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そのじゅう
【?報】ラス、みかんで妄想を滾らせる
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「美味しい。…酸っぱい。…美味しい」
リシェはもくもくとみかんを口にしながら感想を述べていた。寮内の売店で新たにみかんが売られていて、気になって買ってきたのだ。
五つ入り、スーパーで買うより安い金額でフルーツが食べられるならいいかなという理由で。
「ただいまー!先輩、いい子にしてましたか?」
そこへラスが外出から戻って来た。
まるで親のようないい方に半ばムッとしたが、リシェは「みかんを食っていたのだ」とラスに一つ差し出した。いい具合の色合いのみかんを受け取る。
大切そうにそれを両手で包むと、異常な程感動するラス。
「先輩が俺にみかんを…どうしよう、ガラスケースに入れて保存しようかなぁ!」
余程嬉しいのだろう。
彼はみかんに頬擦りをしながら恍惚感に溢れた顔をした。無表情のリシェはそんな彼に変な奴だと呟く。
「腐るだろうが。さっさと食え」
そして再びみかんの一片を口にした。
「んんん」
甘酸っぱさに表情を緩ませた。
「酸っぱい…美味しい…」
「頂きまーす」
ラスもさっそくみかんの皮を剥いた。
「あ、そうだ!ねえ先輩」
「んん?」
口の中全体にみかんの味が広がり、顔をやや緩ませていたリシェはラスに注目した。
「あのー、これ先輩から食べさせて欲しいなあって」
もぐもぐと咀嚼、ごくんと飲んだ後。
「何甘ったれた事を言ってるんだ?」
リシェは稀に口から火の玉ストレートな毒を発動させてくる。その冷静かつキツすぎるツッコミは、頑丈なラスの心を抉ってきた。
「べ、別に口移しじゃなくてもいいから!好きな相手からされたいの!あーんって口開けたら放り込んで欲しいんですっ!!」
「介護か?」
「恋人とのコミュニケーションですよ!!」
面倒臭…とリシェは嫌そうな顔をした。
しかしラスはめげない。手元の剥いたみかんをリシェに手渡すと、ずいっと彼の前に近付く。
大人びた顔を向けながら、ラスは「さあっ」とリシェと対峙する。
「本当は口移しがいいなあって思うんですっ。一緒に同じフルーツを齧ってぇ、最終的にはキスとかしちゃったり…舌とか絡めて大胆になってみたりとかぁ…ああっ、何て恥ずかしい!!俺は別にいいんだけど、先輩はまだ早いかなあ…」
「………」
妄想してうねうねしているラスを前に、餌付けしようと受け取ったみかんを手にしていたリシェは完全に引いていた。
日を追うごとにおかしくなっていくな、こいつ。
ドン引きした顔のままでリシェは思った。
「ももも勿論っ、先輩がどうしてもって言うなら俺はいつでも用意が出来ますから…!!あっ、ちゃんと道具とか準備しておかなきゃ…ほら、でないと先輩が辛いかもしれないし…!俺も責任を取らないといけなくなっちゃうから…ああっ、そしたらしっかりご両親にご挨拶しないと!す、スーツとか買わなきゃいけなくなるかな!?髪もチャラチャラしたのはダメだろうし…そうだっ!!こっ、子供の名前はどうしよう!?大切な二人の子供だから名前を二人から取りたいなあ…ああ、悩む!!きっと先輩の子供はかなりの美形だと思うんですよ!!女の子だったらお嫁さんに貰われてしまったら俺泣いちゃうかもしれない、いや泣く!!どうします、先輩!?」
勝手な妄想で悶え狂っているラスがリシェに顔を向けた瞬間、彼の口の中にみかんが丸ごと突っ込まれた。
んぐう!!と声を詰まらせるラス。
リシェは無表情のままで「良かったな」と言った。
「俺からみかんを与えられてさぞかし嬉しいだろう」
「んー!!ふー!!へ、へんはぃ!!」
苦しさに呻くラスは、口を押さえられながらもがいた。
「俺はお前と結婚する気も無ければ親に挨拶に行く気もないし、子供はどう考えても無理だから安心しろ」
うー!!うー!!とラスは唸る。
押し付けていた手をラスから離し、リシェは再びみかんを食べ始める。その一方でラスは苦しさにぱたりと床に倒れた。
どうにか余分のみかんを掻き出し、ごくりと飲み込んだ後ではあはあと呼吸を整える。
「せ、先輩…」
「ん」
「先輩と俺の子供の名前、それぞれの頭の文字使ってリラちゃんとかどうですか」
まだ言っている。
リシェはもくもくとみかんを食べながら「却下」とラスから完全にそっぽを向いてしまった。
リシェはもくもくとみかんを口にしながら感想を述べていた。寮内の売店で新たにみかんが売られていて、気になって買ってきたのだ。
五つ入り、スーパーで買うより安い金額でフルーツが食べられるならいいかなという理由で。
「ただいまー!先輩、いい子にしてましたか?」
そこへラスが外出から戻って来た。
まるで親のようないい方に半ばムッとしたが、リシェは「みかんを食っていたのだ」とラスに一つ差し出した。いい具合の色合いのみかんを受け取る。
大切そうにそれを両手で包むと、異常な程感動するラス。
「先輩が俺にみかんを…どうしよう、ガラスケースに入れて保存しようかなぁ!」
余程嬉しいのだろう。
彼はみかんに頬擦りをしながら恍惚感に溢れた顔をした。無表情のリシェはそんな彼に変な奴だと呟く。
「腐るだろうが。さっさと食え」
そして再びみかんの一片を口にした。
「んんん」
甘酸っぱさに表情を緩ませた。
「酸っぱい…美味しい…」
「頂きまーす」
ラスもさっそくみかんの皮を剥いた。
「あ、そうだ!ねえ先輩」
「んん?」
口の中全体にみかんの味が広がり、顔をやや緩ませていたリシェはラスに注目した。
「あのー、これ先輩から食べさせて欲しいなあって」
もぐもぐと咀嚼、ごくんと飲んだ後。
「何甘ったれた事を言ってるんだ?」
リシェは稀に口から火の玉ストレートな毒を発動させてくる。その冷静かつキツすぎるツッコミは、頑丈なラスの心を抉ってきた。
「べ、別に口移しじゃなくてもいいから!好きな相手からされたいの!あーんって口開けたら放り込んで欲しいんですっ!!」
「介護か?」
「恋人とのコミュニケーションですよ!!」
面倒臭…とリシェは嫌そうな顔をした。
しかしラスはめげない。手元の剥いたみかんをリシェに手渡すと、ずいっと彼の前に近付く。
大人びた顔を向けながら、ラスは「さあっ」とリシェと対峙する。
「本当は口移しがいいなあって思うんですっ。一緒に同じフルーツを齧ってぇ、最終的にはキスとかしちゃったり…舌とか絡めて大胆になってみたりとかぁ…ああっ、何て恥ずかしい!!俺は別にいいんだけど、先輩はまだ早いかなあ…」
「………」
妄想してうねうねしているラスを前に、餌付けしようと受け取ったみかんを手にしていたリシェは完全に引いていた。
日を追うごとにおかしくなっていくな、こいつ。
ドン引きした顔のままでリシェは思った。
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勝手な妄想で悶え狂っているラスがリシェに顔を向けた瞬間、彼の口の中にみかんが丸ごと突っ込まれた。
んぐう!!と声を詰まらせるラス。
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