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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝
第113話・再訪の街、灯の下で
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陽が傾きはじめた頃、街道の向こうに石造りの城壁が見えてきた。
見覚えのある光景に、ルナフィエラは胸をどきどきと高鳴らせる。
「……また、この街に来られるなんて」
初めて訪れたときの緊張を思い出す。
けれど今は――その時よりも心は落ち着いていた。
隣には、変わらず彼らがいるから。
「ルナ、覚えてる? あのパン屋さんの匂い!」
フィンがわくわくした声をあげる。
「うん。……すごく香ばしかった」
笑みをこぼす彼女に、ユリウスが歩み寄る。
その表情は冷静そのものだ。
「……だが、気を抜くわけにはいかない。この街でもヴァンパイアや魔族は迫害される」
彼の指先が光を帯び、ルナフィエラの髪と瞳へ触れる。
白銀の髪は栗色に、紅の瞳は深い緑へ。
「まずはルナから。特徴的すぎるからね」
「……ありがとう、ユリウス」
続いて、ヴィクトルの紅い瞳に光が宿る。
黒髪はそのままに、瞳の色が落ち着いた琥珀色へと変わった。
「……必要なことです。構いません」
静かに受け入れる彼の声に、ルナフィエラの胸が温かくなる。
最後にシグ。
彼の角と瞳は人間の姿に覆い隠され、異形の影は完全に消えた。
「これで街に入っても怪しまれない。だが油断は禁物だ」
ユリウスの低い声に、全員が頷いた。
夕暮れの街門を抜けると、石畳の上に賑わいが広がる。
屋台の匂い、商人の声、荷馬車の軋む音。
ルナフィエラは深呼吸をして微笑んだ。
「2回目なのに……やっぱり緊張する」
その呟きに、ヴィクトルが隣で囁いた。
「……ご安心ください。我々もおりますし、宿にもすでに目星をつけてあります」
彼の落ち着いた声音に、自然と不安は和らいでいく。
こうして一行は、人の街の喧騒へと溶け込んでいった。
まずは宿屋へ。
宿の主人から鍵を受け取ったユリウスが、あたり前のように告げた。
「2部屋、用意できた。行こう」
「……2部屋?」
ルナフィエラは小さく首をかしげる。
一人部屋もあると聞いていたから、3部屋だと思っていたのだ。
(2部屋でどう分けるんだろう……?)
そんな考えが浮かんだまま、ユリウスに手を取られ、部屋へ導かれる。
扉を開ければ、整えられた二つのベッド。
そして当然のように、ヴィクトルも一緒に入ってきた。
隣の部屋には、シグとフィンが荷を抱えて入っていく。
「…………え?」
部屋の真ん中で立ち尽くす彼女に、ユリウスは口元に小さな笑みを浮かべた。
「心配しなくていいよ。今日は僕と一緒に寝るから」
「……えっ?」
思わず顔を上げると、ユリウスはあくまで当然のように続ける。
「護衛の観点からも、ルナを一人にすることはできない。それに――旅行中でも君と同じベッドで眠れるのは、悪くないだろう?」
「……っ」
耳まで熱くなるのを感じ、ルナフィエラは言葉を失った。
そんな彼女の動揺を余所に、ヴィクトルは淡々と荷を整理しながら補足する。
「必要なことです。ルナ様に不安が生じぬよう、常に傍で見守るのが当然ですから」
真剣な声音と、ユリウスのさらりとした言葉に、ルナフィエラは胸をどきどきさせた。
驚きはあったが、それが嫌ではない。
むしろ――誰かと一緒に眠ることは、すでに当たり前の安心になっていた。
ルナフィエラは頬を染めたまま、小さく息を整え「ありがとう」と2人に伝えた。
宿に荷を置いたあと、一行は街の灯に誘われるように外へ出た。
夕暮れの石畳には人々の声が溢れ、屋台の灯りが連なり、香ばしい匂いが風に乗って漂ってくる。
「わぁ……!」
彼女の瞳が自然と輝きを帯びる。
「ほらほら、ルナ! あっちに焼き串のお店があるよ!」
フィンが彼女の手を引き、屋台を次々と覗いて回る。
シグは人混みの中でも周囲を鋭く見渡し、近づく者に視線だけで圧をかける。
人々は自然と距離を取り、道が開かれていった。
「荷はお任せください」
ヴィクトルは買った食べ物や小さな包みを手際よくまとめ、ルナフィエラの負担を決して増やさない。
ユリウスは屋台を巡りながらも、保存できる乾燥肉や干し果実など旅の備えを準備していた。
「……甘いものばかり買っていても仕方ないからね」
