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8:"i wanna be your light"
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「パターンA‐C、アナライズ、コンプリート。ルートパターン1CA2b、disturb」
コードでエネルギー流出を限定しながら、パイロンキューブを投げる。熱は広がらず直線で凝縮され空気を赤く燃焼させながら東来に食ってかかる。
「アクト、エメンタル」
東来はその熱に怯む事もなく、短縮コードを呟く。
そのコードに答えるように、地面は柱のようにいくつも隆起し東来を守るように壁になって熱を阻んだ。そのうえに、まるで盛り上がった地面を補完するように、柱のない場所に盛り上がった分地面が凹んでいき、深い穴になった。その穴に弥継は吸い込まれるように落ちていく。
「……disturb」
地下何階相当なのかわからない穴に向けてフルードキューブを落とす。落ちる音も聞こえないまま、
もう一つキューブを持ち喉元に当てる。数秒落ちて、見えない底から水が溢れだした。水は弥継を受け止め、暗い水の深く沈み漂い、ごぼごぼと空気を漏らしながら弥継がなにかを言った。すぐさまキューブを手に持ったまま底に向けて放った。筒状の空間の中で空気が氾濫し、水ごと弥継を持ち上げる。
「……クッはあっ」
間欠泉のようにすさまじい勢いで空中に打ち上げられながら、息を吸い込み空になった肺に酸素を送り込む。空中で姿勢を整えながら東来を補足するとすぐさまパイロンキューブを落とした。解除コードの後すぐさま息を止める。
「アクト、チャーチルカヴェート」
熱が到達する前に、東来の頭上を、先ほどコードで突き立てた柱が集結し彼を保護するようにすべて覆い尽くした。
熱で肌をじりじりと焼かれながら、コードを叫ぶ。
「コマンド、短縮、リピート、オート、レスタライズ、対象オウンフィズ、disturb」
すぐさま別のキューブを落とす。
キューブから溢れた水は辺りの熱を吸い込んで一瞬で水蒸気に代わり、膨れ上がった空気がダイナマイトのように東来を保護したコンクリートの屋根を砕く。
拳をにぎり、砕いた屋根の穴から弥継を見上げる東来向けて落下していく。
「東来いいいいぃぃィッ! dis……turb!」
更に落下速度を上げ、拳に握られたキューブが旋風を生みながら空気を切り裂いて弥継の決死の一撃を加速させる。
「君は単純だ。アクト、レコンキスタ」
東来は微動だにもせず反撃のコードを打つ。
弥継の拳は東来の眼前数センチ手前で停止、弥継の拳を取り巻いていた風の旋廻は真逆に反転し、それどころか威力を何倍にも増幅して弥継の叛乱をもたらし、彼を吹き飛ばし空気の刃となって身体をずたずたに傷つけていく。
「……う、がッ……」
数十メートル打ち上げられ、落下する。
「………――ッ! …………あぁぁぁ……」
地面に叩きつけられ、全身に痛みが走る。骨折したようだが、オートコマンドですぐさま修復された。が、感覚の余韻が抜けずうつ伏せのまま呻きを上げる。
こつりこつり、革靴の上品な足音が近づく。弥継は起き上がろうと、痛みの余韻で力の入らない腕に無理やり力を込める。
「ロケートパターン、hspt、アクトコード、ハングアップ」
「――――?!」
――空間固定!?
動けない。先ほどのコードはおそらく、空間の掌握と固定、もしくは空気移動の固定かもしれない。背中の空間を固定されたようで全く身動き一つ出来ない。
――あと、一歩。あと一歩で東来を討てる。あと一歩が。
――――遠い。
弥継が胸が痛くなる程、心の中で叫び嘆いた。
「時が満ちる。――というのは、月が満ちる時だろうか。自問自答の責を、無責任とみるか」
朗々たる東来の『詩』を、その冷徹な目を、弥継は睨み付けた。
そして、全身から来る震えを無理やり押さえつけ、手を、歯を食いしばり、コードを叫んだ。
「……コード、……アバランシェ、デコード!」
カキコキカキ
と奇妙な音を立て、透明な『何か』が出現した。
『何か』と称するのも違和感を感じる。それというのは、実質の所、空間の揺らぎのようでしかなく実在しているようで実在などしていない。
――弥継の頭上に出現したのは、高次元多重式。
データ上にしか存在しないその概念は、空間の揺らぎによって人は視認できた。弥継はこの次元式を自分の持っていたキューブから開放し、頭上に出現させた。制御すらも放棄して。
制御を失った次元式はあたりのデータそのものをばらばらに引き裂き始めた。空気はまるで悲鳴をあげるように奇妙な音を立て空間がずれ始めた。その下の捕らわれた弥継の身体を巻き込んで。
「――あ、ああああああああああああああああッ!」
身体を、背中の肉を空間ごと引きちぎられる。耐えがたい激痛に弥継は絶叫した。
千切られた空間は、固定していたコードのデータも引き千切り、開放された弥継はぐったりと地面に臥した。すぐさまオートコードが動いて弥継の身体を正常な状態に復元した。
「……コード、リオーガナイズド、セット」
痛みで疲弊しながらコマンドコードを呟くと、次元式は形態を変えながら、まるで花が蕾に戻るように弥継のキューブに集約し、姿を消した。
「檻猿籠鳥となれど、その魂すら燃やし足掻くか。その余勢、鮮烈さは若き日の私にもあった。恒久ではない。故に、その激しさは全てのエネルギーをも超えるか、少年よ」
東来を睨む。弥継の目は、まだ尽きていない意思を示している。
「オートコード解除、システムアクセス、ヒストリ呼び出し、コード、バンドリング、e6987、エンター」
腕にぐっと力を込め、弥継は立ち上がる。右手にぐっと二つのキューブを右手に握りこめ、
「disturb!」
解除コードを叫び、東来に殴りかかる。手のキューブからは水と風が渦になって、嵐のように弥継の腕に纏わりつき加速させる。
「少年よ。旅を終えるなら、今ではない」
東来は避けることも、コードで防御することもしなかった。
素手で弥継の拳を受け止め、目の前の少年を静かに、一切の感情を示さない目で彼を見つめた。
「…………ッ!」
旋廻していた風が、水が、刃物のように東来の腕を切り裂いても一寸も動かない。呻きすらも聞かせない。その姿に少しの畏怖を覚えた。
「アクト、スレッド」
「ッ?!」
東来のコードが放たれた瞬間、弥継は身体中の違和感を感じ、次の瞬間、全身が激痛に襲われた。
身体中の筋、腱という腱が捻れ捩れ、千切れた。
身体を動かすことも出来なくなり、弥継は地に崩れ落ちた。
「まだ見ぬ未開の地へその身を運べ。我も行くならば、その体躯を引き摺り少年も十字軍の如く決意の旗を翳し、かの地へ行軍するだろう。旅は終わらぬ。その時は嚮後の時、いずくの地にて。私がそう告げたなら、それを感得し認知するか」
東来はそう問うたが、コードはおろか声もろくに出せなかった。
指先一つ動かせないまま、ただ彼を睨む。
「拒絶せども、枯水の器しかない。満ちるには程遠い。故に少年よ、満ちるには早すぎるのだ」
その言葉を最後に東来はすっと弥継から離れ自らのキューブを取り出し、コードを呟いた。――東来は光の粒子になって姿を消し――この世界系線から去っていった。
「………兄さん、兄さん!」
全身の痛みすらも忘れたように弥継は叫んだ。
「ああ、あああぁぁ……」
身体の痛みも無視して、心が痛むそのままに弥継は涙をこぼし、悲痛な声を上げた。
――届かない。
彼が消えていったその場所を見つめ、腕も動かせないまま、指先だけが虚しくそらを掻いた。
「逃げてないで、たなまりも参戦してくださいよ!」
「嫌よ、三春に切られる!」
「チッ」
「余所見かよ」
頭脳派の二人のやりとりに割って入るように逸朗が時香に殴りかかろうとする。
逸朗の拳を何とか回避、二発目が食ってかかろうとした。
「モード、ロケーションコード、A107、ライズ」
時香のコードにより、側の海面が一気に上昇し局所的な津波になって逸朗の拳の軌道上を塞いだ。その次の瞬間どこから来たのか見えない何かが海水を切り裂いた。逸朗は驚いて腕を引っ込め、何かが飛んできた方向を見た。――犯人はおそらく、三春だ。あの薙刀槍の余波だろう。余波でこれとは、背中にじんわり嫌な汗が滲んでくるのを感じる。
――もう、あいつらどっか行ってくれよ……死にたくない。
「埒があかないってのはじれったいもんですよね」
「それはこっちの台詞だ!」
がすりと地面を殴り解除コードを叫ぶ。風が彼の身体を押し上げ空中に浮き上がらせる。
「攻撃が一辺倒でつまんないですよ」
「るせえ、俺は初心者だ!」
「モード、スリング、トラバーサル、スプリンター」
数十メートルの高さまで飛び上がり、自分の頭上に落ちてこようとしている逸朗を見上げ、時香がコードを呟いた。
先ほど引いた津波もどきが再び盛り上がり、今度は逸朗を狙って舐め取るように襲いかかり、大きな水泡の形を取った。驚く間もなく外側から内に向かって、空気が刺のように鋭く錐のごとく水泡の中の逸朗に襲いかかる。当然、避ける余裕もなく右足を貫通し、腕と額をかすめ海水に血液が滲んだ。水泡は保持力はないのか、すぐさまただの海水の形態に戻り、逸朗と共に地に落ち辺りに流れた。
「い、てえな、くそ」
濡れた髪を首を振って水気を飛ばしながら悪態をつく。
――さすがに腹立つな。
痛みより、苛立ちの方が勝った。逸朗は出羽たちが応酬している所まで走って、解除コードを叫び、三春の薙刀の柄を殴り、すぐさま出羽の側に行き腕を引いて、
「へえっ?」
驚く出羽を他所に、弓を引かせ勝手に解除コードを言い、矢は当然のように時香のほうへ豪速で飛んでいった。三春の切っ先から出た風がなぎ倒そうとしていたところであり、それを避けたところにあの矢である。時香は避けるので手一杯になり風で無様に転がるしかなかった。
「うわ、濡れてるじゃない。しかも海水? 触らないで、弓が錆びる、気持ち悪い」
「はいはい」
文句を言われた逸朗は、反論もせずぱっと手を離し、時香の方へ駆けていく。
「あら、あのクソ男いないわ。なら私はここまでね。星が眠る前に私は風になるの☆」
東来の不在に気付くと、役目は終わったとばかりに決めポーズのままブリングしていなくなった。近くでバランスを失って片膝をついていた三春も、出羽がブリングしたのを見て後を追ってブリングして去っていった。
その様子に気付いた逸朗は嘆息し、
「もう最初からどっか行ってて欲しかったよ、ほんと」
「無駄口はぶっ倒れて地面と結婚してからにしろよ、ですよ!」
「るせーよ」
言って走る。殴りかかって、時香はコンクリートを持ち上げ阻む。
「あいつ頭脳派なのか?」
「知らねえですよ」
「わけわかんないやつだよな」
軽口を言いながら、自分の体力が限界に近づいている事をじわじわ感じ始めていた。足の傷の痛みがなおのこと余裕を奪っている。未だに出血が続いている。
――もう終わらせないといけないか。
足の痛みを無視して、全力で走り殴りに行く。
「弥継、あなたがそのように泣くのを三十一回記録しています」
「……そんな記録、――いや、なんでもない」
消してよ、と続けようとして弥継はやめた。彼女なら本当に記憶のデータを消しかねない。
「情けないです」
「そうだね。情けないね」
痛みで微かな声しか出ない。
「……ブリングスタンバイ、コードTarget2013AB」
「また、叶わなかった」
掠れた声で弥継が嘆いた。
「ブリング開始します」
傷が癒えていく。
身体から痛みが引いていき、動くようになった手で弥継は顔を覆い、泣いた。
「まだ、僕の旅は終わらない」
彼のすべての悲しみを詰め込んだような嘆きだった。
こらえるような嗚咽を上げる彼の側で、朱鷺子はじっと静かに佇みただ黙して彼を見つめていた。
踏み込む度に足に痛みがはしる。それでも逸朗は走り、拳を握る。
逸朗の走る後を追うように地面のコンクリートが変質し、襲い掛かる。刺になったり壁になったり鈍器になったりするコンクリートの攻撃を、キューブの風でトリッキーな動きをしながら避けていく。
「曲芸ですかそれは!」
キリの無さに苛立って時香が言葉を投げつけた。
「時香!」
「勝手に下の名前で呼んでんじゃねえですよ!」
「俺、見つけたんだ!」
攻撃を避けながら逸朗が時香に叫ぶ。
「俺、何をしたいのか、わかったんだ」
時香は彼を無視してコードを呟き続ける。
「disturb!」
キューブを握った拳を地面に打ちつけ、飛び上がり一気に時香の眼前まで詰め寄る。
「おまえのおかげなんだ」
そして、逸朗は喜喜として時香に向けて言った。
「だから、俺にした分のことは許してやるよ」
そう言って、彼はにっこりと、屈託なく笑った。
「――?!」
いったい、何を言っている?
演技ではない。心から彼は自分に向かって微笑んでいる。彼は自分が何をされたのか、はっきりわかっていて言っている。駆け引きでもなく、ただ思った事を。
時香はこの言動に思考を完全に奪われ、コードをつむぐ事も忘れた。
「サンキューな、時香! disturb!」
嫌味も何もなく、友達に笑いかけるような笑みで、時香の頬に全力の拳をぶち当てた。
「ッ?! ぅ、あ」
風の拳を盛大に受け、跳ね上がり数メートル先まで時香は吹き飛んだ。
そのまま、彼女は動きを停止した。
それを見届けると、逸朗は脱力したようにばたりと仰向けに転がった。
「はー、きつかったー」
頭上には当たり前のように、暗く星の少ない空が見えた。その当たり前の事実に少し笑った。
「戦闘終了を確認しました。周辺の修復を開始します。コード、アラウンド、ブリング開始します」
朱鷺子の声に気付き、逸朗はゆっくりと身を起こした。気付けば回りは静かになっていて、いつのまにか側に朱鷺子が立っていた。
「あれ? 頭脳派やつ、時香以外いねえじゃん」
「弓削逸朗、負傷しています。ブリングします」
「あ、ああ、サンキュー。てか、あいつら逃げたのか?」
「はい。田中真鞠子は攻撃を回避するさなかにブリングして逃亡しました」
――うわ、最低だ。
こんな状況なのに仲間を置いて逃げるのか。戦闘も強くない、防御も出来ない、がしぶとく頭脳派(インテリジェント)で生き残っているのはその逃げ足の早さなんじゃ? と逸朗は苦笑した。
足の傷をブリングで治してもらい、立ち上がったところで、ふと気付き、
「榛原、弥継は?」
「……しばらくはそのままにしておくことを推奨します。……あの状態では、100分は動きません」
榛原の目線を追う。彼は地面に仰向けのまま、顔を覆って動かない。
彼は、自分の内側と戦っているように見えた。彼の心を開いて覗いたわけではない。しかし、逸朗はその苦悩の鱗片を感じた。――人にとって、死ぬ事よりも、受け入れる方がずっと辛い。生きている人間は、その苦悩を抱えて生きていなくてはいけない。逸朗は彼の姿を悲しげに眉を寄せて、視線を榛原に戻した。
「頼みがある。あいつの手当てをしてくれないか?」
朱鷺子は彼が指差した人物が、栗原時香である事に困惑した。表情こそ変わらなかったが。
「……そのオーダーはお受け出来ません。データと、実行する理由が見当たりません」
「……俺はあいつを許したんだ。だから、人としての行動を取る。じゃ、だめか?」
「…………、」
「うーん、データがないなら、……待てよ」
逸朗は後ろ頭をもたりとした動きで掻いていたが、ひたと動きを止めた。ある人物の言葉を思い出していた。
――田中真鞠子があのとき、骨折くらいは治せるって言ってたな。それやるには元のデータが必要になる。てことは、うん。
「榛原、頼む。こいつのキューブを解析してデータを探して欲しい。あと、元いた世界系線のデータも」
「可能ですが」
榛原は無表情のまま難色を示した。それに対して、逸朗は黙って彼女をじっと見つめた。
「意図は理解しています。ですが、」
「頼む。俺はこいつと、友達になりたいんだ」
榛原は動きを完全に止めた。彼が何のくもりもなく微笑んだから。
「ちゃんと話がしたい」
「……最善を尽くします。解析とデータの集拾を開始します。対象、栗原時香、所持キューブ」
「ありがとうな、榛原」
榛原の解析が進み、やはりある程度の生体データがキューブには収められていた。しかし、それだけでは怪我の治療には足りず、榛原が拾ったデータと医療的な基本データ――知識という物に近い――を利用して彼女の組織をコピー、移植し、まるで手術のように損傷した箇所を治していった。
「……時香」
ゆっくりと彼女は目を開けた。
「…………最悪です。負けた上に敵に手当てされるなんて屈辱ですよ」
「そうだな」
目を開け、すぐさま状況を理解した時香は開口一番に嫌そうな顔で文句を言った。
「榛原、解析したキューブにこいつの世界系線のデータあったか?」
「はい、ログが記録されています」
時香はこの会話で二人が何をしようとしているのか理解して、さらに嫌そうな、苦渋を飲んだような顔をした。
「最悪ですよ、もう、トドメさしてくれた方がよかったですよ。最悪だ」
「トドメなんてやらねえよ」
「元の世界系線がどうなっているのか、私話したんですよね? ログにありましたけど」
「わかってる」
「最低です」
傷は癒えても、体力は戻らないようで地面に寝たまま彼女は逸朗に悪態をついた。
そして一度長い瞬きをすると、穏やかな顔で話し始めた。
「……私、本当にここに来て楽しいって思えた。お父さんもお母さんも生きていて、兄弟も元気でやかましくて、普通に家に帰ってどうでもいいような話して、学校に行けば同級生がいてさ、」
楽しい事を思い出すように話していた時香の顔がすっとしぼむように、悲嘆の憂いに変わる。
「――私は、もうあの世界系線では生きてはいけない」
「……つらいからか? いや、――まさか、おまえ」
逸朗は、彼女が自分の言葉に否定的な目線を送った事に気付き、その言葉がそのままの意味ではないと気付いてしまった。
――まさか、あっちの世界系線には……。
逸朗は助けを求めるように榛原を見た。
「――この身体は、この世界系線の栗原時香のものです」
榛原ははっきりそう言った。逸朗は俯き、理解した。自分と同じ方法でここにいるのだと。そしてもう二度と戻れないということを。
「楽しかったけど、この平穏が何万人もの犠牲で成り立っているって知って苦しくなった。……ここ、あれが落ちたんですよね?」
逸朗は答えなかった。
――そうか、落ちなかったのか。
逸朗は悲しみと戦慄が襲うのを感じたが、ただ無言で彼女の話を聞いた。
「それくらいやって初めて愚かな事だと気付くなんて、心底人間はバカなんだなあって悲しくなりましたよ。結局、どちらも人は死んでるんです」
榛原が逸朗の肩に手を置いた。
「そうだな。人間はバカだよな。……その、あのさ、このタイミングで言うの最低だと思うけど」
逸朗は手を差し出して言った。
「……俺と友達になってくれよ。俺、友達いないんだ」
時香は、目を見開いて、そして顔をくしゃくしゃにして泣いた。
「最っ低です、とどめ刺しにきてるんですか? 昨日の敵は、ていうかさっきの敵は今の友とか言うんですか? ていうかあんたがやろうとしてる事って、私にとどめ刺すんですよ? それわかってて言うんですよね。最悪、最低です」
「ごめん、知らなかったんだよ」
逸朗は時香の言葉に後頭部をゆっくり掻いた。その様子に、苦虫を噛まされながらも諦めたような笑みで時香は無言で手を取って握り返し返事をした。
「明日死なないのがわかってる友人はあんたが初めてですよ」
皮肉を込めて時香は言った。
「榛原、頼む」
「……さよならはいつも、くれないんですよね。みんな。……いつも急にいなくなる」
「俺は言わねえよ。友達だからな」
「……たとえ、この平穏が犠牲の上になりたっていても、私の世界系線も同じだったら、本当に、よかったのにな。本当に、ここに来てよかった。すごく、楽しかったな」
「ブリング開始します」
時香は目を閉じた。
彼女の『記憶』は去っていった。
「――弓削逸朗、あれでよかったと肯定できますか」
「……るせえよ、ほんとは真面目に生きて欲しいよ。仕方ねえだろ」
――だって、この世界系線で生きていても、自分の世界じゃないって知ってしまったから。帰すのが最善だって思ったんだ。じゃなきゃ、彼女はここで満足したはずなんだ。
逸朗は、顔を片手で半分を覆って、初めて友達を得て、そして失って――胸の痛みが、彼女を友達だと思えた事を示していて――ただ涙を堪えた。流してやらないと、冗談めいた意地を彼女に示したかった。逸朗は、彼女に自分の青いパーカーを眠る『栗原時香』にかけてやると、
「俺は、おまえの友達だ」
無理やり笑みを作って暗い真夜中の空を見上げた。
「おまえ、いつまで寝てんだよ」
仰向きのまま動かない弥継の側にしゃがみこんだ。
「見ないでよ」
「なんだよ。……風邪引くぞ」
「榛原が治す」
「便利アイテムかよ」
「……、」
逸朗は手を差し出して言った。
「立てよ、ほら」
弥継はもそりとした動きで彼の手を取った。――そして、ぐっと引き寄せて逸朗は彼を抱き締めた。
「――?!」
「……思ったけど、おまえ俺より年下だろ。何そんなに背負ってんだ」
「……全然嬉しくないから離して欲しい」
「へえ、嬉しくないんだ、そうかー。ならなんで抱きついてんだよ。強がり見え見えじゃねえか」
「嬉しくない。迷惑だよ。……だって、そういう君の感性なんかくすぐったいし、……すごく、懐かしくなるから、だめだ」
ゆらゆらゆれる言葉は彼らしくて、なおかつ素直な言葉だった。“ただの少年”でしかないその言葉に逸朗は小さく笑いをもらした。
「腹減ったな。どっか行こうぜ」
立ち上がった逸朗が何気ない調子で言う。
その様子にふふっと弥継が笑い、彼の隣を歩く。
二人の姿を見ていた榛原がふと漏らすように、
「……復帰までの最短記録を更新しました」
「えっ、何か言ったか?」
「いえ」
逸朗が振り返ったが、榛原は表情を変えずに返答した。
「ていうか、もうどこも開いてねえよなあ。ラーメン屋やってねえかな」
「僕はいい。ラーメン好きじゃない」
「俺はよくねえ ていうか、おまえラーメン嫌いなのか? ……じゃあ何がいいんだよ」
「……そば」
「…………じじいかよ」
「そばが好きな十代だっているよ」
「まあ、目の前にいるしなあ」
その他愛もないやりとりを後ろから眺めながら、白いシフォン生地の胸元のリボンを風に揺らせ彼女は微かに笑みを浮かべた。
晩秋の風は冷たい。けれど、逸朗は苦を感じなかった。
生まれ育った街を、じっと碩台公園の高台から見下ろし見つめていた。
その目は懐かしげで、なおかつ寂しげであった。
「大人になるって難しいよな」
「哲学とか、僕は苦手なんだけど」
「俺もわかんねえよ。思った事言ってるだけだし」
「……僕は何年も、いや、時間の概念すら越えて、ずっとこのままだよ」
「俺もずっと時間を止めてたよ」
風が二人の間を、まるで覗き込む様に吹いた。
「進むって、闇雲じゃだめなんだよな……」
「……そうだね」
弥継は俯き、手の内のキューブを見つめる。
「あのさ、真央さんってなんか暗いよね。前から思ってたけど」
「……」
「ほんとさ、あんたがいると気分悪いっていうか、うざいっていうか」
「ちょ、直単語にいいすぎ!」
けらけら笑う声。早実は耳を塞ぎたい衝動に駆られた。
「いいじゃん、ほんとのことだしさあ。てかさあ、消えていなくなっても誰も悲しまないんじゃないの?」
「その、おまえらが嫌じゃないんなら」
「嫌なわけないよ。……でも、ここに残っても良かったんじゃないの?」
「……俺が知ってる席田橋はここにはない」
「ブリングで記憶を改変してしまえば問題はないのに」
「俺はこの記憶を失いたくないんだ」
言われて弥継は黙した。
「……弓削逸朗。あなたが居れば、弥継は微笑みます」
「そうかよ」
照れたように彼は微笑み返す。
「消えろよブス」
早実の脳裏にたくさんの逸朗の姿がよぎった。
消えて悲しむのは彼だ。
――否定されたくない。
早実は、手を後ろ髪に回した。ぱちりと髪留めを外した。
さらりと髪が下りる。
「なに? 外して実は美人ですよーとかやりたいわけ? 外してもブスは、」
「……私には、いつくがいる! あああああああああッ!」
外したバレッタを握り締め、女子生徒を押し倒し馬乗りになって、叫び、何度も何度も、女子生徒の顔に髪留めのバレッタを打ちつける。
「ッ! やめ、て、やめて」
「私にはいつくがいる! 離れても、私は信じる!」
バレッタの金具で女子生徒の顔が傷だらけになっていく。
「私を否定しても、いつくの存在は否定させない!」
「どうしてこんな事をしたんだ? おまえまで犯罪者になる事はないだろう!」
自宅の部屋、自分の部屋にうずくまる早実を父、由紀夫が怒鳴りつけた。
「自分の娘が停学処分とは……娘だなんて思いたくもない」
“破綻している”と理解していても、その言葉は針のように早実の胸を刺した。ぽろりぽろりと涙が落ちてくることにさえ悔しいと思うのに、止める方法が見つからない。
「十八になったら出て行け。養育費代わりに初期費用だけ出してやる」
由紀夫はそれだけ言うと部屋を出ていった。早実はその姿を目で追う事もせず涙を零していた。
ふと、早実は思い出す。自分の事を思っていてくれた人の言葉を。
――思うように、やりたいように生きるんだ――
早実はその言葉を嚙み締めるように、数度心の中で繰り返した。
――そして、ぐっと涙をぬぐい立ち上がる。
「お父さん、どうせ捨てられるならわがままを言わせて。私、別の高校に転校したい。そこでやりたい事を見つけたい。……自立できるように、仕事ができるように勉強したい。……やりたい事がみつかったらその為の勉強もしたい」
まっすぐ父を見据えて、早実は言う。
「……学資保険がある。四年は無理だ。二年ならそれで賄える。高校と、短大もしくは専門二年だ。それ以上は出さん」
「…………」
「解約する方が損だ。好きにしろ」
「……ありがとう、お父さん」
「まずは、基礎からプログラミングの勉強かなあ」
「え、何それ」
「大丈夫、既存のコンピューター言語で動いてるから。英語みたいなものだと思えばいいし」
「うわ、やべえ、マジかよ……覚えられるかな……」
「……本当に、行くの?」
「決めたんだ、もう」
「……知っていて、そうするんだよね?」
