外には出れなくて(身分証がないから)。
怖くて(身バレが)。
それで、結局採取依頼を出したものをジークさんが受けてくれてあっという間に彩花が手に入った。
「色々な色の棚を作るのよね。よかったら出来上がったもの見せてくれないかしら。簡易販売の許可が出るかもしれないわ。」
ギルド内には、貸しスペースがあって、まだ店舗を持たない駆け出し職人が品物を売ることができるらしい。そのお金でまた依頼をしてもらえるから、ギルドも職人さんもウィンウィンなんだそうだ。
私は、仕上がったら持ってくると約束してギルドを出た。
「おかえり」
「あれ? サラヤおばあちゃん。」
「お呼ばれしてね。お邪魔してます。」
「そっか。」
お店は休みだけど、常連のおばあちゃんとおかみさんが店内のイートインスペースでお茶してた。間もなく夕ご飯だからって、私もそこに混ぜてもらう。
「さいきんね、調子いいのよ。」
「そうなの、いいことだね!」
「ここのパンを食べたあとは特に、体が軽くなる気がするのよねぇ。」
「へえ? おかみさんのパンは世界一美味しいからかな?」
「ははっ、嬉しいこと言ってくれるね!」
「ふふっ。そうねぇ、きっとそうだわ。」
サラヤおばあちゃんは、毎食後に薬が欠かせない。前に聞いた話だと、肺を患っているらしい。
それが、最近調子が良いというなら、嬉しいことだ。
私たちは、おかみさん特製の牛肉で作ったスペッツァルティーノをいただいた。
ギルドに依頼を出したあと街を散策して、服や靴なんかも買った。
カフェで休憩していると、依頼で街の外に出ていたジークさんが戻ってきたのが見えた。わずか2時間ほどしか経っていない。オープンテラスにいた私に気づくとジークさんはニコッと笑顔で手を振ってくれた。
私はそのままジークさんについてギルドに行って依頼したうぶ毛を受け取った。5キロは持てないことないけど、羽で5キロってすごくかさばるので、アイテムボックスに入れて持ち帰ることにした。
使い方が分からなかったけど、とりあえず目の前のうぶ毛5キロに手をかざして、スッとしまうイメージをしたらできた。それでまた「アイテムボックス持ち?!」と驚かれたので、こちらも秘密でお願いしておいた。
帰ろうとするとジークさんが、クラフトに興味があるそうで、ソファを作るところが見たいとパン屋さんの部屋までついてきた。
ソファを作って見せると、羽根が舞ったり布が舞ったり飛んだり光ったりでパフォーマンスとして拍手喝采だった。
出来上がったソファも文句なしのふかふかだった。2人で並んで座ってみたら意外と近い距離だったので近距離イケメンやば! って言ったらめちゃくちゃ笑われた。
「ふっ、ほんとに、面白いねヨリコは。……ふふっ。」
「笑いすぎです。」
おさまりきらない笑いをなんとか堪えながら(堪えきれてない)言われた。
それから、おかみさんが夕飯を振舞ってくれて、3人で食べて、ジークさんは帰っていった。
おかみさんと2人で、イケメンやばかったねって話をして、一日が終わった。
今日からまた働くぞー、と気合いを入れてパン屋に出勤。
接客品出し清掃を繰り返し、休憩中は美味しいパンとスープをいただく。お客さんとも楽しく会話して、1週間が過ぎていく。ジークさんも買いに来てくれるようになった。新たな常連さんだ。
「ヨリコはパン焼かないの?」
「さすがにそんな技術は持っていないので、もっぱら店頭で接客ですね。」
「そう。」
なぜか少し残念そうにしていた。
しばらくそうした日々を過ごして、休日にはスキルを試したり、街の散策をしたりした。
ここ、王都は高い壁に囲まれていて、魔物が入り込まないよう結界が張られているそうだ。出入りできるのは東西南北の門で、北側は王城がそびえ立っているので一般人は使えない。西は貴族街になっている。平民や商人が出入りできるのは、南と東の門だ。
出入りには身分証がいるらしく、それを持っていない私はこの街から出られない。
「彩花の採取なら、そう難しくもないから自分で取りに行く職人もいるよ?」
「そうなんですか?」
「うん。南門を出て、結界路を少し行くと丘があるんだ。いくつかの色はそこで採れるから。」
門を出てしばらくの街道には、結界が有効で安全に歩けるらしい。
スキルの練習も兼ねて、色とりどりのカラーボックスみたいなものを作ってみようと思い、色づけに使う『彩花』という花の採取依頼を出しに行ったらジークさんに、よかったら案内する、と言われた。
街を出入りする身分証がないから、それは無理なんだけどなんて説明したらいいか、とりあえず街の外は怖いって言っておいた。
「街の外には、出れなくて……、その、怖くて……。」
「そうか。ああ、そうだった……。なら仕方ないね。魔物がまったく出ないわけではないから、そう思うのも無理はない。」
嘘は言ってない。
街の外には出れなくて(身分証がないから)。
怖くて(身バレが)。
それで、結局採取依頼を出したものをジークさんが受けてくれてあっという間に彩花が手に入った。
「色々な色の棚を作るのよね。よかったら出来上がったもの見せてくれないかしら。簡易販売の許可が出るかもしれないわ。」
ギルド内には、貸しスペースがあって、まだ店舗を持たない駆け出し職人が品物を売ることができるらしい。そのお金でまた依頼をしてもらえるから、ギルドも職人さんもウィンウィンなんだそうだ。
私は、仕上がったら持ってくると約束してギルドを出た。
「おかえり」
「あれ? サラヤおばあちゃん。」
「お呼ばれしてね。お邪魔してます。」
「そっか。」
お店は休みだけど、常連のおばあちゃんとおかみさんが店内のイートインスペースでお茶してた。間もなく夕ご飯だからって、私もそこに混ぜてもらう。
「さいきんね、調子いいのよ。」
「そうなの、いいことだね!」
「ここのパンを食べたあとは特に、体が軽くなる気がするのよねぇ。」
「へえ? おかみさんのパンは世界一美味しいからかな?」
「ははっ、嬉しいこと言ってくれるね!」
「ふふっ。そうねぇ、きっとそうだわ。」
サラヤおばあちゃんは、毎食後に薬が欠かせない。前に聞いた話だと、肺を患っているらしい。
それが、最近調子が良いというなら、嬉しいことだ。
私たちは、おかみさん特製の牛肉で作ったスペッツァルティーノをいただいた。
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