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第二章 淫らで美味しい同居生活
2-10.同僚教師へ打ち明けたものの……
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昼休み。リズはいつものようにヴィッキー、イヴリンとの三人で昼食を取っていた。十一月の半ば、窓から見える木々はすっかり紅葉し、地面には黄色や赤の絨毯が敷き詰められている。晴れた空には雲一つなく、冷えた空気を暖めるように太陽の光が降り注いでいた。
(テッドのあの様子、なんだったのかしら)
リズは考え事をしながら、無言で口を動かしていた。今日のランチは卵焼きのサンドイッチである。もちろん、テッドが用意してくれたものだ。リズは昨夜のことが頭に引っかかったままだった。なぜ、テッドはあんな行動をとったのか――。
「リズ、そのサンドイッチ美味しそう」
「最近の昼食、充実してるわね」
「ありがとう。うん、すごく美味しいの。私じゃとても作れない」
上の空のまま、リズは答える。卵焼きの中にはジャガイモや挽き肉が入っており、絶妙な塩加減で美味しい。テッドと同居を始めてから、リズの食生活は多いに向上した。
「前はリンゴとバゲットを丸かじり、みたいな昼食だったもんね」
「……え? 私じゃとても……ってことは、誰かに作ってもらっているの?」
イヴリンが痛いところを突いてきた。彼女は清楚で上品な見た目をしているが、勘が良いのだ。
「えっ、まさかまさか……恋人ができた?」
「もしかして、ハロウィンパーティの彼かしら?」
リズが口を開かないうちに、ヴィッキーとイヴリンは矢継ぎ早に質問を投げかける。テッドについて、リズはまだ二人に打ち明けていなかった。リズが暮らしているのは主に新人教師向けの寮である。間取りはこぢんまりしているから、ヴィッキーはとっくに引っ越しているし、イヴリンは陶芸家の夫や子どもとともに一軒家に住んでいるのだ。リズが自分から話さなければ、二人がテッドについて知る機会もないのだった。
「きゃーっ、いいじゃん、いいじゃん、リズ」
「青春ねぇ……私も結婚前には、リズみたいなロマンスがあったわぁ」
「えっ、それ元カレとの修羅場のこと?」
「ちょっ、ヴィッキー! 爆弾発言しないでよ。……リズ、ごめんね。いつか心の整理ができたら話すから」
「イヴリン、未だに引きずってるんだ」
リズの目の前で、二人は過去の思い出について語り始めた。どうやらイヴリンは以前の恋人との間で相当の修羅場を経験しているらしい。このままその話題に流れてくれたらいいのに――とリズは願うわけだが、そう上手くはいかないのだった。
「もうっ。私のことはいいでしょう? ……それより、リズよ。どんな彼なの? 名前は? 年齢は? 仕事は? 髪の色や瞳の色、背の高さは? 性格は優しい? 詳しく教えてよ、知りたいわ」
イヴリンは立ち上がり前のめりになってリズを問い詰める。彼女の顔が、リズの一寸先まで近づいてきた。
「えっ、えっと……実はご指摘通り、ハロウィンパーティで出会った男の人よ。でも、本名も年齢も仕事も知らないの。テッドって呼んでいて、シルバーに近いきれいな髪の色をしていて、瞳は森みたいな緑色。人なつっこくて、ワンコみたいな性格……」
「ええっ、素性の知れない男? それでいいのか?」
「リズって、意外と大胆」
リズのしどろもどろな説明に、イヴリンとヴィッキーは興味津々だという様子で食いついてくる。
「べ、別に今はそれでいいっていうか……料理と家事が得意で、毎日のランチも彼が作ってくれるのよ。だから満足してる」
「リズ、すごい……!」
「ぶっちゃけ、家事が得意なら無職でも問題ないわよね。……私も家事ができる旦那が良かったわ」
ヴィッキーとイヴリンは、リズの言葉に相づちを打つ。
(ああ、もう……これではテッドについて相談するどころじゃないわね)
リズは小さな溜め息を吐いた。それから好奇心に満ちた二人の質問責めを受けたのだが――しかしリズはテッドのことを、ほとんど何も知らない。
「リズ、素性の知れない男は気を付けた方がいい」
「うん、私もそう思う。……けど、神秘的な男に惹かれる気持ちも、私には分かるわ」
ヴィッキーとイヴリンは、リズを心底心配しているという表情で頷き合うのだった。
