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「お帰り。随分長かったけど、何かあった?」
「広子さんからお電話で、色々お喋りをしてました。お待たせしてごめんなさい」
「気にしなくていいよ。まったりしてたから、全然苦痛じゃなったし――あ、そうそう。おトイレ借りるね」
首を左右に振っていた奈々は、自然を装って立ち上がる。
彼女がトイレ――個室を使用するのは、用を足すためではありません。『ちゃんと撮れたか』、即ちもう一度由香を部屋から出す必要があるかないかを伝えるため、例の場所で呟く約束をしていたのです。
「はいどうぞ。場所は、分かりますか?」
「廊下の突き当たり、だよね? いってきます」
奈々はヒラヒラ手を振って、廊下を進んでトイレに入る。そしてしっかり鍵を締めた彼女は、服の下に隠し持っていたタブレットを取り出した。
《作戦大成功。家電は不要だよ》
万が一の裏アカ発覚を防ぐため、違う端末でメッセージを発信する。そうすればすぐに反応があり、《OK》と返ってきた。
《これから適当に時間を潰して、家に帰る。夜が楽しみだね』
《そうね。今夜が待ち遠しいわ》
《あっ、待ち遠しいんだったらさーっ。ミサが撮った写真を一つ発表するよー! 今はそれで我慢してー》
《催促するつもりはなかったんだけど、見せてもらうわ。どんなものを撮ったの?》
《えっとねー。んっとねー。これ、だよーっ!》
そんな文字のあとに、アップされた画像。それは――
美里の生首。
テーブルの上にぽつんと、美里の頭が置かれていたのでした。
「広子さんからお電話で、色々お喋りをしてました。お待たせしてごめんなさい」
「気にしなくていいよ。まったりしてたから、全然苦痛じゃなったし――あ、そうそう。おトイレ借りるね」
首を左右に振っていた奈々は、自然を装って立ち上がる。
彼女がトイレ――個室を使用するのは、用を足すためではありません。『ちゃんと撮れたか』、即ちもう一度由香を部屋から出す必要があるかないかを伝えるため、例の場所で呟く約束をしていたのです。
「はいどうぞ。場所は、分かりますか?」
「廊下の突き当たり、だよね? いってきます」
奈々はヒラヒラ手を振って、廊下を進んでトイレに入る。そしてしっかり鍵を締めた彼女は、服の下に隠し持っていたタブレットを取り出した。
《作戦大成功。家電は不要だよ》
万が一の裏アカ発覚を防ぐため、違う端末でメッセージを発信する。そうすればすぐに反応があり、《OK》と返ってきた。
《これから適当に時間を潰して、家に帰る。夜が楽しみだね』
《そうね。今夜が待ち遠しいわ》
《あっ、待ち遠しいんだったらさーっ。ミサが撮った写真を一つ発表するよー! 今はそれで我慢してー》
《催促するつもりはなかったんだけど、見せてもらうわ。どんなものを撮ったの?》
《えっとねー。んっとねー。これ、だよーっ!》
そんな文字のあとに、アップされた画像。それは――
美里の生首。
テーブルの上にぽつんと、美里の頭が置かれていたのでした。
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