そう言いつつ、結局彼女が気に入った焼き菓子も手に取っている。
にぎやかな声と共に一行は夕食を済ませ、賑わう街の夜を堪能して宿へと戻っていった。
見覚えのある光景に、ルナフィエラは胸をどきどきと高鳴らせる。
「……また、この街に来られるなんて」
初めて訪れたときの緊張を思い出す。
けれど今は――その時よりも心は落ち着いていた。
隣には、変わらず彼らがいるから。
「ルナ、覚えてる? あのパン屋さんの匂い!」
フィンがわくわくした声をあげる。
「うん。……すごく香ばしかった」
笑みをこぼす彼女に、ユリウスが歩み寄る。
その表情は冷静そのものだ。
「……だが、気を抜くわけにはいかない。この街でもヴァンパイアや魔族は迫害される」
彼の指先が光を帯び、ルナフィエラの髪と瞳へ触れる。
白銀の髪は栗色に、紅の瞳は深い緑へ。
「まずはルナから。特徴的すぎるからね」
「……ありがとう、ユリウス」
続いて、ヴィクトルの紅い瞳に光が宿る。
黒髪はそのままに、瞳の色が落ち着いた琥珀色へと変わった。
「……必要なことです。構いません」
静かに受け入れる彼の声に、ルナフィエラの胸が温かくなる。
最後にシグ。
彼の角と瞳は人間の姿に覆い隠され、異形の影は完全に消えた。
「これで街に入っても怪しまれない。だが油断は禁物だ」
ユリウスの低い声に、全員が頷いた。
夕暮れの街門を抜けると、石畳の上に賑わいが広がる。
屋台の匂い、商人の声、荷馬車の軋む音。
ルナフィエラは深呼吸をして微笑んだ。
「2回目なのに……やっぱり緊張する」
その呟きに、ヴィクトルが隣で囁いた。
「……ご安心ください。我々もおりますし、宿にもすでに目星をつけてあります」
彼の落ち着いた声音に、自然と不安は和らいでいく。
こうして一行は、人の街の喧騒へと溶け込んでいった。
まずは宿屋へ。
宿の主人から鍵を受け取ったユリウスが、あたり前のように告げた。
「2部屋、用意できた。行こう」
「……2部屋?」
ルナフィエラは小さく首をかしげる。
一人部屋もあると聞いていたから、3部屋だと思っていたのだ。
(2部屋でどう分けるんだろう……?)
そんな考えが浮かんだまま、ユリウスに手を取られ、部屋へ導かれる。
扉を開ければ、整えられた二つのベッド。
そして当然のように、ヴィクトルも一緒に入ってきた。
隣の部屋には、シグとフィンが荷を抱えて入っていく。
「…………え?」
部屋の真ん中で立ち尽くす彼女に、ユリウスは口元に小さな笑みを浮かべた。
「心配しなくていいよ。今日は僕と一緒に寝るから」
「……えっ?」
思わず顔を上げると、ユリウスはあくまで当然のように続ける。
「護衛の観点からも、ルナを一人にすることはできない。それに――旅行中でも君と同じベッドで眠れるのは、悪くないだろう?」
「……っ」
耳まで熱くなるのを感じ、ルナフィエラは言葉を失った。
そんな彼女の動揺を余所に、ヴィクトルは淡々と荷を整理しながら補足する。
「必要なことです。ルナ様に不安が生じぬよう、常に傍で見守るのが当然ですから」
真剣な声音と、ユリウスのさらりとした言葉に、ルナフィエラは胸をどきどきさせた。
驚きはあったが、それが嫌ではない。
むしろ――誰かと一緒に眠ることは、すでに当たり前の安心になっていた。
ルナフィエラは頬を染めたまま、小さく息を整え「ありがとう」と2人に伝えた。
宿に荷を置いたあと、一行は街の灯に誘われるように外へ出た。
夕暮れの石畳には人々の声が溢れ、屋台の灯りが連なり、香ばしい匂いが風に乗って漂ってくる。
「わぁ……!」
彼女の瞳が自然と輝きを帯びる。
「ほらほら、ルナ! あっちに焼き串のお店があるよ!」
フィンが彼女の手を引き、屋台を次々と覗いて回る。
シグは人混みの中でも周囲を鋭く見渡し、近づく者に視線だけで圧をかける。
人々は自然と距離を取り、道が開かれていった。
「荷はお任せください」
ヴィクトルは買った食べ物や小さな包みを手際よくまとめ、ルナフィエラの負担を決して増やさない。
ユリウスは屋台を巡りながらも、保存できる乾燥肉や干し果実など旅の備えを準備していた。
「……甘いものばかり買っていても仕方ないからね」
そう言いつつ、結局彼女が気に入った焼き菓子も手に取っている。
にぎやかな声と共に一行は夕食を済ませ、賑わう街の夜を堪能して宿へと戻っていった。
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