淫らで美味しいワンコ君が、センセイの帰りを待っています! ~崖っぷちから始まる辺境女教師スローライフ~

冬島六花

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第一章 辺境のハロウィンパーティ

1-10.ハロウィンは、仮装もダンスも本格的

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 そうして訪れた十月三十一日の夜。特別棟の隣にある大ホールで、学校主催のハロウィンパーティは催された。普段はそれぞれの教室で過ごす生徒や教師が一堂に会する機会である。

 頑張って考えた仮装をして、メイクも念には念を入れて、時間をかけて完成させたのだ。少しは同僚や生徒たちに喜んでもらえるだろうか。

「わ、リズ先生。妖しさ満点、その上すっごく色っぽい!」
「魔女? うん、リズ先生に似合っているわ」

 ヴィッキーは事前の宣言通り、大迫力のメデューサに変身していた。ウェーブした髪を束にして固め、動き回る蛇を演出しているのだ。一方でイヴリンは、全身をおどろおどろしい模様のゴースト柄シーツで多い、目だけを出していた。どうやら教師陣は、本格ホラー志向の仮装をするのが伝統らしい。他の教師たちも、魔王に竜にエルフ等々、やたらと本格的な仮装をしている。

「ありがとう。魔女なら私にも、それっぽく変身できるかなと思って」

 とんがり帽子にシックな黒のワンピース、そしていつもより濃いめの口紅を引き、目元は仮面で隠す。髪は下ろして、母の形見であるマラカイトの耳飾りと首飾りを付けた。知っている人間が見れば正体はバレバレなのだが、きちんと魔女の仮装をしていることは伝わるだろう。

 ヴィッキーとイヴリンは本心からリズの魔女姿を褒めてくれたのだとは思うが、やはり二人の仮装の前には霞む。――正直、こんなに頑張って作っているとは。今日の反省を来年に活かそうとリズは心に決めるのだった。

「私たちはやり過ぎな方だから、別に真似しなくてもいいよ。魔女、すっごくリズ先生に似合うもの。さぁ、踊りに行こう」

 メデューサ……ではなくヴィッキーは、リズの心を読んだかのようにフォローをする。そしてリズの手を取りホールの真ん中へと進んだ。会場には音楽が流れ、仮装した生徒や教師たちが思い思いに踊る。

 リズは最初にヴィッキーとステップを踏み、それからイヴリンとも踊ったが、次の相手は誰か分からなかった。

 仮装はみな本格的で、半分以上の参加者は目元を隠す仮面をつけている。今夜ばかりは生徒や教師という立場を取り払って、自由に踊り、会話を楽しめるようだ。

(ダンスなんて学生時代以来かもしれないわね。すっかり忘れてしまっていたけれど、やれば案外できるものだわ)

 気が付けば、リズはハロウィンパーティを楽しんでいた。一曲終われば近くにいる人から「踊りませんか?」と誘われるのだ。どうやらこの学校の関係者はみな、ダンスがたいそう好きらしい。仮装だけでなく、踊ることにおいても本格派なのである。

(すっごく楽しい!)

 リズは軽やかに身を翻し、ステップを踏み、相手と笑い合って踊り続けた。
 ――それが終わったのは、うっかりステップを間違えたリズが、男にぶつかったときである。
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