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第四章 ジューンブライド
4-3.マラカイトの秘密
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「どうしてこれを――テッドが持っているの?」
目を瞬かせて、リズは訊ねた。
(テッドは最初から、何かの目的を持って私に近づいたということ……?)
思い当たる節はある。ハロウィンパーティでの出会い、その後の自然な居候生活――。とても楽しい時間は過ごせたが、いかんせん出来過ぎている。
「僕の母は、グランドブリッジで学校を運営している。裕福な人々からの寄付で成り立っていて、逆に生徒の多くは貧しい家庭の子ども達だ。リズ先生のお母さんも、その学校の生徒だったんだよ」
「私の、母が……?」
知らない、知りたかった情報を突然に得て、リズはどう反応すれば良いか分からなかった。
(信じがたいけれど、でも……テッドは嘘を吐いている顔ではないわ)
「北の町、グランドブリッジの教会に、リズ先生のお母さんのお墓がある」
「え」
「リズ先生、君のお母さんは、町の有力者の愛人だったんだ。グランドブリッジにほど近い場所に、マラカイトの産地があるだろう? 君のお父さんは、お母さんへの愛の証しとして、マラカイトのジュエリーを贈ったんだ」
テッドの言葉は、リズの想像を上回る内容だった。しかし――事実だとすれば、納得のいく面もある。
「たしかに、この国の北部はマラカイトの産地だわ……」
地学の教師として、リズはテッド以上に分かっていた。リズの所有するジュエリーは、おそらく色合いや模様から、この国の北部で採れたものだと。
「リズ先生のお母さんは、リズ先生が幼い頃に亡くなった。病気が見つかって、あっという間に亡くなったそうだ。ともに学んだ僕の母親が、若手の教師として奮闘している頃のこと。それでリズ先生の引き取り手を探した。お母さんの遺産と、マラカイトのジュエリーを養父に託してね。それ以来、たまにリズ先生の養父と手紙のやりとりをしているらしい。――そして実は、リズ先生の婚約破棄のことも、養父から僕の母親に知らせてきたんだ」
「え!」
思わぬ会話の流れから古傷を抉られて、リズはおかしな声を出した。
(すっかり忘れていたけれど、そうよ。私、裏切られて失意のままここへ来て――って、え?)
「もしかして、学院へ私を呼んだのも、テッドだったの?」
「……その通り。僕はこう見えても、理科の教師だ。僕が勉強のために街を出ている間、理科の専任教師は不在だった。罪悪感を覚えていた。そこにリズ先生、君が前の職場にいづらくなったという話を聞いて――いてもたってもいられなくなった。それでこちらの学院へ来てもらえるようオファーを出したんだ」
「そんな背景があったなんて……」
いまいち信じ切ることが出来ず、リズはパチパチと目を瞬かせた。
「学院へやって来たリズ先生を一目見て、僕は惚れた。もう夢中だった。だから立場を隠して、ハロウィンパーティの夜に君に近づいたというわけさ」
「ど、道理で手慣れていると思ったわ」
テッドの告白に、リズは顔を赤らめた。
目を瞬かせて、リズは訊ねた。
(テッドは最初から、何かの目的を持って私に近づいたということ……?)
思い当たる節はある。ハロウィンパーティでの出会い、その後の自然な居候生活――。とても楽しい時間は過ごせたが、いかんせん出来過ぎている。
「僕の母は、グランドブリッジで学校を運営している。裕福な人々からの寄付で成り立っていて、逆に生徒の多くは貧しい家庭の子ども達だ。リズ先生のお母さんも、その学校の生徒だったんだよ」
「私の、母が……?」
知らない、知りたかった情報を突然に得て、リズはどう反応すれば良いか分からなかった。
(信じがたいけれど、でも……テッドは嘘を吐いている顔ではないわ)
「北の町、グランドブリッジの教会に、リズ先生のお母さんのお墓がある」
「え」
「リズ先生、君のお母さんは、町の有力者の愛人だったんだ。グランドブリッジにほど近い場所に、マラカイトの産地があるだろう? 君のお父さんは、お母さんへの愛の証しとして、マラカイトのジュエリーを贈ったんだ」
テッドの言葉は、リズの想像を上回る内容だった。しかし――事実だとすれば、納得のいく面もある。
「たしかに、この国の北部はマラカイトの産地だわ……」
地学の教師として、リズはテッド以上に分かっていた。リズの所有するジュエリーは、おそらく色合いや模様から、この国の北部で採れたものだと。
「リズ先生のお母さんは、リズ先生が幼い頃に亡くなった。病気が見つかって、あっという間に亡くなったそうだ。ともに学んだ僕の母親が、若手の教師として奮闘している頃のこと。それでリズ先生の引き取り手を探した。お母さんの遺産と、マラカイトのジュエリーを養父に託してね。それ以来、たまにリズ先生の養父と手紙のやりとりをしているらしい。――そして実は、リズ先生の婚約破棄のことも、養父から僕の母親に知らせてきたんだ」
「え!」
思わぬ会話の流れから古傷を抉られて、リズはおかしな声を出した。
(すっかり忘れていたけれど、そうよ。私、裏切られて失意のままここへ来て――って、え?)
「もしかして、学院へ私を呼んだのも、テッドだったの?」
「……その通り。僕はこう見えても、理科の教師だ。僕が勉強のために街を出ている間、理科の専任教師は不在だった。罪悪感を覚えていた。そこにリズ先生、君が前の職場にいづらくなったという話を聞いて――いてもたってもいられなくなった。それでこちらの学院へ来てもらえるようオファーを出したんだ」
「そんな背景があったなんて……」
いまいち信じ切ることが出来ず、リズはパチパチと目を瞬かせた。
「学院へやって来たリズ先生を一目見て、僕は惚れた。もう夢中だった。だから立場を隠して、ハロウィンパーティの夜に君に近づいたというわけさ」
「ど、道理で手慣れていると思ったわ」
テッドの告白に、リズは顔を赤らめた。
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