(まぁ、そうよね。テッドは昨夜の様子も変だったし――私たち、どうなるのかしら)
落ち込みつつ食べ終えたランチの包みをまとめると、ちょうどチャイムが鳴った。午後も頑張らなければ――リズは気持ちを仕事モードに切り替えるのだった。
(テッドのあの様子、なんだったのかしら)
リズは考え事をしながら、無言で口を動かしていた。今日のランチは卵焼きのサンドイッチである。もちろん、テッドが用意してくれたものだ。リズは昨夜のことが頭に引っかかったままだった。なぜ、テッドはあんな行動をとったのか――。
「リズ、そのサンドイッチ美味しそう」
「最近の昼食、充実してるわね」
「ありがとう。うん、すごく美味しいの。私じゃとても作れない」
上の空のまま、リズは答える。卵焼きの中にはジャガイモや挽き肉が入っており、絶妙な塩加減で美味しい。テッドと同居を始めてから、リズの食生活は多いに向上した。
「前はリンゴとバゲットを丸かじり、みたいな昼食だったもんね」
「……え? 私じゃとても……ってことは、誰かに作ってもらっているの?」
イヴリンが痛いところを突いてきた。彼女は清楚で上品な見た目をしているが、勘が良いのだ。
「えっ、まさかまさか……恋人ができた?」
「もしかして、ハロウィンパーティの彼かしら?」
リズが口を開かないうちに、ヴィッキーとイヴリンは矢継ぎ早に質問を投げかける。テッドについて、リズはまだ二人に打ち明けていなかった。リズが暮らしているのは主に新人教師向けの寮である。間取りはこぢんまりしているから、ヴィッキーはとっくに引っ越しているし、イヴリンは陶芸家の夫や子どもとともに一軒家に住んでいるのだ。リズが自分から話さなければ、二人がテッドについて知る機会もないのだった。
「きゃーっ、いいじゃん、いいじゃん、リズ」
「青春ねぇ……私も結婚前には、リズみたいなロマンスがあったわぁ」
「えっ、それ元カレとの修羅場のこと?」
「ちょっ、ヴィッキー! 爆弾発言しないでよ。……リズ、ごめんね。いつか心の整理ができたら話すから」
「イヴリン、未だに引きずってるんだ」
リズの目の前で、二人は過去の思い出について語り始めた。どうやらイヴリンは以前の恋人との間で相当の修羅場を経験しているらしい。このままその話題に流れてくれたらいいのに――とリズは願うわけだが、そう上手くはいかないのだった。
「もうっ。私のことはいいでしょう? ……それより、リズよ。どんな彼なの? 名前は? 年齢は? 仕事は? 髪の色や瞳の色、背の高さは? 性格は優しい? 詳しく教えてよ、知りたいわ」
イヴリンは立ち上がり前のめりになってリズを問い詰める。彼女の顔が、リズの一寸先まで近づいてきた。
「えっ、えっと……実はご指摘通り、ハロウィンパーティで出会った男の人よ。でも、本名も年齢も仕事も知らないの。テッドって呼んでいて、シルバーに近いきれいな髪の色をしていて、瞳は森みたいな緑色。人なつっこくて、ワンコみたいな性格……」
「ええっ、素性の知れない男? それでいいのか?」
「リズって、意外と大胆」
リズのしどろもどろな説明に、イヴリンとヴィッキーは興味津々だという様子で食いついてくる。
「べ、別に今はそれでいいっていうか……料理と家事が得意で、毎日のランチも彼が作ってくれるのよ。だから満足してる」
「リズ、すごい……!」
「ぶっちゃけ、家事が得意なら無職でも問題ないわよね。……私も家事ができる旦那が良かったわ」
ヴィッキーとイヴリンは、リズの言葉に相づちを打つ。
(ああ、もう……これではテッドについて相談するどころじゃないわね)
リズは小さな溜め息を吐いた。それから好奇心に満ちた二人の質問責めを受けたのだが――しかしリズはテッドのことを、ほとんど何も知らない。
「リズ、素性の知れない男は気を付けた方がいい」
「うん、私もそう思う。……けど、神秘的な男に惹かれる気持ちも、私には分かるわ」
ヴィッキーとイヴリンは、リズを心底心配しているという表情で頷き合うのだった。
(まぁ、そうよね。テッドは昨夜の様子も変だったし――私たち、どうなるのかしら)
落ち込みつつ食べ終えたランチの包みをまとめると、ちょうどチャイムが鳴った。午後も頑張らなければ――リズは気持ちを仕事モードに切り替えるのだった。
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