猫の気持ち 犬の気持ち 家族の絆

夢咲はるか

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第1話(1)

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「ん? 誰だろう」

 午後。八時過ぎのこと。リビングでテレビを観ていたら、チャイムが鳴り響いた。
 丁度面白くなってきたところなのだけれど、両親は仕事の都合で県外にいる。つまり代わりに出てくれる人はいないので、僕が行くしかない。

「マシマロ。ちょっと降りてくれるかな」
「にゃー」

 左肩に乗っていたアメリカンショートヘアーの雌・マシマロにどいてもらって、玄関へと向かう。
 リビングにインターフォンがあるのだが、それは生憎故障中。そのためドア越しに尋ねなければならないのだ。

「お待たせしました。どちらさまですか?」

 この時間帯からすると、回覧板かな? なんて予想をしてみると、

『あの~。樹坂修助(きさかしゅうすけ)さんですかねー?』

 ドアの向こう側から、そんな声が聞こえてきた。
 質問に質問が返ってくるとは意外だったが、樹坂修助は僕の名前だ。ここはとりあえず返事をしよう。

「ええ、はい。そうですよ」
『やっぱり、そうでしたかーっ。了解いたしました!』

 ??? この返事はなんだ? どういうことだ……?

「えっと……。僕に何の用でしょうか?」
『ぁ、すみません、なんでもありません。回覧板をお届けに参りましたー』
「ああ、これはどうも。ちょっと待ってくださいね」

 来訪者の目的は、思った通りの回覧板。
 しかしいつもはご近所の奥様が来てくれるのだけども、今日は若い女の子の声だ。どなたなのかな?
 なんて考えながら、ドアを開ける。そうしたらそこにいたのは、制服姿の女の子。髪の毛の一部がピョンと跳ねてて猫耳みたいになっている可愛らしい人で、わきには旅行で使うキャリーバッグがあった。
 コレは見慣れない制服だし帰ってきた感じがあるから、どうもお孫さん辺りが帰省した直後に頼まれたようだ。

「こんばんは。わざわざありがとうございます」
「こんばんはですー。いえいえー」
「…………」
「…………」

 えーと。この人、笑顔のままで一向に回覧板を渡してくれないのだけども。てか、どこにもそれらしい物はないんだけども。

「あ、あのー……」
「おっと申し遅れました。私、リリというものです」

 戸惑っていると、恭しくお辞儀をしてくれた。
 へぇ~、リリさんねぇ。珍しい名前だけどハーフなのかな――ってそうじゃない。僕は回覧板を受け取りたいんだ。

「えっと。回覧板を届けに来てくれたんですよね?」
「いいえ、あれは嘘なんですよ。方便として使用させてもらいました」

 は?
 え?

「じゃ、じゃあ。何をしにいらしたんですか?」


「突然ですが修助さん! あなたは、私たち猫側の演説者に決定いたしましたー」


 ………………。
 突然の発表に、僕の思考回路が停止してしまう。
 私たち猫側? 演説者?
 この人、唐突に何を言っているんだ?

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