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そのななじゅういち
強敵と書いても「友」とは呼べない
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昨日の魔改造水鉄砲を命中させた爽快感を忘れられないのか、翌日になってもリシェは思い出しては嬉しそうにラスに「俺、スナイパーになろうかな」と言いだす始末。
まぐれだったのかもしれないのに。
それでも嬉しそうに言い出してくる彼が可愛くて、そして普段は饒舌に話さないのに自分から話してくれるのでつい嬉しくなってしまう。
彼の頭を優しく撫でながら「良かったですねえ」とデレデレしてしまう。心の中で先輩は可愛いなぁと思いながら。
寮から出て校舎内に入り、上履きを履き替えて自分達の教室へと向かう際、ちょうど二人は保健室に向かう白衣姿のロシュを見かけた。ラスは咄嗟にリシェを守ろうと自分の影に隠そうとする。
警戒しているラスを、ロシュは目ざとく見つけると「おや」と声をかけてきた。
「やあ、ラス君。今日も騎士様気取りで元気そうですね」
嫌味を言いながらにっこりと美しく微笑んでくる。しかし彼の額は怪我を隠すように包帯で巻かれていた。
リシェはきょとんとして彼を見上げる。
「どうしたんですか、それ?」
自分でやった自覚が無いリシェ。ラスは思わず先輩がやったんですよと言いそうになったが、どうにかぐっと堪えた。
「いえ、ちょっと怪我をしましてね。ふふふ、今日も可愛いですねリシェ」
ラスにとっては彼のリシェに対する目線がいやらしく感じてしまい、何が何でも毒牙にかけさせまいと警戒してしまう。
まさか昨日自分が水鉄砲でロシュを狙撃していたのだと思ってもないのだろう。全く知らないリシェは「大丈夫ですか?」と首を傾げた。
そんな奴心配しなくてもいいんですよと言いたいのを堪えながら、ラスはリシェに対して「遅刻しちゃいますよ」と促す。
「ええ、大丈夫ですよ、ありがとうございます。リシェは優しい子ですねえ。どこかの誰かさんとは大違いだ」
何か言わないと気が済まないのか。
ラスはムッとしながら自分より背の高いロシュを見上げると、悪かったなと毒づいた。
その怪我はあんたの最愛のリシェがやったんだと正直に言いたかったのだが、きっとそれを知ったらリシェはショックを受けてしまうだろう。さすがにそれはリシェの為にも言いたくなかった。
「この所気温の変わり具合が激しいですからね。途中で具合が悪くなったらいつでも保健室に来るんですよ。優しく看護して差し上げますから」
爽やかな微笑みを浮かべ、ロシュは言った。
その優しくの意味合いを疑ってしまうラスは、「余計具合が悪くなる気がするからいいです」と拒否した。
「あなたに言ったつもりはないんですけどねえ」
「あんたの言う言葉は全部裏がありそうで怖いんだ」
お互い睨み合いのような状況になっているのを、リシェはきょとんとしながら見上げている。お前ら何してるんだ?と言わんばかりに。
元の世界の記憶を持つ二人は、リシェの全く知らない間でお互いに火花を散らし合っている状況。
「俺、もう先に行くからな」
このような裏の状況が分からないリシェは、二人に対して一言声をかけると自分だけさっさと教室に向かってしまう。
それに全く気付かない二人。
「おやおや、向こうではなかなかリシェの側に付けなかったからこちらではこれみよがしにべったりですか?まるで飼い主のご機嫌を伺う犬のようだ」
ぽんぽんと口を突いて出てくる嫌味は、到底『慈悲深く優しいロシュ様』の言葉とは思えない。眉を軽く寄せ、嘲笑するような顔でラスをからかった。
ラスもムッとしながら「はぁ」とその挑発に乗った。
「あっちではべったりだったのに、こっちでは出来そうもないですからね。残念でしたね、『ロシュ様?』…ここで迂闊に先輩に手を付けられない立場になって。その分俺が大切にしてあげますからどうぞご心配なく」
本来ならばこのような言葉は決して言えない。
だが元の世界のしがらみが無いこの世界ではお互い平等なのだ。ちょっとロシュには不利な世界だが。
ロシュはラスの言葉にふふっと意地悪く微笑む。
「本当、嫌なガキですねえ」
「そうさせたのはあんたでしょ、変態」
一人そこから離脱したのを全く気が付かないロシュとラスは、お互いに譲らない状態で睨み合いをしていた。
まぐれだったのかもしれないのに。
それでも嬉しそうに言い出してくる彼が可愛くて、そして普段は饒舌に話さないのに自分から話してくれるのでつい嬉しくなってしまう。
彼の頭を優しく撫でながら「良かったですねえ」とデレデレしてしまう。心の中で先輩は可愛いなぁと思いながら。
寮から出て校舎内に入り、上履きを履き替えて自分達の教室へと向かう際、ちょうど二人は保健室に向かう白衣姿のロシュを見かけた。ラスは咄嗟にリシェを守ろうと自分の影に隠そうとする。
警戒しているラスを、ロシュは目ざとく見つけると「おや」と声をかけてきた。
「やあ、ラス君。今日も騎士様気取りで元気そうですね」
嫌味を言いながらにっこりと美しく微笑んでくる。しかし彼の額は怪我を隠すように包帯で巻かれていた。
リシェはきょとんとして彼を見上げる。
「どうしたんですか、それ?」
自分でやった自覚が無いリシェ。ラスは思わず先輩がやったんですよと言いそうになったが、どうにかぐっと堪えた。
「いえ、ちょっと怪我をしましてね。ふふふ、今日も可愛いですねリシェ」
ラスにとっては彼のリシェに対する目線がいやらしく感じてしまい、何が何でも毒牙にかけさせまいと警戒してしまう。
まさか昨日自分が水鉄砲でロシュを狙撃していたのだと思ってもないのだろう。全く知らないリシェは「大丈夫ですか?」と首を傾げた。
そんな奴心配しなくてもいいんですよと言いたいのを堪えながら、ラスはリシェに対して「遅刻しちゃいますよ」と促す。
「ええ、大丈夫ですよ、ありがとうございます。リシェは優しい子ですねえ。どこかの誰かさんとは大違いだ」
何か言わないと気が済まないのか。
ラスはムッとしながら自分より背の高いロシュを見上げると、悪かったなと毒づいた。
その怪我はあんたの最愛のリシェがやったんだと正直に言いたかったのだが、きっとそれを知ったらリシェはショックを受けてしまうだろう。さすがにそれはリシェの為にも言いたくなかった。
「この所気温の変わり具合が激しいですからね。途中で具合が悪くなったらいつでも保健室に来るんですよ。優しく看護して差し上げますから」
爽やかな微笑みを浮かべ、ロシュは言った。
その優しくの意味合いを疑ってしまうラスは、「余計具合が悪くなる気がするからいいです」と拒否した。
「あなたに言ったつもりはないんですけどねえ」
「あんたの言う言葉は全部裏がありそうで怖いんだ」
お互い睨み合いのような状況になっているのを、リシェはきょとんとしながら見上げている。お前ら何してるんだ?と言わんばかりに。
元の世界の記憶を持つ二人は、リシェの全く知らない間でお互いに火花を散らし合っている状況。
「俺、もう先に行くからな」
このような裏の状況が分からないリシェは、二人に対して一言声をかけると自分だけさっさと教室に向かってしまう。
それに全く気付かない二人。
「おやおや、向こうではなかなかリシェの側に付けなかったからこちらではこれみよがしにべったりですか?まるで飼い主のご機嫌を伺う犬のようだ」
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