PRETEND【オメガバース】

由貴サクラ

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閑話

目指す道(高城視点)(1)

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和泉の職場の後輩くん高城君の視点の話です。和泉先生がちゃんと仕事をしているお話を私が書きたくて。
時間軸は和泉と朔耶が学会で結ばれてからさほどたたない頃。まだ番ってはいません。

※当然のことですが、それっぽいことを書いておりますが、医療事情についてはすべてフィクションです


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 誠心医科大学病院のアルファ・オメガ科の医師として勤務する高城裕哉は実は最近、簡単には立ち直れないくらいショックなことがあった。

 自分の担当指導医である和泉暁医師が、実はベータではなくアルファだったらしいのだ。

 和泉暁医師は自分よりも七学年上の、現在当院のアルファ・オメガ科のナンバーツーだ。アルファ・オメガ科はもともと専攻する医師はベータが多い。発情したオメガが多く来院するため、アルファの医師には職場環境としてキツいのだ。
 そもそも和泉はベータと聞いていた。というか、医局に研修医として入った時点で、医師は全員ベータと聞いていた。アルファの医師とは絡みたくないというのが、この医局を選んだ理由の一つであった裕哉にとって、まさか自分の担当指導医の和泉がアルファとは、「聞いていないよ」と言いたくなる気分だった。

 実は裕哉は「ベータの和泉医師」にあこがれを抱いていた。豊富な知識、患者への接し方、そして手術の手技、どれをとっても、ベータの医師として自分が目指すべき方向であり、正直身近で見ていてかっこいいと思っていた。
 なのに、実はアルファであったと……。
 アルファだったら当然だ。そしてアルファならば、ベータの自分が追い付きようがない……、そう思ってしまうのだ。

 しかも、ここ最近はかなり問題だ。
 和泉がアルファであると発覚したきっかけは、今年の五月のアルファ・オメガ学会でセミナー修了後に、担当MRだったメルト製薬の新堂朔耶が突発性の発情期に見舞われ、それを介抱したためだという。
 セミナーに参加していた看護師によると、倒れかけた新堂を和泉が抱き上げ、悠然と会場を後にしていったという。その後、ふたりの姿を学会会期中に見つけることは叶わなかったとのこと。
 その間和泉は急遽休暇を取っていた。そして一週間後、ようやく出勤したと思ったらあっさりと自分がアルファであることを告白し、関係者間(…というか、出入りのMRを含めて)は大騒ぎになった。
 その事実だけを辿れば、アルファの和泉とオメガの新堂が発情期でくっついたのは明白だった。
 自分には明確に話してもらえなかったが、二人の空気をみれば一目瞭然であろう。

 そう、和泉はオメガのMRの青年に骨抜きにされてしまったのだろう。
 以来、この二人が漂わせる空気が甘くて、正直自分には息苦しい。

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