「未練はない」
弥継は俯いて、何か思案していた。
「俺は、そのなんつうか。俺がいてもきっと早実を幸せになんか出来ないんだ。離れなきゃいけない。俺と早実は変わらなきゃいけない。……それにこの街は俺の知ってる街じゃない。その孤独がおまえにわかるか? 俺は偽物だ、作られた世界系線で作られた偽物だ。戻る事も出来ない。その孤独を理解できるのはきっと、あいつしかいない」
――世界系線の向こうに消えていった、あの友を逸朗は思った。
「早実に幸せになって欲しいけど俺には出来ない。たとえ本物の俺でもきっと叶わない」
日が、太陽が沈もうとしている。静かに、その時が来ようとしている。
「自力で、自分の未来を見られるように、俺は祈ってる。祈る事しかできない。俺はきっと、」
弥継は逸朗をじっと見つめ、
「ここにいないほうが、いいんだ」
そして目を閉じた。
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Ittsurou_Yuge/name/
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コードでエネルギー流出を限定しながら、パイロンキューブを投げる。熱は広がらず直線で凝縮され空気を赤く燃焼させながら東来に食ってかかる。
「アクト、エメンタル」
東来はその熱に怯む事もなく、短縮コードを呟く。
そのコードに答えるように、地面は柱のようにいくつも隆起し東来を守るように壁になって熱を阻んだ。そのうえに、まるで盛り上がった地面を補完するように、柱のない場所に盛り上がった分地面が凹んでいき、深い穴になった。その穴に弥継は吸い込まれるように落ちていく。
「……disturb」
地下何階相当なのかわからない穴に向けてフルードキューブを落とす。落ちる音も聞こえないまま、
もう一つキューブを持ち喉元に当てる。数秒落ちて、見えない底から水が溢れだした。水は弥継を受け止め、暗い水の深く沈み漂い、ごぼごぼと空気を漏らしながら弥継がなにかを言った。すぐさまキューブを手に持ったまま底に向けて放った。筒状の空間の中で空気が氾濫し、水ごと弥継を持ち上げる。
「……クッはあっ」
間欠泉のようにすさまじい勢いで空中に打ち上げられながら、息を吸い込み空になった肺に酸素を送り込む。空中で姿勢を整えながら東来を補足するとすぐさまパイロンキューブを落とした。解除コードの後すぐさま息を止める。
「アクト、チャーチルカヴェート」
熱が到達する前に、東来の頭上を、先ほどコードで突き立てた柱が集結し彼を保護するようにすべて覆い尽くした。
熱で肌をじりじりと焼かれながら、コードを叫ぶ。
「コマンド、短縮、リピート、オート、レスタライズ、対象オウンフィズ、disturb」
すぐさま別のキューブを落とす。
キューブから溢れた水は辺りの熱を吸い込んで一瞬で水蒸気に代わり、膨れ上がった空気がダイナマイトのように東来を保護したコンクリートの屋根を砕く。
拳をにぎり、砕いた屋根の穴から弥継を見上げる東来向けて落下していく。
「東来いいいいぃぃィッ! dis……turb!」
更に落下速度を上げ、拳に握られたキューブが旋風を生みながら空気を切り裂いて弥継の決死の一撃を加速させる。
「君は単純だ。アクト、レコンキスタ」
東来は微動だにもせず反撃のコードを打つ。
弥継の拳は東来の眼前数センチ手前で停止、弥継の拳を取り巻いていた風の旋廻は真逆に反転し、それどころか威力を何倍にも増幅して弥継の叛乱をもたらし、彼を吹き飛ばし空気の刃となって身体をずたずたに傷つけていく。
「……う、がッ……」
数十メートル打ち上げられ、落下する。
「………――ッ! …………あぁぁぁ……」
地面に叩きつけられ、全身に痛みが走る。骨折したようだが、オートコマンドですぐさま修復された。が、感覚の余韻が抜けずうつ伏せのまま呻きを上げる。
こつりこつり、革靴の上品な足音が近づく。弥継は起き上がろうと、痛みの余韻で力の入らない腕に無理やり力を込める。
「ロケートパターン、hspt、アクトコード、ハングアップ」
「――――?!」
――空間固定!?
動けない。先ほどのコードはおそらく、空間の掌握と固定、もしくは空気移動の固定かもしれない。背中の空間を固定されたようで全く身動き一つ出来ない。
――あと、一歩。あと一歩で東来を討てる。あと一歩が。
――――遠い。
弥継が胸が痛くなる程、心の中で叫び嘆いた。
「時が満ちる。――というのは、月が満ちる時だろうか。自問自答の責を、無責任とみるか」
朗々たる東来の『詩』を、その冷徹な目を、弥継は睨み付けた。
そして、全身から来る震えを無理やり押さえつけ、手を、歯を食いしばり、コードを叫んだ。
「……コード、……アバランシェ、デコード!」
カキコキカキ
と奇妙な音を立て、透明な『何か』が出現した。
『何か』と称するのも違和感を感じる。それというのは、実質の所、空間の揺らぎのようでしかなく実在しているようで実在などしていない。
――弥継の頭上に出現したのは、高次元多重式。
データ上にしか存在しないその概念は、空間の揺らぎによって人は視認できた。弥継はこの次元式を自分の持っていたキューブから開放し、頭上に出現させた。制御すらも放棄して。
制御を失った次元式はあたりのデータそのものをばらばらに引き裂き始めた。空気はまるで悲鳴をあげるように奇妙な音を立て空間がずれ始めた。その下の捕らわれた弥継の身体を巻き込んで。
「――あ、ああああああああああああああああッ!」
身体を、背中の肉を空間ごと引きちぎられる。耐えがたい激痛に弥継は絶叫した。
千切られた空間は、固定していたコードのデータも引き千切り、開放された弥継はぐったりと地面に臥した。すぐさまオートコードが動いて弥継の身体を正常な状態に復元した。
「……コード、リオーガナイズド、セット」
痛みで疲弊しながらコマンドコードを呟くと、次元式は形態を変えながら、まるで花が蕾に戻るように弥継のキューブに集約し、姿を消した。
「檻猿籠鳥となれど、その魂すら燃やし足掻くか。その余勢、鮮烈さは若き日の私にもあった。恒久ではない。故に、その激しさは全てのエネルギーをも超えるか、少年よ」
東来を睨む。弥継の目は、まだ尽きていない意思を示している。
「オートコード解除、システムアクセス、ヒストリ呼び出し、コード、バンドリング、e6987、エンター」
腕にぐっと力を込め、弥継は立ち上がる。右手にぐっと二つのキューブを右手に握りこめ、
「disturb!」
解除コードを叫び、東来に殴りかかる。手のキューブからは水と風が渦になって、嵐のように弥継の腕に纏わりつき加速させる。
「少年よ。旅を終えるなら、今ではない」
東来は避けることも、コードで防御することもしなかった。
素手で弥継の拳を受け止め、目の前の少年を静かに、一切の感情を示さない目で彼を見つめた。
「…………ッ!」
旋廻していた風が、水が、刃物のように東来の腕を切り裂いても一寸も動かない。呻きすらも聞かせない。その姿に少しの畏怖を覚えた。
「アクト、スレッド」
「ッ?!」
東来のコードが放たれた瞬間、弥継は身体中の違和感を感じ、次の瞬間、全身が激痛に襲われた。
身体中の筋、腱という腱が捻れ捩れ、千切れた。
身体を動かすことも出来なくなり、弥継は地に崩れ落ちた。
「まだ見ぬ未開の地へその身を運べ。我も行くならば、その体躯を引き摺り少年も十字軍の如く決意の旗を翳し、かの地へ行軍するだろう。旅は終わらぬ。その時は嚮後の時、いずくの地にて。私がそう告げたなら、それを感得し認知するか」
東来はそう問うたが、コードはおろか声もろくに出せなかった。
指先一つ動かせないまま、ただ彼を睨む。
「拒絶せども、枯水の器しかない。満ちるには程遠い。故に少年よ、満ちるには早すぎるのだ」
その言葉を最後に東来はすっと弥継から離れ自らのキューブを取り出し、コードを呟いた。――東来は光の粒子になって姿を消し――この世界系線から去っていった。
「………兄さん、兄さん!」
全身の痛みすらも忘れたように弥継は叫んだ。
「ああ、あああぁぁ……」
身体の痛みも無視して、心が痛むそのままに弥継は涙をこぼし、悲痛な声を上げた。
――届かない。
彼が消えていったその場所を見つめ、腕も動かせないまま、指先だけが虚しくそらを掻いた。
「逃げてないで、たなまりも参戦してくださいよ!」
「嫌よ、三春に切られる!」
「チッ」
「余所見かよ」
頭脳派の二人のやりとりに割って入るように逸朗が時香に殴りかかろうとする。
逸朗の拳を何とか回避、二発目が食ってかかろうとした。
「モード、ロケーションコード、A107、ライズ」
時香のコードにより、側の海面が一気に上昇し局所的な津波になって逸朗の拳の軌道上を塞いだ。その次の瞬間どこから来たのか見えない何かが海水を切り裂いた。逸朗は驚いて腕を引っ込め、何かが飛んできた方向を見た。――犯人はおそらく、三春だ。あの薙刀槍の余波だろう。余波でこれとは、背中にじんわり嫌な汗が滲んでくるのを感じる。
――もう、あいつらどっか行ってくれよ……死にたくない。
「埒があかないってのはじれったいもんですよね」
「それはこっちの台詞だ!」
がすりと地面を殴り解除コードを叫ぶ。風が彼の身体を押し上げ空中に浮き上がらせる。
「攻撃が一辺倒でつまんないですよ」
「るせえ、俺は初心者だ!」
「モード、スリング、トラバーサル、スプリンター」
数十メートルの高さまで飛び上がり、自分の頭上に落ちてこようとしている逸朗を見上げ、時香がコードを呟いた。
先ほど引いた津波もどきが再び盛り上がり、今度は逸朗を狙って舐め取るように襲いかかり、大きな水泡の形を取った。驚く間もなく外側から内に向かって、空気が刺のように鋭く錐のごとく水泡の中の逸朗に襲いかかる。当然、避ける余裕もなく右足を貫通し、腕と額をかすめ海水に血液が滲んだ。水泡は保持力はないのか、すぐさまただの海水の形態に戻り、逸朗と共に地に落ち辺りに流れた。
「い、てえな、くそ」
濡れた髪を首を振って水気を飛ばしながら悪態をつく。
――さすがに腹立つな。
痛みより、苛立ちの方が勝った。逸朗は出羽たちが応酬している所まで走って、解除コードを叫び、三春の薙刀の柄を殴り、すぐさま出羽の側に行き腕を引いて、
「へえっ?」
驚く出羽を他所に、弓を引かせ勝手に解除コードを言い、矢は当然のように時香のほうへ豪速で飛んでいった。三春の切っ先から出た風がなぎ倒そうとしていたところであり、それを避けたところにあの矢である。時香は避けるので手一杯になり風で無様に転がるしかなかった。
「うわ、濡れてるじゃない。しかも海水? 触らないで、弓が錆びる、気持ち悪い」
「はいはい」
文句を言われた逸朗は、反論もせずぱっと手を離し、時香の方へ駆けていく。
「あら、あのクソ男いないわ。なら私はここまでね。星が眠る前に私は風になるの☆」
東来の不在に気付くと、役目は終わったとばかりに決めポーズのままブリングしていなくなった。近くでバランスを失って片膝をついていた三春も、出羽がブリングしたのを見て後を追ってブリングして去っていった。
その様子に気付いた逸朗は嘆息し、
「もう最初からどっか行ってて欲しかったよ、ほんと」
「無駄口はぶっ倒れて地面と結婚してからにしろよ、ですよ!」
「るせーよ」
言って走る。殴りかかって、時香はコンクリートを持ち上げ阻む。
「あいつ頭脳派なのか?」
「知らねえですよ」
「わけわかんないやつだよな」
軽口を言いながら、自分の体力が限界に近づいている事をじわじわ感じ始めていた。足の傷の痛みがなおのこと余裕を奪っている。未だに出血が続いている。
――もう終わらせないといけないか。
足の痛みを無視して、全力で走り殴りに行く。
「弥継、あなたがそのように泣くのを三十一回記録しています」
「……そんな記録、――いや、なんでもない」
消してよ、と続けようとして弥継はやめた。彼女なら本当に記憶のデータを消しかねない。
「情けないです」
「そうだね。情けないね」
痛みで微かな声しか出ない。
「……ブリングスタンバイ、コードTarget2013AB」
「また、叶わなかった」
掠れた声で弥継が嘆いた。
「ブリング開始します」
傷が癒えていく。
身体から痛みが引いていき、動くようになった手で弥継は顔を覆い、泣いた。
「まだ、僕の旅は終わらない」
彼のすべての悲しみを詰め込んだような嘆きだった。
こらえるような嗚咽を上げる彼の側で、朱鷺子はじっと静かに佇みただ黙して彼を見つめていた。
踏み込む度に足に痛みがはしる。それでも逸朗は走り、拳を握る。
逸朗の走る後を追うように地面のコンクリートが変質し、襲い掛かる。刺になったり壁になったり鈍器になったりするコンクリートの攻撃を、キューブの風でトリッキーな動きをしながら避けていく。
「曲芸ですかそれは!」
キリの無さに苛立って時香が言葉を投げつけた。
「時香!」
「勝手に下の名前で呼んでんじゃねえですよ!」
「俺、見つけたんだ!」
攻撃を避けながら逸朗が時香に叫ぶ。
「俺、何をしたいのか、わかったんだ」
時香は彼を無視してコードを呟き続ける。
「disturb!」
キューブを握った拳を地面に打ちつけ、飛び上がり一気に時香の眼前まで詰め寄る。
「おまえのおかげなんだ」
そして、逸朗は喜喜として時香に向けて言った。
「だから、俺にした分のことは許してやるよ」
そう言って、彼はにっこりと、屈託なく笑った。
「――?!」
いったい、何を言っている?
演技ではない。心から彼は自分に向かって微笑んでいる。彼は自分が何をされたのか、はっきりわかっていて言っている。駆け引きでもなく、ただ思った事を。
時香はこの言動に思考を完全に奪われ、コードをつむぐ事も忘れた。
「サンキューな、時香! disturb!」
嫌味も何もなく、友達に笑いかけるような笑みで、時香の頬に全力の拳をぶち当てた。
「ッ?! ぅ、あ」
風の拳を盛大に受け、跳ね上がり数メートル先まで時香は吹き飛んだ。
そのまま、彼女は動きを停止した。
それを見届けると、逸朗は脱力したようにばたりと仰向けに転がった。
「はー、きつかったー」
頭上には当たり前のように、暗く星の少ない空が見えた。その当たり前の事実に少し笑った。
「戦闘終了を確認しました。周辺の修復を開始します。コード、アラウンド、ブリング開始します」
朱鷺子の声に気付き、逸朗はゆっくりと身を起こした。気付けば回りは静かになっていて、いつのまにか側に朱鷺子が立っていた。
「あれ? 頭脳派やつ、時香以外いねえじゃん」
「弓削逸朗、負傷しています。ブリングします」
「あ、ああ、サンキュー。てか、あいつら逃げたのか?」
「はい。田中真鞠子は攻撃を回避するさなかにブリングして逃亡しました」
――うわ、最低だ。
こんな状況なのに仲間を置いて逃げるのか。戦闘も強くない、防御も出来ない、がしぶとく頭脳派(インテリジェント)で生き残っているのはその逃げ足の早さなんじゃ? と逸朗は苦笑した。
足の傷をブリングで治してもらい、立ち上がったところで、ふと気付き、
「榛原、弥継は?」
「……しばらくはそのままにしておくことを推奨します。……あの状態では、100分は動きません」
榛原の目線を追う。彼は地面に仰向けのまま、顔を覆って動かない。
彼は、自分の内側と戦っているように見えた。彼の心を開いて覗いたわけではない。しかし、逸朗はその苦悩の鱗片を感じた。――人にとって、死ぬ事よりも、受け入れる方がずっと辛い。生きている人間は、その苦悩を抱えて生きていなくてはいけない。逸朗は彼の姿を悲しげに眉を寄せて、視線を榛原に戻した。
「頼みがある。あいつの手当てをしてくれないか?」
朱鷺子は彼が指差した人物が、栗原時香である事に困惑した。表情こそ変わらなかったが。
「……そのオーダーはお受け出来ません。データと、実行する理由が見当たりません」
「……俺はあいつを許したんだ。だから、人としての行動を取る。じゃ、だめか?」
「…………、」
「うーん、データがないなら、……待てよ」
逸朗は後ろ頭をもたりとした動きで掻いていたが、ひたと動きを止めた。ある人物の言葉を思い出していた。
――田中真鞠子があのとき、骨折くらいは治せるって言ってたな。それやるには元のデータが必要になる。てことは、うん。
「榛原、頼む。こいつのキューブを解析してデータを探して欲しい。あと、元いた世界系線のデータも」
「可能ですが」
榛原は無表情のまま難色を示した。それに対して、逸朗は黙って彼女をじっと見つめた。
「意図は理解しています。ですが、」
「頼む。俺はこいつと、友達になりたいんだ」
榛原は動きを完全に止めた。彼が何のくもりもなく微笑んだから。
「ちゃんと話がしたい」
「……最善を尽くします。解析とデータの集拾を開始します。対象、栗原時香、所持キューブ」
「ありがとうな、榛原」
榛原の解析が進み、やはりある程度の生体データがキューブには収められていた。しかし、それだけでは怪我の治療には足りず、榛原が拾ったデータと医療的な基本データ――知識という物に近い――を利用して彼女の組織をコピー、移植し、まるで手術のように損傷した箇所を治していった。
「……時香」
ゆっくりと彼女は目を開けた。
「…………最悪です。負けた上に敵に手当てされるなんて屈辱ですよ」
「そうだな」
目を開け、すぐさま状況を理解した時香は開口一番に嫌そうな顔で文句を言った。
「榛原、解析したキューブにこいつの世界系線のデータあったか?」
「はい、ログが記録されています」
時香はこの会話で二人が何をしようとしているのか理解して、さらに嫌そうな、苦渋を飲んだような顔をした。
「最悪ですよ、もう、トドメさしてくれた方がよかったですよ。最悪だ」
「トドメなんてやらねえよ」
「元の世界系線がどうなっているのか、私話したんですよね? ログにありましたけど」
「わかってる」
「最低です」
傷は癒えても、体力は戻らないようで地面に寝たまま彼女は逸朗に悪態をついた。
そして一度長い瞬きをすると、穏やかな顔で話し始めた。
「……私、本当にここに来て楽しいって思えた。お父さんもお母さんも生きていて、兄弟も元気でやかましくて、普通に家に帰ってどうでもいいような話して、学校に行けば同級生がいてさ、」
楽しい事を思い出すように話していた時香の顔がすっとしぼむように、悲嘆の憂いに変わる。
「――私は、もうあの世界系線では生きてはいけない」
「……つらいからか? いや、――まさか、おまえ」
逸朗は、彼女が自分の言葉に否定的な目線を送った事に気付き、その言葉がそのままの意味ではないと気付いてしまった。
――まさか、あっちの世界系線には……。
逸朗は助けを求めるように榛原を見た。
「――この身体は、この世界系線の栗原時香のものです」
榛原ははっきりそう言った。逸朗は俯き、理解した。自分と同じ方法でここにいるのだと。そしてもう二度と戻れないということを。
「楽しかったけど、この平穏が何万人もの犠牲で成り立っているって知って苦しくなった。……ここ、あれが落ちたんですよね?」
逸朗は答えなかった。
――そうか、落ちなかったのか。
逸朗は悲しみと戦慄が襲うのを感じたが、ただ無言で彼女の話を聞いた。
「それくらいやって初めて愚かな事だと気付くなんて、心底人間はバカなんだなあって悲しくなりましたよ。結局、どちらも人は死んでるんです」
榛原が逸朗の肩に手を置いた。
「そうだな。人間はバカだよな。……その、あのさ、このタイミングで言うの最低だと思うけど」
逸朗は手を差し出して言った。
「……俺と友達になってくれよ。俺、友達いないんだ」
時香は、目を見開いて、そして顔をくしゃくしゃにして泣いた。
「最っ低です、とどめ刺しにきてるんですか? 昨日の敵は、ていうかさっきの敵は今の友とか言うんですか? ていうかあんたがやろうとしてる事って、私にとどめ刺すんですよ? それわかってて言うんですよね。最悪、最低です」
「ごめん、知らなかったんだよ」
逸朗は時香の言葉に後頭部をゆっくり掻いた。その様子に、苦虫を噛まされながらも諦めたような笑みで時香は無言で手を取って握り返し返事をした。
「明日死なないのがわかってる友人はあんたが初めてですよ」
皮肉を込めて時香は言った。
「榛原、頼む」
「……さよならはいつも、くれないんですよね。みんな。……いつも急にいなくなる」
「俺は言わねえよ。友達だからな」
「……たとえ、この平穏が犠牲の上になりたっていても、私の世界系線も同じだったら、本当に、よかったのにな。本当に、ここに来てよかった。すごく、楽しかったな」
