Fate-未来世界 機械戦記物語-

菜々瀬

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1-Revival

Decision

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 「ジョニー!!」



 ウルは涙ながらに呼びかけて、ジョニーの元へと一目散に駆け付ける。



 彼が身に付けていた国家軍隊の武装をしていたが、それも無残に破壊されて致命傷を負っていた。



 「…すま、ない…こんな形に…なってしまうとは…」


 「ダメ!喋らないで!!今すぐ私から医療班に連絡するから!!」


 「いや…俺はもうダメだ。最後の…言葉となる…力を振り絞るからよく聞け」



 ジョニーは一瞬瞳を閉じる。彼はもう痛みを感じることすらなかった。



 しかし、命の灯火を絶やすまいと口を動かした。



 「地上の世界は、もう…地下の国民が想像している以上に戦争体制になっている…。国家軍の兵数は5,000を…越えている。その内の100の兵が…もうじき第4シェルターへと侵攻してくるだろう…。

  国家と戦うならば…俺の兵を連れて行け。彼らも、俺達と同じシェルター出身者達だ…」


 会話の合間に吐血を繰り返す。臓器への損傷があまりにも深刻であることが伺える。



 「ウル、お前が設計したテクノも連れて行くつもりだろうが…総戦力を持ってして迎え撃て。

そして、戦いに生き延びたらここへ行け。理由は自ずと分かるだろう」



 ジョニーはひび割れたデバイスを取り出して、ウルにその目的地の位置情報を送信する。



 そこには、ユーロフィア国辺境にある小都市“パリシア”と明記されていた。



 一体何が待ち受けているのか、その時は皆目検討が付かなかった。



 「…ジョニー…ごめんなさい…!!」


 「…全くだ。だが、心のどこかで応援していた。国家に抗い、生きようとする強い意志を持ったお前をな…」



 ー 後は、頼ん…だ…ぞ。



 今にも枯れそうなか細い声。それが途絶えると彼の最期を告げた。


 哀しみを抑えきれなくなり、涙を流し続けた。


 涙を流す時ではない。そう思えば思うほどに涙が止まらない。



 「ジョニー…ジョニー!!」



 取り乱している彼女の様子を見て、ラヴァンは声をかける。



 「もう機能していない」


 「わかってるわよ!!そんなこと…!!」



 思わず感情を剥き出しにしてしまう。



 ラヴァンにそういう態度で示したところで何にも解決にならないのは明白である。彼女も十分に分かっていた。



 そして、ラヴァンはウルに再度言葉をかける。



 「俺を活動開始アクティベートさせたのはお前達か?」


 「…ええ。そうよ」


 「…今の西暦は?」


 「4520年よ。貴方は、およそ千年の間眠りについていたのよ」



 その言葉を受けたラヴァンはその場で頭を抱えて、独り言のように呟いた。



 「…メモリーがほとんど残されていない。俺は何をしていたんだ」



 彼には、名前、そして自身がテクノであるという最低限のアイデンティティの記憶のみが残されていた。



 先程プログラムは全てインストールされている以上、何らかの原因によってプログラムが消去されてしまったのである。



 「…そうだわ。貴方にお願いがあるの!」



 ラヴァンは沈黙を続ける。ウルは現在の国家の状況を全て説明した。それを踏まえた上で、共に戦うことを熱望する。



 それに対して、ラヴァンは感情を表に出すことなく返答する。



 「お前が俺を活動開始アクティベートさせた時点で、俺のマスターはお前だ。PIを教えてくれ」

 ※パーソナルインフォーメーション。テクノが起動した際にマスターとして認識する名前等の情報。



 「私の名前は、ウル・リズナエルよ。ユーロフィア国第4シェルター所属」


 「ウル…これからお前をマスターとして認識する。ミッションを課せ」



 彼の言葉に対して、ウルは大きく息を吸い込む。



 これまでの出来事を自身の中で整理するように落ち着かせると、決意が込められた瞳をラヴァンに向けた。



 「第4シェルターへの侵攻を防ぐため、国家と戦う!!貴方には、兵として国家と戦ってもらいたいの!!」


 「完全同意アグリーメント、マスター」


 侵略に立ち向かう一人の国民、そして千年の眠りから覚めた戦士との物語が幕を開けようとしていた。



 二人は、地下荒野を抜け出して、第4シェルターにて待つジョニーが率いる兵との合流を目指して歩み始めた。



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