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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝
第103話・ゆっくりでいいから
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「……だから、みんなの気持ちを、ちゃんと受け止めたい」
その一言に、場の空気がわずかに揺れた。
驚きと戸惑い、そして確かな喜びが、男たちの瞳に浮かぶ。
ユリウスが静かに問いかける。
「……本当に、いいんだね?」
ルナフィエラはゆっくりと頷いた。
「うん……でも、いきなりは怖いから…だから……ゆっくり、で」
「わかった。今日は最後までしない。
……ルナは、ただ感じるだけでいい」
ユリウスはそう言って、そっとルナフィエラの頬に触れ、額に軽く口づけた。
指先で髪をすくい上げ、耳元や首筋にやわらかなキスを落としていく。
その間、ヴィクトルの手がゆっくりと膝へ触れ、布越しに温もりを伝えてきた。
驚きにわずかに身をこわばらせた彼女に、彼は静かな声で囁く。
「……大丈夫です。嫌ならすぐにやめますので」
その誠実な響きに、緊張は少しずつ解けていった。
やさしい手つきが、布越しに何度も輪を描き、やがて直接触れられる。
温もりと心地よい刺激がじわじわと広がっていき、息が細くなる。
上から落ちてくるユリウスの口づけと、優しい手つき。
二方向から与えられる熱に、思考が追いつかなくなっていく。
「……っ……あ……」
胸の奥から熱がせり上がり、全身を支配する。
呼吸は浅くなり、視界がかすみ、そして──ふっと、何かがほどけた。
力が抜け、ベッドの上に身を預ける。
心も身体も、ふわりと軽くなっていた。
「……初めてだから、戸惑うのは当然だね」
ユリウスの低い声が耳元に落ちる。
ルナフィエラは瞬きをして、潤んだ瞳で彼を見上げた。
何が正解なのかも、どう振る舞えばいいのかもわからない。
ただ、胸の奥が温かく満たされている──それだけは、確かだった。
ヴィクトルが隣に膝をつき、そっと背を撫でる。
「……よく、頑張りましたね。初めてでしたが、ちゃんと受け入れてくださいました」
低く柔らかな声が、耳にやさしく響く。
反対側ではフィンが彼女の手をそっと握り込む。
「すごかったよ、ルナ。……偉いね」
明るさを少し抑えた声音が、胸に沁みた。
シグは何も言わず、ただ静かに頷く。
その眼差しだけで、充分に気持ちは伝わってくる。
最後に、ユリウスが身を屈め、額へ軽く唇を落とした。
「ルナ、上手にできていたよ」
短いひと言と温かな感触が、胸の奥まで広がっていく。
4人の気配に囲まれ、ルナフィエラは小さく息を吐いた。
胸の高鳴りはまだ収まらないけれど、不思議な安らぎが全身を包んでいた。
「……では、今日はユリウスの番ですね。あとはお願いします」
ヴィクトルがそう言って立ち上がり、フィンとシグもそれに続く。
「また明日ね、ルナ」
フィンが笑みを残し、シグは無言のままドアを閉めた。
静寂が訪れる。
残されたユリウスがルナフィエラの視線を受け止め、穏やかに問いかけた。
「……少し、欲しいんじゃないかな?」
彼女は瞬きをして首を傾げ、それからおずおずと頷く。
「……うん。でも、いいの?」
「もちろん。拒む理由などないよ」
淡く微笑むと、ユリウスは首元をさらけ出すよ
うに襟を緩めた。
促されるまま、ルナフィエラはそっと顔を寄せ、白い肌に唇を押し当てる。
「……いただきます」
ちくりと牙を立てると、温かく豊かな力が舌先に広がっていった。
(……あったかい……)
ゆっくりと血をもらっている間、ユリウスの手がルナフィエラの髪を撫でる。
「ルナに血をあげられることは、僕にとっても嬉しいことだよ」
低く囁く声に、ルナフィエラは頬を染めた。
やがて牙を離し、舌で小さく傷跡をなぞる。
「……ありがとう。なんだか、落ち着く」
「それは何よりだね。……ただ、もうひとつ」
言葉を終えるより早く、ユリウスは彼女の顎をそっと持ち上げ、唇を重ねてきた。
最初は短く、次いで深く――吸血の余韻と熱を確かめ合うように。
吐息が混ざり、胸の奥が甘く締めつけられる。
唇を離すと、ユリウスは小さく笑みを浮かべた。
「……お疲れさま、ルナ。今夜は、このまま眠ろう」
