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4章【手がかりは全て…】
誰も知らぬ意図、血染めの古き戦旗
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「……………ん?、うわっあ!?」
勢いよく眠りから覚醒すると、いつの間に入ってきたのか、黒蛇神シュヴァルの黄色い双眸が目の前にあった。
『…驚きすぎだろ』
「(ていうか目覚める直前まで夢に出てきた神物が目覚めて目の前にいたらだれでも驚くと思うんだがな…)」
「ていうか何しに来たんだここに」
『ん、特に何も。少し寄ってみただけだが、ああ、そういえばもう「あの部屋」は見つけたのか?』
「地下の秘密実験部屋なら入口はあそこ。入る前に寝てたら奇妙な夢を見たんだ」
『へー』
壁の魔力伝達回路が収束している地点、地下への入り口となる場所を示すレイ。
シュヴァルは目を細め、何か一人で納得したっぽい笑みを浮かべている。
「今から入るところだけど」
そういいながら静かに床に隠れていた取っ手を持って上へ引き上げる。
中は階段が下まで延びていて、先は見通せない。
「………………ここって魔法の研究所だよな…?」
―――――わかり易く言うならば、(彼の感性で)そう、近未来的な科学研究所である。
メタリックシルバーの壁に、明るい水色の魔力伝達回路が走っている。
それらは様々な機械チックな魔導具群へ、動力源となる魔力を休まず供給し、それによって動く機械型魔導具の群は絶えずちかちかと光を点滅させている。
そして、それらの真ん中には、
薄い青色に発光する液体が満ちた、液体以外入っていない空っぽの生命維持槽があった。
「………(何だかんだで戻ってきたなここに)」
暫くその生命維持槽をぼーっと見上げていると。斜め後ろの方から声がかかった。
『おい、何か部屋の端からこんなモノが見つかったんだが』
そういって(どうやらついてきていたらしい)シュヴァルが両手で持ち上げ…否、端を持って引き上げたのは。
元の布の色が分からなくなるほど血の色に染まった、とてもとても古い戦旗だった。
描かれていたであろう国や騎士団などで必ずある紋章までが真っ赤に染まって塗り潰されてしまっているため、どこの物だったのかはもはや判別ができない。
『……まあこれは俺の勘なんだがな、血染めの古戦旗には恐らく、月幻石の剣と同じ効力が込められてる。ついでに鍵の方はその鍵だな』
そういってちらりと、レイの鞄に付いている鍵を見た後、更に言った。
『後、天使の雫石の柱状石があれば完璧なんだがね』
「……(てか代わりに使っていいものなのか?)」
レイが疑問の視線を向けると、黒蛇神はそれを汲み取ったのか、こう答えた。
『別にいいんだよ。それぞれが象徴するモノの方が大事だから、月幻石の剣は【戦】、鍵は【境界】、そして雫石の柱状石は【至高の聖性】。要は、象徴するモノさえ同じなら代わりは効く』
「へー、成程。(…代わりを用意した意図か…それはもう誰にも分らないな)」
『コイツは俺が天聖界の他の奴らに持って行っておくから、お前は残りの雫石探しといてくれないか?(ていっても唯一在り処の不明なアイテムなんだがな)』
「………構いませんけど(うわあ何だか不穏な感じがする―……)」
互いに本音を隠しながらの会話である。
シュヴァルの方は何がなのか不明だが何だか得意げで、レイの方は若干表情が引き攣っている。
後、もう一つだけこの黒蛇神の豪胆さというか大雑把さというか、とにかく神ゆえの規格外な常識はずれさが起こした事故が。
「……何故こんなところに大穴があいてるんでしょうか」
そう、館の壁、丁度レイが入ってきた扉の位置に、象一頭がそのまま通れそうなぐらいの大穴があいていたのだ。穴の縁からは、ぱらぱらと小さな破片が落ちている。
余りの非常識さに、目を丸くしているレイの後ろにこの大穴をあけた張本人がやってきて、どうやら驚愕している訳をさとったのか、至って平常運転でこういう。
『…ん?その壁、入ってくるのに面倒だったからぶっ壊したが、数日すれば元通りだろ』
「…(もう天聖界の神様たちって皆こんなのなんかね、まあましな人もいると思うけど)」
