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しおりを挟む「それで君はどうする」
理玖は花奈の方も気になり、耳だけそばだてていた。花奈は少し考えてから暮らせていけるスキルをお願いしていた。彼女は細くとても冒険者向きではないのでその方がいいだろう。
結局神様と話し合って治癒能力と鑑定を貰うことにしたようだ。ポーションを作る事が出来るそうだから暮らしに困るという事はなさそうで安心した。
助けようとして彼女を死なせてしまった事に理玖は少なからず責任を感じていた。謝りたいが謝って許されるような事でもない。うだうだと考えているうちに花奈は神様との連絡方法まで聞き出していた。
花奈に押し切られた神様は渋々と言う感じではあったが、唯一の連絡方法を教えてくれた。
「ふむ。私を信仰してる神殿でなら話せることもあるが、よほどのことがない限り手を貸すことはできないからな」
「わかりました。話せるだけでもいいです」
とりあえず保護者みたいなのはゲット出来たような気がする。
「君達は違う国に行く事になる。井端理玖はザラーン国だ。ザラーンの情報はステータスにある。地図もあるので参照するように。須賀花奈はマダルーン国だ。情報は全てステータスに入れてある」
神様はそこで息をひとつ吐くと口を開いた。
「君達は一度死んだものだ。これから行く世界は元の世界よりも人の命が軽い。ちょっとした怪我でも死んでしまう。それでもできるだけ長く生きれるように頑張ってくれ。以上だ。今から二人の姿をこの世界で生きれるように変える。目が覚めたら異世界だ。幸運を祈る」
神様の「幸運を祈る」の言葉と同時に意識がなくなった。
「.....う、うん」
「お姉さん、こんな所で寝てたら風邪ひくよ」
「わっ!」
理玖は幼い子供に起こされても、状況がつかめなかった。子供の頭の上に獣の耳が付いていたからだ。作ろものとは明らかに違うピクピクと動く耳に目が奪われたいた。
「お姉さん、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。でもお姉さんじゃなくてお兄さんだろう?」
なんでこの子供がお姉さんと呼ぶのか理玖は不思議に思った。
(翻訳機能が良くないのだろうか?)
「お姉さんでしょ? お兄さんにはそんなに大きな胸はないと思うよ」
「胸?」
理玖は慌てて起き上がり自分の胸を見て驚いた。腫れてるのかと思い手を当てて、その柔らかさに驚き自分の手をマジマジと見つめる。胸からはできるだけ視線を外す。直視出来そうにない。
(手も小さい。あの神様は美男美女とか言ってたが性別まで変えたのか? そんな話は聞いてないぞ)
「鏡...そうだ、鏡はないのか?」
「鏡? そんなの持ってるわけないだろう? お姉さんって旅の人でしょ? うちの宿には鏡があるよ。どう泊まらない?」
子供が理玖を起こしたのは自分ちの宿に勧誘する為だったようだ。夕焼けのような空からして太陽が沈んでいる。野宿する気がないなら宿が必要だ。男なら野宿でも良いが、流石に今の姿で野宿するのが危険だと理玖も感じたので宿に案内して貰うことにした。
「俺の名は井端理玖。君の名は?」
「イバタリク? 変な名前。あたしの名前はリューリ。『いつもの宿』のリューリって言えばみんな知ってるわ」
とりあえず宿は決まったが、立ち上がると背も低くなったのが分かりため息しか出ない。
理玖はチート能力貰えて喜んでたけど、うまい話には裏があるって本当だったなぁとうらめしく思った。
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