宇宙創造神のペットは規格外と評判です(改訂版)

浦おりと

文字の大きさ
23 / 23
第2章

第22話 神が出来ることはオレも出来るゾ

しおりを挟む
 
『奏多、桜、お待たせー 色々分かったよ』

 真琴は二人にゼノバゼロス神との話の内容を伝え、今この星で起っている予定外の災いの元凶や、アム神が閉じ込められている現状を簡単に説明していた。

「俺たちがちょっと移動してる間に、そんなことになっていたのかよ」

「本当ですね。ハルフルでアム神様と別れてからまだ数日ですからね」

 真琴の話を聞いた二人は驚愕しつつ、今後のことを思案し始めるが目の前の惨状が脳裏に焼き付き、まともな解決策を思いつけないでいた。

 そんな二人と対照的なのは真琴とマシュマロの珍獣コンビ、いつもと変わらない暢気で楽しげな雰囲気を醸し出し、奏多に顰蹙ひんしゅくされ桜にまで困惑される始末だ。

「真琴、何暢気にしてんだよ! 目の前のこの状況どうするんだ?
 それに忘れているようだから言うが、今も上空に何かいるんだぜ? 」

 奏多は今も見上げた上空に不気味な咆哮を上げ、真琴が張ったシールドを、今にも壊しそうな勢いでぶつかってくる相手を見つめながら、真琴に緊張感を持てと諭していた。

『んー 大丈夫だよ、俺のシールドは誰にも破られないから』

「たとえそうだとしても、目の前に死人や怪我人がゴロゴロいるんだぜ」

『ああー 忘れてた。ゼノバゼロス様から自由にしていいって言われたんだった』

 真琴はそんな言葉を何気なく呟くと再びバニボー姿に戻り、同時に再び巨大な魔法陣を展開し始めた。

 その魔法陣からあふれ出した光は、マシュマロを癒した回復魔法と遜色なく、慈愛の光を街全体に降り注ぎ始めていた。

 その光景を見た者たちは、天空から天使が舞い降りてくるような錯覚と幸福感を味わい、いまだ上空にいるキメラに怯える心まで、優しく包み込んでいるようだった。

 傷ついて倒れ痛みに呻いていた人も、致命傷とも言える傷を負った者まで、さっきまでの悪夢の光景がまるで嘘のように消えていた。

『とりあえず死んでいない人たちは元通りかな、次は身体の損傷が致命的な人や
 死亡していると思われる人達だね。奏多、桜、後は広範囲で回復出来ないから、
 一人一人治して行くから手伝って~』

「分かった、しかし凄いな今の魔法は、真琴が神々しく見えたぜ」

『んー 何言ってんのさ、奏多だって出来るだろ? 』

「既存の魔法は一応全て使えるが、それは持っている魔力量の範囲内って制限が付いているからな。お前ほどの力は無いから、街ごと回復なんて出来ないし、死んだ人間を生き返らせるなんて無理だ」

「本当に真琴様は凄いです! 今まで恐慌状態にいた街の人間が皆気力を取り戻しました」

 奏多と桜は普段の真琴とは段違いな采配に感動しながら、街の人間に協力してもらい、広場に遺体を安置していく。

 奇跡のように降り注ぐ光が消え去った後に、その祈りにも似た光すら届くことが出来ず、儚く散ってしまった命を前にして悲しみが広場を流れようとしたその時、再び奇跡が始まろうとしていた。

「真琴、準備が出来たぞ。ちょっとかなりグロい遺体もあるがイケそうか? 」

『大丈夫、ゼノバゼロス様が出来ることはオレも出来るのだ! 』

 一見ふざけた物言いだがその言葉には確かな自信が感じられ、真琴の話を聞いていた街の人間は、祈るような気持ちで真琴を見つめているのだが、バニボー姿の珍獣へ向ける視線としてはなかりシュールだった。

 もっとも真琴のバニボー姿を見ているのは奏多と桜だけで、街の人達にはアム神から貰った魔道具の効果で、真琴の姿は人間に見えていたのは言うまでもない。

 そして始まった人体修復蘇生魔法は御大層な言葉の響きはあるが、行使している真琴は実にあっさりと流れ作業のように、魔法をかけて回っていた。

 それでもその姿はやはり何処か神々しく、日本からバニボー姿で転生した真琴を見慣れ始めた奏多でさえ、その姿を眩しく感じていた。

 桜はと言えば大好きなアイドルでも見ている風で、魔法を使う真琴を熱心に見つめていた。

 そんな周りからの熱い期待を一身に背負った真琴が、最後の一人の蘇生を終わらせた時に、辺りを轟かせるような歓声が沸き上がる。

「真琴様! お疲れさまでした。冷たいお飲み物をどうぞ」

『ありがとー 桜は気が利くね。奏多も見習うように、にゃはは』

「はいはいうっせーよ、そして何度も言うけどはどうするんだよ」

 奏多は先程まで真琴の姿を眩しく見つめていた照れ隠しから、ぶっきらぼうな物言いをしながらも、いまだ上空に居座る惨劇の元凶を指さしていた。

『それが上のキメラなんだけどね、アレ以外に2匹いるらしいんだよ。
 ちょいと広域探索魔法ワイドエリアサーチで探索してみてよ』

 奏多はギョッとしながらも広域探索魔法ワイドエリアサーチで探索し、真琴の言葉が真実だと知ると同時に、真琴が食の改善をしているハルフルへ向かっていることに気が付く。

「真琴!! ヤバいぞ! ハルフルへ一匹向かってるぞ」

『!!! オレの鉱山豚がっああああああ~~~』

 シューシューン

 奏多の報告を受けた途端に、真琴は奏多と桜をおいてけぼりにして、肩に乗りっぱなしだった唯一のお供、ウカルガンのマシュマロと共にハルフルへ時空間移動で消えていた。

「行きやがった」
「行きましたね」

 残された二人は、あきらめ半分で真琴の帰りをここで待つことにした。

 真琴の飽くなき食への執着は誰にも邪魔出来ないと、二人は十分認識してはいたが、上空を黒いもやから這い出してきたキメラが視界に入るにつけ、コイツはどうするんだと溜息しか出てこない奏多と桜だった。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

マルン
2018.08.30 マルン

すっかり怠け者になった真琴くんも可愛い💕
バニボー姿がチャーミング、奏多さんは気苦労が多いお父さんポジで桜がおっとりお母さんですか?このメンバーにヒロインは登場するのか!気になります!

2018.08.30 浦おりと

なんと!バニボーがチャーミング?フフフッ、マニアックですね。しかしながら、怠け者のお話を読んで頂けて感激です、ありがとうございます。ヒロインはどうでしょうか、作中キャラが勝手に動いたり怠けたりとまだまだ安定していませんので、今後どうなるか作者も楽しみなんです。希望は可愛いヒロイン欲しいものですね。

解除

あなたにおすすめの小説

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。