22 / 37
4章【手がかりは全て…】
残されたモノ、そして…
しおりを挟む
ギィィィィ―――……
少し押しただけで大扉は苦も無く開いた。
「…げほっ、埃っぽいな…まあ誰もいなかったようだから当たり前か」
灯りは一見ついていないように見えるが、ここがファンタジー世界独特の仕様の1つ。
扉の横の内側の壁に備え付けられた魔法盤に手を向け、単純な魔力伝達の要領で魔力をある程度流し込むと、館内の全ての魔法石のランプが丁度良い光を放つ。
視界を確保した上で、改めて館の中を見回してみる。
「中央には謎の扉、そしてその両側の階段の上にはいくつかの部屋、2本の廊下を辿ればそれぞれ更にいくつかの部屋があるようだな」
取りあえず適当な部屋の扉をスパ―ンと勢いよく開けてみると。
その部屋の中にはただ一体だけ魔法石で作られた像が置いてあった。
「…………」
台座に付けられたプレートには、古代民族文字でこんなことが彫られてあった。
【ルードヴァネリ・ファルスフィア
大陸で最高峰の魔力と技術を持ち合わせた魔導士。有用さでは比類なき数々の魔導具を制作し、それら全てを無償で国々に公表した。
この像は、彼が20代の時にある国の祝賀祭に招かれた時、記念として作られたモノ。
しかし彼は生まれつき、強力な呪いにかかっていた。
ガラス瓶に入れられた魔法の花の花弁が全て散った時、彼の命も終わる、凶悪な呪い。
それ故なのか彼は、錬金術の結晶とも呼ばれるホムンクルスの製造に取り掛かった。
彼は恐らく、自らの分身を作る意味合いで製造に取り掛かったのだろう。その過程に彼なりの工夫と呼べるレベルを越えた工夫が凝らされていた。
彼は残念ながら、その完成を見ることなく息絶えてしまったが、机に突っ伏した状態だった彼の傍には、一枚の紙があった。その紙にはどうやら、製造中のホムンクルスについて書かれていたようである。】
「…………………!?」
この像の台座に付いていたプレートの文字を全部読んだ途端、その文字自体が淡い光を放ち始めた。
パァァァァァァ……………………ッ…と音をたてて放たれる光粒は、壁に吸い込まれたかと思うと、壁伝いに複雑な回路を描きながら、やがてとある一点へと収束していく。
「……この壁…流石こんなギミックになってるとは…」
因みに、この魔導回路の仕掛けは館など広い建物に使われることが多い。
―――どうやらこの館、一種の魔法版カラクリ屋敷の様になっているらしく。
これは蛇足だが、外の国々でこういう仕掛けをするなら壁中に魔力伝達管を張り巡らせるか館の主の魔力値が相当高くなければ不可能なので、ほぼ王族や貴族級の館にしか見られない、
周期的に明るさの変動する壁の回路の先を辿りながら、レイは鞄に元からついていた物を一瞥する。
それは、誰が作ったのかも分からない非常に精緻な月幻石の細工が施された美しい鍵だった。
「……(今まで存在も忘れてたけど、何か使えそうな気がするな)」
そこまで考えていると、疲れによるものか段々と眠気が襲ってくる。
「ん―…(まあ敵との闘いの最中で意識断絶起こすよりかはここで眠っといた方がいいかもだな)」
魔力が通っている所為か仄かに暖かい壁に寄りかかると、そんなに立たないうちに意識は緩やかに安息の闇へとおちた。
――――彼が眠りに落ちると、館に更なる変化が起きる。
壁の回路が輝き、床が一か所だけ四角い銀色に変色した。
そして、彼の鞄に付いた鍵に嵌る石が北斗七星の様な配置の、小さな光を発した。
少し押しただけで大扉は苦も無く開いた。
「…げほっ、埃っぽいな…まあ誰もいなかったようだから当たり前か」
灯りは一見ついていないように見えるが、ここがファンタジー世界独特の仕様の1つ。
扉の横の内側の壁に備え付けられた魔法盤に手を向け、単純な魔力伝達の要領で魔力をある程度流し込むと、館内の全ての魔法石のランプが丁度良い光を放つ。
視界を確保した上で、改めて館の中を見回してみる。
「中央には謎の扉、そしてその両側の階段の上にはいくつかの部屋、2本の廊下を辿ればそれぞれ更にいくつかの部屋があるようだな」
取りあえず適当な部屋の扉をスパ―ンと勢いよく開けてみると。
その部屋の中にはただ一体だけ魔法石で作られた像が置いてあった。
「…………」
台座に付けられたプレートには、古代民族文字でこんなことが彫られてあった。
【ルードヴァネリ・ファルスフィア
大陸で最高峰の魔力と技術を持ち合わせた魔導士。有用さでは比類なき数々の魔導具を制作し、それら全てを無償で国々に公表した。
この像は、彼が20代の時にある国の祝賀祭に招かれた時、記念として作られたモノ。
しかし彼は生まれつき、強力な呪いにかかっていた。
ガラス瓶に入れられた魔法の花の花弁が全て散った時、彼の命も終わる、凶悪な呪い。
それ故なのか彼は、錬金術の結晶とも呼ばれるホムンクルスの製造に取り掛かった。
彼は恐らく、自らの分身を作る意味合いで製造に取り掛かったのだろう。その過程に彼なりの工夫と呼べるレベルを越えた工夫が凝らされていた。
彼は残念ながら、その完成を見ることなく息絶えてしまったが、机に突っ伏した状態だった彼の傍には、一枚の紙があった。その紙にはどうやら、製造中のホムンクルスについて書かれていたようである。】
「…………………!?」
この像の台座に付いていたプレートの文字を全部読んだ途端、その文字自体が淡い光を放ち始めた。
パァァァァァァ……………………ッ…と音をたてて放たれる光粒は、壁に吸い込まれたかと思うと、壁伝いに複雑な回路を描きながら、やがてとある一点へと収束していく。
「……この壁…流石こんなギミックになってるとは…」
因みに、この魔導回路の仕掛けは館など広い建物に使われることが多い。
―――どうやらこの館、一種の魔法版カラクリ屋敷の様になっているらしく。
これは蛇足だが、外の国々でこういう仕掛けをするなら壁中に魔力伝達管を張り巡らせるか館の主の魔力値が相当高くなければ不可能なので、ほぼ王族や貴族級の館にしか見られない、
周期的に明るさの変動する壁の回路の先を辿りながら、レイは鞄に元からついていた物を一瞥する。
それは、誰が作ったのかも分からない非常に精緻な月幻石の細工が施された美しい鍵だった。
「……(今まで存在も忘れてたけど、何か使えそうな気がするな)」
そこまで考えていると、疲れによるものか段々と眠気が襲ってくる。
「ん―…(まあ敵との闘いの最中で意識断絶起こすよりかはここで眠っといた方がいいかもだな)」
魔力が通っている所為か仄かに暖かい壁に寄りかかると、そんなに立たないうちに意識は緩やかに安息の闇へとおちた。
――――彼が眠りに落ちると、館に更なる変化が起きる。
壁の回路が輝き、床が一か所だけ四角い銀色に変色した。
そして、彼の鞄に付いた鍵に嵌る石が北斗七星の様な配置の、小さな光を発した。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる