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君のために

手を伸ばしたい相手

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 「トモ君・・・」
 「兄は私には関係ありません。ただ書類上の血の繋がりだけの関係です。私は、兄とは違う。」
 「そうですね。俺も貴方を弘人ひろととは思っていません。ただ、弘人はどうしていますか?」
 「知りません。兄に会ったことがないので」
 「?」
 「小さい頃から私はこの学校で育ちました。兄は両親のところ。私は両親に育てられませんでした。簡単なことです。私は異端者だからです。」
 「ト、トモ君」
 「ゆき。貴方は自分がおかしいと思っているけど、私もおかしいんです。私は・・・」
 言葉を止める。一呼吸ついてから口を開くが声が出ていない。
 「私はっ」
 「言わなくていいです。」 
 「でもっ」
 「トモ君無理しなくていいよ。僕だって言ってないから」
 「ッ」
 「はぁ、でも雪。覚えておいてください。貴方は1人ではないと」
 「うん!ありがとう」
 「・・・・うんん。雪。もう休もう。」
 別人にでもなったかのように口調を変え、雪の隣の椅子に座る。
 「じゃあ俺はこれでお暇しますね。」
 「あ、直也なおやさん。いつでもいいので白斗さん?白斗さんに合わせて欲しい」
 「で、でも・・・」
 「何かあるの?」
 「・・・白斗は一生、薬の効果が切れない体質になっていて・・」
 「じゃあ、僕から言ってもいい?僕は薬が効かないから。僕は薬を飲む方ではないから。感じないと思う」
 「待っていますね。」
 「うん!」

 幼さを感じると同時に年上にも感じる違和感がする。

 それは校長が全てやったこと、雪も智弘も、白斗は被害者だ。

 

 病室を出ると廊下で弥生やよいを落ち着かせていた。
 「大丈夫?」
 「うん。弥生さん・・・また会いに行ってください。」
 「もう、もう無理だよ。」
 「弱音を吐かないでください。貴方は俺に白斗を守れと言う。貴方は守ろうとしないんですか?」
 「できない、できない。」
 「じゃあ、俺と白斗に子供を望まないでください!できないんです。」
 「・・・なんで・・・雪にはあの子がいるじゃん・・・」
 素に戻り話す。
 「あの子は、雪くんの友達です。。幼馴染にしかわからないこともあるはずなです・・・お父さんとお母さんにはわからない白斗の一面があるように弥生さんにしかわからない雪くんの一面がある。そうだと思いませんか?・・・俺は白斗を諦めない。それが、この校長の逆鱗に触れようとも、一生、永遠に白斗といることを諦めません。約束したけど・・卒業するまでと約束したけど俺は強引な男なんでね、全力で俺のそばに置いときますよ。何がなんでも。」

 弥生の目に直也はどう映っていたのだろうか。

 昔の槇とはつを見ているのだろうか?

 今は槇と葉は遠い存在ではない・・・もう掴める存在だ。手を伸ばせる相手だ。

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