そう言って毛布を整え、ルナフィエラを腕の中へと引き寄せる。
「……うん」
耳元に響く心音と温もりに包まれながら、ルナフィエラは静かにまぶたを閉じた。
その一言に、場の空気がわずかに揺れた。
驚きと戸惑い、そして確かな喜びが、男たちの瞳に浮かぶ。
ユリウスが静かに問いかける。
「……本当に、いいんだね?」
ルナフィエラはゆっくりと頷いた。
「うん……でも、いきなりは怖いから…だから……ゆっくり、で」
「わかった。今日は最後までしない。
……ルナは、ただ感じるだけでいい」
ユリウスはそう言って、そっとルナフィエラの頬に触れ、額に軽く口づけた。
指先で髪をすくい上げ、耳元や首筋にやわらかなキスを落としていく。
その間、ヴィクトルの手がゆっくりと膝へ触れ、布越しに温もりを伝えてきた。
驚きにわずかに身をこわばらせた彼女に、彼は静かな声で囁く。
「……大丈夫です。嫌ならすぐにやめますので」
その誠実な響きに、緊張は少しずつ解けていった。
やさしい手つきが、布越しに何度も輪を描き、やがて直接触れられる。
温もりと心地よい刺激がじわじわと広がっていき、息が細くなる。
上から落ちてくるユリウスの口づけと、優しい手つき。
二方向から与えられる熱に、思考が追いつかなくなっていく。
「……っ……あ……」
胸の奥から熱がせり上がり、全身を支配する。
呼吸は浅くなり、視界がかすみ、そして──ふっと、何かがほどけた。
力が抜け、ベッドの上に身を預ける。
心も身体も、ふわりと軽くなっていた。
「……初めてだから、戸惑うのは当然だね」
ユリウスの低い声が耳元に落ちる。
ルナフィエラは瞬きをして、潤んだ瞳で彼を見上げた。
何が正解なのかも、どう振る舞えばいいのかもわからない。
ただ、胸の奥が温かく満たされている──それだけは、確かだった。
ヴィクトルが隣に膝をつき、そっと背を撫でる。
「……よく、頑張りましたね。初めてでしたが、ちゃんと受け入れてくださいました」
低く柔らかな声が、耳にやさしく響く。
反対側ではフィンが彼女の手をそっと握り込む。
「すごかったよ、ルナ。……偉いね」
明るさを少し抑えた声音が、胸に沁みた。
シグは何も言わず、ただ静かに頷く。
その眼差しだけで、充分に気持ちは伝わってくる。
最後に、ユリウスが身を屈め、額へ軽く唇を落とした。
「ルナ、上手にできていたよ」
短いひと言と温かな感触が、胸の奥まで広がっていく。
4人の気配に囲まれ、ルナフィエラは小さく息を吐いた。
胸の高鳴りはまだ収まらないけれど、不思議な安らぎが全身を包んでいた。
「……では、今日はユリウスの番ですね。あとはお願いします」
ヴィクトルがそう言って立ち上がり、フィンとシグもそれに続く。
「また明日ね、ルナ」
フィンが笑みを残し、シグは無言のままドアを閉めた。
静寂が訪れる。
残されたユリウスがルナフィエラの視線を受け止め、穏やかに問いかけた。
「……少し、欲しいんじゃないかな?」
彼女は瞬きをして首を傾げ、それからおずおずと頷く。
「……うん。でも、いいの?」
「もちろん。拒む理由などないよ」
淡く微笑むと、ユリウスは首元をさらけ出すよ
うに襟を緩めた。
促されるまま、ルナフィエラはそっと顔を寄せ、白い肌に唇を押し当てる。
「……いただきます」
ちくりと牙を立てると、温かく豊かな力が舌先に広がっていった。
(……あったかい……)
ゆっくりと血をもらっている間、ユリウスの手がルナフィエラの髪を撫でる。
「ルナに血をあげられることは、僕にとっても嬉しいことだよ」
低く囁く声に、ルナフィエラは頬を染めた。
やがて牙を離し、舌で小さく傷跡をなぞる。
「……ありがとう。なんだか、落ち着く」
「それは何よりだね。……ただ、もうひとつ」
言葉を終えるより早く、ユリウスは彼女の顎をそっと持ち上げ、唇を重ねてきた。
最初は短く、次いで深く――吸血の余韻と熱を確かめ合うように。
吐息が混ざり、胸の奥が甘く締めつけられる。
唇を離すと、ユリウスは小さく笑みを浮かべた。
「……お疲れさま、ルナ。今夜は、このまま眠ろう」
そう言って毛布を整え、ルナフィエラを腕の中へと引き寄せる。
「……うん」
耳元に響く心音と温もりに包まれながら、ルナフィエラは静かにまぶたを閉じた。
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