宵闇王と精霊の竜刀

火の無い灰

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4章【手がかりは全て…】

残されたモノ、そして…

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ギィィィィ―――……
少し押しただけで大扉は苦も無く開いた。
「…げほっ、埃っぽいな…まあ誰もいなかったようだから当たり前か」
灯りは一見ついていないように見えるが、ここがファンタジー世界独特の仕様の1つ。
扉の横の内側の壁に備え付けられた魔法盤パネルに手を向け、単純な魔力伝達の要領で魔力をある程度流し込むと、館内の全ての魔法石のランプが丁度良い光を放つ。
視界を確保した上で、改めて館の中を見回してみる。
「中央には謎の扉、そしてその両側の階段の上にはいくつかの部屋、2本の廊下を辿ればそれぞれ更にいくつかの部屋があるようだな」
取りあえず適当な部屋の扉をスパ―ンと勢いよく開けてみると。
その部屋の中にはただ一体だけ魔法石で作られた像が置いてあった。
「…………」
台座に付けられたプレートには、古代民族文字ガーナティック・テキストでこんなことが彫られてあった。

【ルードヴァネリ・ファルスフィア
大陸で最高峰の魔力と技術を持ち合わせた魔導士。有用さでは比類なき数々の魔導具アーティファクトを制作し、それら全てを無償で国々に公表した。
この像は、彼が20代の時にある国の祝賀祭カーニバルに招かれた時、記念として作られたモノ。
しかし彼は生まれつき、強力な呪いにかかっていた。
ガラス瓶に入れられた魔法の花の花弁が全て散った時、彼の命も終わる、凶悪な呪い。
それ故なのか彼は、錬金術の結晶とも呼ばれるホムンクルスの製造に取り掛かった。
彼は恐らく、自らの分身を作る意味合いで製造に取り掛かったのだろう。その過程に彼なりの工夫と呼べるレベルを越えた工夫が凝らされていた。
彼は残念ながら、その完成を見ることなく息絶えてしまったが、机に突っ伏した状態だった彼の傍には、一枚の紙があった。その紙にはどうやら、製造中のホムンクルスについて書かれていたようである。】

「…………………!?」
この像の台座に付いていたプレートの文字を全部読んだ途端、その文字自体が淡い光を放ち始めた。
パァァァァァァ……………………ッ…と音をたてて放たれる光粒は、壁に吸い込まれたかと思うと、壁伝いに複雑な回路を描きながら、やがてとある一点へと収束していく。
「……この壁…流石こんなギミックになってるとは…」
因みに、この魔導回路の仕掛けは館など広い建物に使われることが多い。
―――どうやらこの館、一種の魔法版カラクリ屋敷の様になっているらしく。
これは蛇足だが、外の国々でこういう仕掛けをするなら壁中に魔力伝達管を張り巡らせるか館の主の魔力値が相当高くなければ不可能なので、ほぼ王族や貴族級の館にしか見られない、


周期的に明るさの変動する壁の回路の先を辿りながら、レイは鞄に元からついていた物を一瞥する。
それは、誰が作ったのかも分からない非常に精緻な月幻石トート・シャドウの細工が施された美しい鍵だった。
「……(今まで存在も忘れてたけど、何か使えそうな気がするな)」
そこまで考えていると、疲れによるものか段々と眠気が襲ってくる。
「ん―…(まあ敵との闘いの最中で意識断絶起こすよりかはここで眠っといた方がいいかもだな)」


魔力が通っている所為か仄かに暖かい壁に寄りかかると、そんなに立たないうちに意識は緩やかに安息の闇へとおちた。

――――彼が眠りに落ちると、館に更なる変化が起きる。
壁の回路が輝き、床が一か所だけ四角い銀色に変色した。
そして、彼の鞄に付いた鍵に嵌る石が北斗七星の様な配置の、小さな光を発した。
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