わるいむし

おととななな

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 兄はそんな升谷の姿をじっと見下ろすと、やがて口元に薄っすらと笑みを浮かべた。
 升谷の視線が兄の顔から下肢へと移る。
 そこには、表面にいくつもの筋を走らせた男根が雄気堂々と存在感を示していた。
 新汰の喉がごくりと鳴る。
 兄の裸を最後に見たのは(正確には妄想だが)、新汰の思春期が始まる前。
 当たり前だが、兄の裸はもう新汰の知っている体とは全然違う。
 どこもかしこも大人で、成熟した男の体だ。
 兄はすでに勃ちあがった陰茎を右手で擦り上げて更に硬くする。
 その官能的な仕草に、新汰は自分のアソコがヒクリとなるのを感じた。
 新汰は男性との経験はない。
 ましてや、尻の孔が疼くなんて今まで一度も感じたことなどなかった。
 だが兄の反り返った陰茎を前に、新汰の身体はそれが欲しいと言っている。
 違う…違う…
 新汰は頭の中で否定した。
 男に…ましてや血の繋がった兄の奏汰に対してそんな風に感じるわけがない。
 新汰の兄への気持ちは憧れや理想像であって、恋心とは違う。
 連れてくる恋人と別れさせるのも横恋慕なんかではなく、完璧な兄に相応しくないと思ったからだ。
 しかし兄の男根が近づいてくるたびに、その考えがボロボロと崩れていく。
 いつのまにか、新汰は升谷のいる位置にいた。
 下着はなくなり、両脚が肘掛けに乗っかっている。
 兄は目と鼻の先にいて、右手には先走りを垂らした雄茎が手の中でにちゃにちゃといやらしい音を立てている。
 「はっ…はっ…」
 新汰は荒く呼吸を繰り返しながら兄を見上げた。
 下腹部は燃えるように熱く、全身の血は沸騰している。
 腹の奥がキュウキュウと引き絞られるように動いていて切ない。
 新汰の唇が勝手に開いた。
 「っ…奏汰…挿れて…」
 その声は升谷のようでいて、新汰のようで。
 不思議なハーモニーで響く。
 奏汰がとろけた後孔に男根を当てがった。
 「ん…っ、あああぁっ…!!」
 めりめりと音を立てて挿入ってくる男根。
 新汰は歓喜の嬌声と共に身体をしならせた。
 初めて挿れる雄の質量はあまりにも大きく、重く、受け入れるだけで精一杯だ。
 だが、それを上回る多幸感が新汰の脳を麻痺させていた。
 奏汰と繋がれた喜びで胸がいっぱいで、もうこれ以上の幸福はないだろうと細胞の全部で噛みしめている。
 
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