宇宙創造神のペットは規格外と評判です(改訂版)

浦おりと

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第2章

第20話 微かな災厄の兆し

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「ここが首都フォルトザか、やっぱりそれなりに大きい街みたいだな」

 奏多は首都フォルトザを囲むように、優に10m近く高さはあろうかと思える塀を見上げて呟いていた。
 桜はそれに同意を示しながら、一緒に順番を待つ真琴を気遣っていた。

「あの大門を抜けるまでもうしばらく掛かりそうです、
 真琴様お疲れではありませんか?」

『平気だよ桜、ありがとね。でもこの塀の高さって普通なのかな? 
 それに並んでいる人達の様子が変じゃない? (ウッキュー)
 ほら、マシュマロもそうだって』

 すっかり真琴の肩が定位置になったウカルガンのマシュマロまで、そうだよと言うようにタイミングよく鳴き声を上げていた。
 それを聞いていた奏多が周りを見れば、真琴が言っていることも、あながち外れていないような雰囲気が漂っていた。
 自分たちより後方に並んでいる者たちは、皆かなり憔悴し焦っている様子も見受けられ、混雑に拍車がかかっているようだった。

「本当だな、どうしたんだろうな、何かあるのか聞いてみるか」

 奏多は自分たちと同じように、並んでいる馬車の一台に座っている御者にに声を掛けてみた。

「すみません、街に入る行列はいつもこんなに混雑しているのですか」

「ああ、違うぞ、今回が特別だ。2,3日前からヴァーロスとの国境近くで、
 見たこともない化け物が現れたって噂が流れてな、噂を聞きつけた近村の村人達が、
 一斉に逃げ出して来たからだろうな」

「化け物ですか? ハルフルでそんな噂は聞かなかったな」

「お前さんたちハルフルから来たのか、だったら噂を聞かないのも無理ないな、
 化け物が出た場所はハルフルとは反対側のサイハル村だそうだ」

 奏多は御者の男にお礼を言いながら、今聞いた話を二人に話して聞かせた。



「化け物ですか、なんだかとても物騒ですね、
 この星はそんなモノとは無縁だと思っていましたが…… 」

『ホントだね、ここは原種族の星で種族の棲み分けしてて、
 ヤバかった破壊神?だっけか、あれだって魔族の星で掃除したのにね』

「まぁ、大丈夫だとは思うが、一応気を付けて行動しようぜ」

 3人三様であれこれ話をしているうちに、首都フォルトザに無事に到着した。

『思ったより賑わってるね。でも兵隊が多くない?
 気のせいだと思いたいけど、さっきの化け物騒動かな』

 フォルトザの街の賑やかさを感心していた真琴達は、物々しい出で立ちで、今自分たちが入ってきた門から、一糸乱れぬ隊列を組んだ兵士達と、冒険者じゃないかと思われる風体の者たちが数十人、兵士の後を付いて行くように出ていく所に出くわした。

「あれってやっぱり、さっき聞いた化け物を退治しに行くんだろうか」

「そのようですね」(ウキュキュー)

『今回の件はアム神に何も言われていないから、きっとこの国で解決できることなんだよ。
 そんなこと気にしても始まらないよ、早く街の観光行にレッツゴー』

 相変わらず暢気な真琴は、今見た兵士たちや冒険者のことなど、すっかり頭から抜けたように桜に声を掛け、ウキュキュと話しているマシュマロを肩に乗せながら、街の探検に突入して行った。

「おい、そんなに急がなくても街は逃げないぞ真琴、
 お? あれは遺跡のミニチュアではないか! 真琴急げーーー!! 」

『およよ、奏多のマニアック病が始まりました。
 適当な所で奏多は放置しようか』

「真琴様、何やら甘い匂いがいたしませんか、あのお店のようです」

 真琴と桜は、果物を焼いたその上に、蜂蜜をたっぷりかけたお菓子の店に入り込み、まるで女子会のようにキャッキャ言いながら、期待していなかったお菓子に舌鼓を打っていた。

『マシュマロ、ほらあ~ん(ウキュウーモグモグ)美味しいね。
 桜、この果物美味しいね、日本じゃみない果物だよね』

「そうですね、イチゴやブドウの酸味に似ている気もしますが、
 糖度はずっと高いですね、バナナとリンゴの甘さに酸味をプラスした味でしょうか」

『ああ、言われてみればそんな感じかもね。奏多も一緒にたべ…… ? 』

 ド、ガゴン!!!!!ゴオーーーグラグラグラ

「『?????』」(キュッ!)

 大きな振動と音にビックリして、食べるのを中断してしまった真琴たちの所に、大慌てで奏多が飛び込んできた。

「真琴、大変だ! 塀の外側に大きな噴煙が舞い上がっているぞ。
 さっきの兵士たちが向かった方角だと思うが…… 」

 ガゴン!!!!!ゴオーーー
 ドゴン!ダダダンド~~~~ングラグラグラ

 奏多が話し終わらない内に、第二波とでも言うような爆音と振動が再び響き渡り、辺りは騒然とした雰囲気に飲み込まれて行くのであった。


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