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1章 はじめまして
あなたは誰?
しおりを挟むタタタタタタ…
風が少女の横をものすごい速さで横切る。
少女は剣を片手に構えながら足音がする方向へ走っていた。
「いたぞ! ただちに拘束して、抵抗するなら殺せー!」
前方から、複数の兵士を引き連れた指示役と見られる大柄の兵士が叫んだ。
「そこの侵入者、止まれ!止まれー!」
後ろの兵士の一人がこちらに向かって叫ぶ。
だが、少女は止まらない。それどころか、どんどん兵士たちのいる場所に向かって速度を上げていきながら剣を力強く握りしめた。
「ーーッ! 止まれ!き、きこえないのか!とまっ!」
指示役の兵士が、近づいてきた少女に叫び、剣を振りかざすが、少女は素早くその兵士の懐に入り込んだ。
それは一瞬の出来事だった。
シュッ! 剣が空気を切るように音を鳴らす。
ブッシャアアア!ゴトン… ドサ!
「た、隊長ー!」
「うわあああ!」
「ゔっ おぇぇ」
「い、今すぐ殺せ!殺せー!」
少女は懐に入った瞬間、下から指示役の兵士の首を跳ね飛ばしたのだ。
瞬時に死体となった胴体は首の切り口から血が吹き出し、少女の顔や髪、全身にかかった。
その動きの速さと、少女の不気味さに兵士たちは恐怖に襲われた。
だが少女はすぐさま、混乱して動けなくなった兵士たち、気が動転して襲いかかってきた兵士を無惨に次々と剣を振って殺していった。
やがて、先程の騒がしさから静けさに変わり、彼女の足元には複数の死体と血の海が出来上がっていた。
しばらくすると、少女は、ドシャッ!っと血溜まりの中に倒れ込む。
「うっ!はぁはぁ…ヒューヒュー…」
少女は過呼吸になっていた。
少女に負けたとはいえ、日頃から鍛えられている大人たちを相手にしたため、本人には感じずとも、小柄な少女の体は正直に限界を迎えたようだ。
「うっうっ」と少女はあまりの全身の痛さにうずくまる。
しかし、少女はふらつきながらも必死に立ち上がるが、ビチャ!と力が抜けまた血溜まりの中に倒れ込んでしまう。
少女の目の前の視界がだんだんとぼやけてくる。
意識が飛びそうなのだ。
すると、「はじめまして。お嬢さん。 こんなところで寝たら危ないよ?」と黒いマントの男の声とは違う、若い男らしき声が背後から聞こえてきた。
突然の声に、危険を察知し、剣を構えようとするが、体が思うように動かない。
薄れる意識の中、「可哀想に…。動けないんだね。」と冷たい床から暖かいなにかに包まれたかと思うと、ふわっと体が浮く感じがした。
少女は、僅かな意識で目をうっすらと少し開けながら口を動かす。
「だ…れ…?」
視界がぼやけて見えない。
「んー? 僕は… 僕のことはまた後でね。今は安心しておやすみ。」
暖かい手が、優しく少女の両目を覆う。
その瞬間、少女の意識は途切れた。
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