呆れと驚きが等量ずつ混ざった表情で、もうすっかり明るくなった大空の下最後の封印アイテム「天使の雫石の柱状石」を探しに行くのだった。
勢いよく眠りから覚醒すると、いつの間に入ってきたのか、黒蛇神シュヴァルの黄色い双眸が目の前にあった。
『…驚きすぎだろ』
「(ていうか目覚める直前まで夢に出てきた神物が目覚めて目の前にいたらだれでも驚くと思うんだがな…)」
「ていうか何しに来たんだここに」
『ん、特に何も。少し寄ってみただけだが、ああ、そういえばもう「あの部屋」は見つけたのか?』
「地下の秘密実験部屋なら入口はあそこ。入る前に寝てたら奇妙な夢を見たんだ」
『へー』
壁の魔力伝達回路が収束している地点、地下への入り口となる場所を示すレイ。
シュヴァルは目を細め、何か一人で納得したっぽい笑みを浮かべている。
「今から入るところだけど」
そういいながら静かに床に隠れていた取っ手を持って上へ引き上げる。
中は階段が下まで延びていて、先は見通せない。
「………………ここって魔法の研究所だよな…?」
―――――わかり易く言うならば、(彼の感性で)そう、近未来的な科学研究所である。
メタリックシルバーの壁に、明るい水色の魔力伝達回路が走っている。
それらは様々な機械チックな魔導具群へ、動力源となる魔力を休まず供給し、それによって動く機械型魔導具の群は絶えずちかちかと光を点滅させている。
そして、それらの真ん中には、
薄い青色に発光する液体が満ちた、液体以外入っていない空っぽの生命維持槽があった。
「………(何だかんだで戻ってきたなここに)」
暫くその生命維持槽をぼーっと見上げていると。斜め後ろの方から声がかかった。
『おい、何か部屋の端からこんなモノが見つかったんだが』
そういって(どうやらついてきていたらしい)シュヴァルが両手で持ち上げ…否、端を持って引き上げたのは。
元の布の色が分からなくなるほど血の色に染まった、とてもとても古い戦旗だった。
描かれていたであろう国や騎士団などで必ずある紋章までが真っ赤に染まって塗り潰されてしまっているため、どこの物だったのかはもはや判別ができない。
『……まあこれは俺の勘なんだがな、血染めの古戦旗には恐らく、月幻石の剣と同じ効力が込められてる。ついでに鍵の方はその鍵だな』
そういってちらりと、レイの鞄に付いている鍵を見た後、更に言った。
『後、天使の雫石の柱状石があれば完璧なんだがね』
「……(てか代わりに使っていいものなのか?)」
レイが疑問の視線を向けると、黒蛇神はそれを汲み取ったのか、こう答えた。
『別にいいんだよ。それぞれが象徴するモノの方が大事だから、月幻石の剣は【戦】、鍵は【境界】、そして雫石の柱状石は【至高の聖性】。要は、象徴するモノさえ同じなら代わりは効く』
「へー、成程。(…代わりを用意した意図か…それはもう誰にも分らないな)」
『コイツは俺が天聖界の他の奴らに持って行っておくから、お前は残りの雫石探しといてくれないか?(ていっても唯一在り処の不明なアイテムなんだがな)』
「………構いませんけど(うわあ何だか不穏な感じがする―……)」
互いに本音を隠しながらの会話である。
シュヴァルの方は何がなのか不明だが何だか得意げで、レイの方は若干表情が引き攣っている。
後、もう一つだけこの黒蛇神の豪胆さというか大雑把さというか、とにかく神ゆえの規格外な常識はずれさが起こした事故が。
「……何故こんなところに大穴があいてるんでしょうか」
そう、館の壁、丁度レイが入ってきた扉の位置に、象一頭がそのまま通れそうなぐらいの大穴があいていたのだ。穴の縁からは、ぱらぱらと小さな破片が落ちている。
余りの非常識さに、目を丸くしているレイの後ろにこの大穴をあけた張本人がやってきて、どうやら驚愕している訳をさとったのか、至って平常運転でこういう。
『…ん?その壁、入ってくるのに面倒だったからぶっ壊したが、数日すれば元通りだろ』
「…(もう天聖界の神様たちって皆こんなのなんかね、まあましな人もいると思うけど)」
呆れと驚きが等量ずつ混ざった表情で、もうすっかり明るくなった大空の下最後の封印アイテム「天使の雫石の柱状石」を探しに行くのだった。
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