8 / 10
夢をみるひと⑧
しおりを挟む
その場所に立ち、待っていると30分おきくらいに人が来た。
体が大きくストリート系の格好をした男、派手な化粧をした女、一見普通の若い男、80歳くらいの老人。
様々な人が来て「クスリ」を買っていった。みな6万円ほどの金を啓太に渡し、袋に入った1グラムを受け取る。
見た目の怖い人から普通の人まで、その日は15人ほどの人が来たが、みなどこか不思議な空気感を持っていた。
日常的に使っている人は見えてる世界が違うのだろうか、そんなことを考えながら金と物の交換を行っていると、夜中の2時ごろ例の黒いワンボックスが啓太の前に現れた。
男が車に乗るよう指示したので助手席に座る。座るとまたすぐに出発した。
行きよりかは少しだけ緊張もほぐれ、窓の外を見る余裕ができた。夜
の2時過ぎだというのに渋谷の街は明るく、人々で賑わう。
徐々に静かな街に景色が移りはじめ、30分ほどで漫画喫茶へついた。
昨日の出来事がもう少し前の事のように感じる。
車を止めると男は、
「お疲れさん。給料はねえけど頑張ったからこれやるよ。」
そう言って昨日啓太が預けた免許証と共に、直径5ミリほどの錠剤がたくさん入った袋を渡してきた。
そして続ける
「いま一個飲んでみろよ。」
啓太はもちろん薬物などやったこともないし、これが何の薬物なのか、というより薬物なのかそうでないのかも分からなかった。
飲みたくはなかったが、男に対する恐怖心に押し負け1粒口に含み、飲み込む。
何も感じなかった。
「1時間くらいしたら効いてくるかな。1時間立つ前に寝ればおもしれえ夢も見れるよ。あ、あと一気にたくさん飲むと死ぬからな。」
さらに男は続けると車から降りるよう指示した。
死ぬというワードにビビった啓太の心臓は、激しく音を鳴らした。
車から降りると窓が開く。
「明日もまた同じ時間に来いよ」
そういって男は車を出した。
啓太は急いで逃げた。何から逃げているのかもわからず、自分の家に向かって全速力で逃げた。
家に着き、シャワーも浴びずにベッドへ入る。目をつぶると今日の光景が一気に瞼の裏に映った。
体が大きくストリート系の格好をした男、派手な化粧をした女、一見普通の若い男、80歳くらいの老人。
様々な人が来て「クスリ」を買っていった。みな6万円ほどの金を啓太に渡し、袋に入った1グラムを受け取る。
見た目の怖い人から普通の人まで、その日は15人ほどの人が来たが、みなどこか不思議な空気感を持っていた。
日常的に使っている人は見えてる世界が違うのだろうか、そんなことを考えながら金と物の交換を行っていると、夜中の2時ごろ例の黒いワンボックスが啓太の前に現れた。
男が車に乗るよう指示したので助手席に座る。座るとまたすぐに出発した。
行きよりかは少しだけ緊張もほぐれ、窓の外を見る余裕ができた。夜
の2時過ぎだというのに渋谷の街は明るく、人々で賑わう。
徐々に静かな街に景色が移りはじめ、30分ほどで漫画喫茶へついた。
昨日の出来事がもう少し前の事のように感じる。
車を止めると男は、
「お疲れさん。給料はねえけど頑張ったからこれやるよ。」
そう言って昨日啓太が預けた免許証と共に、直径5ミリほどの錠剤がたくさん入った袋を渡してきた。
そして続ける
「いま一個飲んでみろよ。」
啓太はもちろん薬物などやったこともないし、これが何の薬物なのか、というより薬物なのかそうでないのかも分からなかった。
飲みたくはなかったが、男に対する恐怖心に押し負け1粒口に含み、飲み込む。
何も感じなかった。
「1時間くらいしたら効いてくるかな。1時間立つ前に寝ればおもしれえ夢も見れるよ。あ、あと一気にたくさん飲むと死ぬからな。」
さらに男は続けると車から降りるよう指示した。
死ぬというワードにビビった啓太の心臓は、激しく音を鳴らした。
車から降りると窓が開く。
「明日もまた同じ時間に来いよ」
そういって男は車を出した。
啓太は急いで逃げた。何から逃げているのかもわからず、自分の家に向かって全速力で逃げた。
家に着き、シャワーも浴びずにベッドへ入る。目をつぶると今日の光景が一気に瞼の裏に映った。
0
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
婚約者の番
ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。
大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。
「彼を譲ってくれない?」
とうとう彼の番が現れてしまった。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる