宵闇王と精霊の竜刀

火の無い灰

文字の大きさ
23 / 37
4章【手がかりは全て…】

隠された過去、明かされなかった真実(まこと)

しおりを挟む
レイは、夢を見ていた。
それも、妙に生々しい夢を。

最初に見たのは、血に濡れたかなり広い部屋と、床に横たわっている、否、ただの肉塊と化している、見知らぬ誰か、又は何かの死体。
正面の鏡に映っていたのは、右手に血塗れた剣を持ち、覇気の無い虚ろな目をした銀混じりの黒髪と緋色の眼の少年だった。
「……………………………………」
これは…誰の視点だろう?、そう思っていると、部屋に付けられたスピーカーがこんなことを言う。
「―――、中々いい成果じゃないか。もう一度行くか」
「精神回路に障害が出ているぞ、いいのか!?」
「だが、―――になっていないだけで十分な戦力だ。聞こえるか、―――。もう一度行くぞ?」
その言葉を皮切りにして、天井に開いた巨大な穴から、穴と同じくらい巨大な何かが落ちてくる。
落ちてきたのは……
「もう一度、
そう、神々しいとも言えるほどの雰囲気オーラを纏った獣。神にも等しき力を持ったモノ。
少年は、実験体だったのだ。
その名も、「第2堕天使人工創造計画セカンドハートレート」。
夢の、当時の世界は、神々の世界である天聖界しか存在せず、それ故に死天龍の神殿では邪悪な魂の処置に困っていたのだ。
だから、闇の象徴である堕天使を人の手で作り、闇の世界を統治させ、そこに邪悪な魂たちを置く。
逆転的な発想の、普通ではありえない、所謂狂気的なまでの実験だった。

―もう、何度同じことを繰り返しただろうか。
「…………………………」
果てなき繰り返しループの最果てに部屋に満ちるのは、濃い血の香りと、濃密な狂気だけ。
そんな中、もうとっくに壊れているはずの、名も失った少年は。
唐突にその唇を微かに歪めて……………?
     次の、瞬間。
       
     明瞭で、     確      実           な             な        異                  常が
           あっ           た。

少年は、全く動いていないように見える。なのに、なのに。
その部屋が属する建物、つまり、研究所として使われている館にいた全ての人間が全く同時に血を噴き上げて死に絶えた。
それと同時に少年の背からゆっくりと、滲みだすようにして現れた漆黒の翼。
そして、その翼に隠れるようにして少年の姿も大気に紛れようとした瞬間、ここにいるはずのない者の声が響いた。
『あー、ついにやり遂げちゃったか』
無数の赤眼黒鱗を持つ蛇たちを従えた、黒づくめの露出の少ない服&黒髪と対照的に白い、所々に鱗模様の見える肌、そして、まさに蛇の様に禍々しい光を放つ黄色の双眸。
時空と死を司る黒蛇神、シュヴァルだった。

堕天使と化した少年は、青年の神の方へとその虚ろな眼を向ける。
その視線を不敵というよりか何か企んでそうな笑みで受け止めると、続けて言葉を重ねた。
『まあ、このまま放置しておいても危険っぽいし、ちょっと小細工させてもらうぜ?』
シュヴァルが右手を突き出すと、黒蛇たちが少年に絡みついた。
そのまま今度は左手だけで銀の懐中時計を取り出してからその細く長大な鎖を外し、少年の右腕に緩く巻き付ける。
実は、シュヴァルの出した銀の懐中時計の鎖は、封印の効果をもつ。
でも、
『…………数百年間ぐらいの気休めにしかならないけどな。かといって恒久的に封じ込めようとするならするで、使
蛇たちは、部屋の壁に元から開いていた虹色のワープホールじみた靄に、少年を(放り込む)と、シュヴァルの元に戻ってきた。


夢はここで終わった。
この後、意識は目覚める直前の様な微睡まどろみの中へと移った。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

処理中です...