上 下
167 / 188
向き合う時

余韻

しおりを挟む
 今日は修学旅行振り返り休日で学校はお休み。
 「まだ余韻が抜けませんね。」
 自分の頬を叩いてしっかりさせる。修学旅行で使ったバックを開いて中から数箱のお土産を出した。
 「お母様とお父様、筒夏つつなさんにはお土産を渡したので、あとは宮南瀬みなせさんと使い長と・・・」
 ぶつぶつ言いながらお土産をテキパキ分ける。

 箱の山が2つ出来た。

 「誰から行きましょうか?」
 するとタイミングを測ったかのようにインターホンが鳴った。茅鶴ちづるかおるは仕事でいない。志綾しあは「はーい」と玄関まで向かった。

 「どちら様ですか?」
 「物槨令ものかくれです。」 
 「今開けますね。しずくさん。どうしたんですか?」
 家に招き入れた物槨令。
 「ジャーン。見て」
 物槨令が見せたのは色違いのキーホルダーだった。
 「なんですか?これ」
 「京都で買ったお土産。志綾ちゃんとお揃いにしたくて。」
 物槨令が持っているキーホルダーは扇子のミニチュアキーホルダーだった。
 「志綾ちゃん。水色とピンクどっちがいい?」
 「雫さんの好きな方でいいですよ。」
 「うーん。じゃあ志綾ちゃん水色ね。」
 「はい。誰かとお揃い初めてで嬉しいです。ありがとうございます。登校バックにつけたいと思います。」
 「うん!」

 「これ、みんなにプレゼント?」
 部屋に案内した物槨令が志綾に聞く。
 「はい。ですが、多くてもしよろしければ手伝ってくれませんか?」
 「うん!手伝う!」

 
 志綾は、あまり入ったことのない使い部屋に入った。

 「志綾様!どうかされました?荷物が多いようですが・・お手伝いしましょうか?」
 「いえ。友人がお手伝いしてくれているので。」

 使い部屋は、使い達が仕事をしたり休憩したりするところ。かなめ家とも繋がっている。

 「あの、これ使いの皆さんで食べてください。修学旅行のお土産です。すみません。上から取っていただけると」
 
 「えーいいんですか?ありがとうございます。」
 使いの1人が上から一つ取った。

 「はい!是非!」

 使い長の個室にまで行って使いの人にノックしてもらう。

 「失礼します。」

 ノックで返事がなかったため、ドアを開けてもらって入った。使い長は寝ていた。

 「1つ置いておいてお暇しましょうか。」
 志綾は一つと言ったが、2つおいて部屋を出た。

 「使いの方々はいつもお疲れですか?」
1人の使いに聞く。
 「私たちはそこまでではないんですが、使い長様は私達の倍働いているので。」
 「そうですよね。・・お邪魔しました。」

 志綾は使い部屋から出た。

 「雫さん。お待たせしました。」
 「志綾ちゃんって家ではあんな感じなんだね。なんだか新鮮。新鮮だな」
 「お恥ずかしいですね。」

 
 次に向かったのは、外だった。荷物を最低限にしてから出た。

 「次はですね。昔お世話になった使いの方です。」

 少し時間がかかり、志綾はインターホンを鳴らした。

 「はーい!あら、志綾ちゃんお久しぶり。」

 「宮南瀬さん。」

 物槨令に紹介した。宮南瀬ご夫婦を。

 「これ、修学旅行のお土産です。みんなで食べてください。」

 「いいの?ありがとう。」

 お辞儀をして家を後にした。
 「疲れましたね。」
 「うん。」
 「夕飯食べて行きますか?」
 「うんん。今日はね。逆。せっかくだから私の家で夕飯食べない?」
 「・・いいんですか?」
 目をキラキラさせて、そう聞く。
 「うん!お母さんも。呼んでって言ってるから。」
 「少し待ってくださいね、」
 急いでスマホを取り出した。

 「良いみたいです!」
 「わぁーいー!じゃあ、早速行こう。」

 志綾の腕を引っ張って物槨令は家に向かった。
しおりを挟む

処理中です...