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橋
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夜の川を見ると死にたくなる。
これは誰の言葉だっただろうか。
ある日、ふとした流れで偶然見つけた言葉。
高い建物の屋上ではなく、橋の上。
ロマンチックな海辺じゃなくて、濁った川。
夜の川原は真っ黒だった。
駅や建物から見た川原はキラキラした建物に挟まれて綺麗に見えたのに、今は何も見えない。
石も草も水もすべてが黒い。
近くにある建物の光は細かすぎて届かないし、誰もいないから声もしない。
風の音と、たまに草の揺れる音だけがした。
制服のままこんな時間に来るのは初めて。
バレたら絶対に怒られる、けど、近くで見てみたくなったから来てしまった。
夜の川原はとても怖かった。
何かがいそうで、ずっとビクビクして、立つ物音一つ一つに体が大きく震えた。
目の前の茂みから動物が出てきて、悲鳴を上げた。目的を果たす前に心が折れそうになったから、脇目も振らず走って橋まで向かった。
橋に立って川を見下ろす。
やっぱり真っ黒だ。
もっと何か見えないかと柵に手を当てて、そのままドキリとした。
脳裏にここから飛び降りる自分が一瞬映ったから。
あの言葉のせいかな。
でも、ここから飛び降りて死ねるのか少し疑問だ。
運動は苦手だけど、泳ぐのは得意だ。服を着たまま泳ぐのは大変だとよく聞くし、泳ぎにくいことは想像できるが、川の流れも激しくないし、助かろうと思えば助かりそうじゃないか。
‥‥‥ああ、そういうことか。
納得いった。
高い建物の屋上なんて、なかなか入れないし飛び降りると人に迷惑がかかる。
海は黒くなっても波があるし、奥へ奥へ進むには未知への恐怖が混ざる。
それに比べてよく知っている川。何回も見たことのある川。
私の浅はかな考えは油断と隙だらけだった。
だから、川はより魅力的でそこに吸い込まれそうになった。
死にたいわけではない、はずなのに。
死を想像してしまった。
その事実により混乱しそうになる。
そういえば、前に別の誰かも言っていた。
本当に死にたい人はもうそこまで色々思いつかないほど追い詰められているのだ、と。
じゃあ、思いついた自分は、やっぱりまだ死にたくはないんだと確信する。
そう確信した上で橋の柵にもう一度手をかける。
真っ黒な川は冷たくて気持ち良さそうだった。
これは誰の言葉だっただろうか。
ある日、ふとした流れで偶然見つけた言葉。
高い建物の屋上ではなく、橋の上。
ロマンチックな海辺じゃなくて、濁った川。
夜の川原は真っ黒だった。
駅や建物から見た川原はキラキラした建物に挟まれて綺麗に見えたのに、今は何も見えない。
石も草も水もすべてが黒い。
近くにある建物の光は細かすぎて届かないし、誰もいないから声もしない。
風の音と、たまに草の揺れる音だけがした。
制服のままこんな時間に来るのは初めて。
バレたら絶対に怒られる、けど、近くで見てみたくなったから来てしまった。
夜の川原はとても怖かった。
何かがいそうで、ずっとビクビクして、立つ物音一つ一つに体が大きく震えた。
目の前の茂みから動物が出てきて、悲鳴を上げた。目的を果たす前に心が折れそうになったから、脇目も振らず走って橋まで向かった。
橋に立って川を見下ろす。
やっぱり真っ黒だ。
もっと何か見えないかと柵に手を当てて、そのままドキリとした。
脳裏にここから飛び降りる自分が一瞬映ったから。
あの言葉のせいかな。
でも、ここから飛び降りて死ねるのか少し疑問だ。
運動は苦手だけど、泳ぐのは得意だ。服を着たまま泳ぐのは大変だとよく聞くし、泳ぎにくいことは想像できるが、川の流れも激しくないし、助かろうと思えば助かりそうじゃないか。
‥‥‥ああ、そういうことか。
納得いった。
高い建物の屋上なんて、なかなか入れないし飛び降りると人に迷惑がかかる。
海は黒くなっても波があるし、奥へ奥へ進むには未知への恐怖が混ざる。
それに比べてよく知っている川。何回も見たことのある川。
私の浅はかな考えは油断と隙だらけだった。
だから、川はより魅力的でそこに吸い込まれそうになった。
死にたいわけではない、はずなのに。
死を想像してしまった。
その事実により混乱しそうになる。
そういえば、前に別の誰かも言っていた。
本当に死にたい人はもうそこまで色々思いつかないほど追い詰められているのだ、と。
じゃあ、思いついた自分は、やっぱりまだ死にたくはないんだと確信する。
そう確信した上で橋の柵にもう一度手をかける。
真っ黒な川は冷たくて気持ち良さそうだった。
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