「ブリング開始します」
時香は目を閉じた。
彼女の『記憶』は去っていった。
「――弓削逸朗、あれでよかったと肯定できますか」
「……るせえよ、ほんとは真面目に生きて欲しいよ。仕方ねえだろ」
――だって、この世界系線で生きていても、自分の世界じゃないって知ってしまったから。帰すのが最善だって思ったんだ。じゃなきゃ、彼女はここで満足したはずなんだ。
逸朗は、顔を片手で半分を覆って、初めて友達を得て、そして失って――胸の痛みが、彼女を友達だと思えた事を示していて――ただ涙を堪えた。流してやらないと、冗談めいた意地を彼女に示したかった。逸朗は、彼女に自分の青いパーカーを眠る『栗原時香』にかけてやると、
「俺は、おまえの友達だ」
無理やり笑みを作って暗い真夜中の空を見上げた。
「おまえ、いつまで寝てんだよ」
仰向きのまま動かない弥継の側にしゃがみこんだ。
「見ないでよ」
「なんだよ。……風邪引くぞ」
「榛原が治す」
「便利アイテムかよ」
「……、」
逸朗は手を差し出して言った。
「立てよ、ほら」
弥継はもそりとした動きで彼の手を取った。――そして、ぐっと引き寄せて逸朗は彼を抱き締めた。
「――?!」
「……思ったけど、おまえ俺より年下だろ。何そんなに背負ってんだ」
「……全然嬉しくないから離して欲しい」
「へえ、嬉しくないんだ、そうかー。ならなんで抱きついてんだよ。強がり見え見えじゃねえか」
「嬉しくない。迷惑だよ。……だって、そういう君の感性なんかくすぐったいし、……すごく、懐かしくなるから、だめだ」
ゆらゆらゆれる言葉は彼らしくて、なおかつ素直な言葉だった。“ただの少年”でしかないその言葉に逸朗は小さく笑いをもらした。
「腹減ったな。どっか行こうぜ」
立ち上がった逸朗が何気ない調子で言う。
その様子にふふっと弥継が笑い、彼の隣を歩く。
二人の姿を見ていた榛原がふと漏らすように、
「……復帰までの最短記録を更新しました」
「えっ、何か言ったか?」
「いえ」
逸朗が振り返ったが、榛原は表情を変えずに返答した。
「ていうか、もうどこも開いてねえよなあ。ラーメン屋やってねえかな」
「僕はいい。ラーメン好きじゃない」
「俺はよくねえ ていうか、おまえラーメン嫌いなのか? ……じゃあ何がいいんだよ」
「……そば」
「…………じじいかよ」
「そばが好きな十代だっているよ」
「まあ、目の前にいるしなあ」
その他愛もないやりとりを後ろから眺めながら、白いシフォン生地の胸元のリボンを風に揺らせ彼女は微かに笑みを浮かべた。
晩秋の風は冷たい。けれど、逸朗は苦を感じなかった。
生まれ育った街を、じっと碩台公園の高台から見下ろし見つめていた。
その目は懐かしげで、なおかつ寂しげであった。
「大人になるって難しいよな」
「哲学とか、僕は苦手なんだけど」
「俺もわかんねえよ。思った事言ってるだけだし」
「……僕は何年も、いや、時間の概念すら越えて、ずっとこのままだよ」
「俺もずっと時間を止めてたよ」
風が二人の間を、まるで覗き込む様に吹いた。
「進むって、闇雲じゃだめなんだよな……」
「……そうだね」
弥継は俯き、手の内のキューブを見つめる。
「あのさ、真央さんってなんか暗いよね。前から思ってたけど」
「……」
「ほんとさ、あんたがいると気分悪いっていうか、うざいっていうか」
「ちょ、直単語にいいすぎ!」
けらけら笑う声。早実は耳を塞ぎたい衝動に駆られた。
「いいじゃん、ほんとのことだしさあ。てかさあ、消えていなくなっても誰も悲しまないんじゃないの?」
「その、おまえらが嫌じゃないんなら」
「嫌なわけないよ。……でも、ここに残っても良かったんじゃないの?」
「……俺が知ってる席田橋はここにはない」
「ブリングで記憶を改変してしまえば問題はないのに」
「俺はこの記憶を失いたくないんだ」
言われて弥継は黙した。
「……弓削逸朗。あなたが居れば、弥継は微笑みます」
「そうかよ」
照れたように彼は微笑み返す。
「消えろよブス」
早実の脳裏にたくさんの逸朗の姿がよぎった。
消えて悲しむのは彼だ。
――否定されたくない。
早実は、手を後ろ髪に回した。ぱちりと髪留めを外した。
さらりと髪が下りる。
「なに? 外して実は美人ですよーとかやりたいわけ? 外してもブスは、」
「……私には、いつくがいる! あああああああああッ!」
外したバレッタを握り締め、女子生徒を押し倒し馬乗りになって、叫び、何度も何度も、女子生徒の顔に髪留めのバレッタを打ちつける。
「ッ! やめ、て、やめて」
「私にはいつくがいる! 離れても、私は信じる!」
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――思うように、やりたいように生きるんだ――
早実はその言葉を嚙み締めるように、数度心の中で繰り返した。
――そして、ぐっと涙をぬぐい立ち上がる。
「お父さん、どうせ捨てられるならわがままを言わせて。私、別の高校に転校したい。そこでやりたい事を見つけたい。……自立できるように、仕事ができるように勉強したい。……やりたい事がみつかったらその為の勉強もしたい」
まっすぐ父を見据えて、早実は言う。
「……学資保険がある。四年は無理だ。二年ならそれで賄える。高校と、短大もしくは専門二年だ。それ以上は出さん」
「…………」
「解約する方が損だ。好きにしろ」
「……ありがとう、お父さん」
「まずは、基礎からプログラミングの勉強かなあ」
「え、何それ」
「大丈夫、既存のコンピューター言語で動いてるから。英語みたいなものだと思えばいいし」
「うわ、やべえ、マジかよ……覚えられるかな……」
「……本当に、行くの?」
「決めたんだ、もう」
「……知っていて、そうするんだよね?」
「未練はない」
弥継は俯いて、何か思案していた。
「俺は、そのなんつうか。俺がいてもきっと早実を幸せになんか出来ないんだ。離れなきゃいけない。俺と早実は変わらなきゃいけない。……それにこの街は俺の知ってる街じゃない。その孤独がおまえにわかるか? 俺は偽物だ、作られた世界系線で作られた偽物だ。戻る事も出来ない。その孤独を理解できるのはきっと、あいつしかいない」
――世界系線の向こうに消えていった、あの友を逸朗は思った。
「早実に幸せになって欲しいけど俺には出来ない。たとえ本物の俺でもきっと叶わない」
日が、太陽が沈もうとしている。静かに、その時が来ようとしている。
「自力で、自分の未来を見られるように、俺は祈ってる。祈る事しかできない。俺はきっと、」
弥継は逸朗をじっと見つめ、
「ここにいないほうが、いいんだ」
そして目を閉じた。
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ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
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