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そのさんじゅうよん
いやらしい
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放課後。
スティレンはリシェを引っ張るように校舎を出る。
さっさと連れ出さないとあのやかましいラスがリシェを独り占めしようと教室に押し掛けてくるので、さっさと引っ張り出してきたのだ。
「ああ、何だよお前は。いちいち引っ張らなくても」
「やかましいよ。リシェのくせに口答えしないでくれる」
リシェのくせに、とは。
「どこに行く気だ?」
「別にどこにも行く予定は無いけど、こうしなきゃお前はラスに持っていかれちゃうからね!」
完全に物扱いをされている気がして、リシェはムカッとする。引っ張ってくる彼の手をばしっと払いのけると「特に用は無いんだろ!」と怒鳴った。
「ああ、特に無いよ。無いけどお前は俺の所に居ればいいの!それが一番いいんだよ!どうせ放り出すとあちこちフラフラするだろ!?」
「人を夢遊病みたく言うな!!」
校門の近くで人目を気にせず言い争いをする美少年二人組の様子は、人によっては微笑ましく見えるだろうが異質なものにも見えてくる。
側に居ろ、何でだという話しか聞こえてこない事から、側から見ればまるで恋人同士の痴話喧嘩のようだった。
しばらくその状態を繰り返していると、校門付近にスーッと真っ白なリムジンが滑り込んでくる。
当然のように生徒達はそちらに視線を奪われた。
ん?とスティレンはそれに気付くと、うげっと似合わぬ声を上げる。リシェも彼の異変に気付いた。
リムジンの後部座席の窓が開かれると、同時に軽やかな悪魔の声がする。
「スティレーン!また来たよー♪」
シャンクレイス学院の生徒会長。
リシェは硬直するスティレンをよそに、口をあんぐりと開けて彼を見ていた。
「あいつまた何しに来たんだよっ…!」
彼は苛立つ様子で小さく呟く。
「また、なのか?」
「今朝も来たんだよ、鬱陶しい!」
「お前に会いに来た風だけど」
「俺は別に会いたくないんだけど!!」
こっちに怒鳴られても、とリシェは困った。
全く歓迎されていないのを知らない生徒会長サキトは、早くこっちに来てよと手招きする。しかし行きたくない様子のスティレンは、リシェの小さな背中を後ろで小突き「お前が行けよ」と言った。
「な、何で俺が」
「行きたくないんだよ!」
そんな事を言われても、とリシェは困った。
「何でそんなに毛嫌いするんだ。別にどうって事無いだろ」
リシェの疑問に、スティレンは答えなかった。
特にあの生徒会長と仲が良かった訳ではない。単に向こうが一方的にスティレンに対し好意を寄せているだけだ。
自分には全く関係無い。
「お前には分からないよ、あいつの極悪非道っぷりが…ああ、おぞましい。何なんだよ、何で俺な訳?あの悪魔め」
嫌がる素振りをむき出すスティレンとは違い、満面の笑みの小悪魔サキトは愛らしい顔で「早く早くう」と急かした。
仕方無くリシェが近付くと、リムジンの後部座席側で身を乗り出すサキトは頰を膨らませた。
「もう。君じゃないってば」
「それは知ってるよ。でもあいつが行きたがらないんだ」
「仕方無い子だねぇ。ま、無理も無いかぁ」
「何をしたんだ、あいつに?」
ふふっ、と彼はニコニコと笑う。
「知りたい?スティレンったらなぁんにも言わないんだから。僕、あの子のお初をうっかり頂いちゃったんだよねぇ。可愛くて可愛くてさぁ…」
「お初?」
意味深な言葉過ぎて、あまりリシェにはピンと来ないらしい。
意味が通じないのを察し、サキトは妖艶に舌をぺろりと出して「うちのリムジンの後部座席はねぇ、防音なのさ」と微笑む。
「はあ」
「だからね、たあっぷり可愛がってあげたの。そしたら照れちゃって近付いてこなくなったのさ」
「………?」
やはりピンと来ないらしい。
「はあ」
「これだけ説明してもポカーンとするなんて。君、何の話をしてるか分かってる?」
サキトは不思議がった。回りくどい言い方がどうにもリシェには苦手のようで、さあ…と首を傾げる。
話が通じず、彼は溜息をついた。
「もう、スティレンはまだ来ないの?スティレーン!!ねえ、僕と一緒にまたいやらしい事しようよぉ!!ねえっ、いやらしい事ぉ!!」
全力で大声を放つ小悪魔に、下校途中の生徒らはギョッとしてこちらを見た。ぶつかってくる視線の槍。
リシェはかくりと全身の力を失う。
なるほど、そういう事か。そこでようやく意味を理解したリシェは離れた場所で警戒している従兄弟に振り返って叫んだ。
「スティレン!何いやらしい事をしているんだ!!」
スティレンは顔を真っ赤にしながら「…っはぁああっ!?」と怒鳴る。
「いやらしい事をするな!!お前はまだ学生の分際でいやらしい事をするのか、この変態!!全く、いやらしい!!」
やたらいやらしいを連呼するリシェ。
「馬鹿なの!?一切してないし!!てか、されたのなんかキスくらいだよ!何吹き込んでるのさ!」
反論する彼に、サキトはんふふと微笑む。
馬鹿だなあと一言。
「いやらしい事はね、これからするのさ」
彼は紅潮した顔でそう予告した。
スティレンはリシェを引っ張るように校舎を出る。
さっさと連れ出さないとあのやかましいラスがリシェを独り占めしようと教室に押し掛けてくるので、さっさと引っ張り出してきたのだ。
「ああ、何だよお前は。いちいち引っ張らなくても」
「やかましいよ。リシェのくせに口答えしないでくれる」
リシェのくせに、とは。
「どこに行く気だ?」
「別にどこにも行く予定は無いけど、こうしなきゃお前はラスに持っていかれちゃうからね!」
完全に物扱いをされている気がして、リシェはムカッとする。引っ張ってくる彼の手をばしっと払いのけると「特に用は無いんだろ!」と怒鳴った。
「ああ、特に無いよ。無いけどお前は俺の所に居ればいいの!それが一番いいんだよ!どうせ放り出すとあちこちフラフラするだろ!?」
「人を夢遊病みたく言うな!!」
校門の近くで人目を気にせず言い争いをする美少年二人組の様子は、人によっては微笑ましく見えるだろうが異質なものにも見えてくる。
側に居ろ、何でだという話しか聞こえてこない事から、側から見ればまるで恋人同士の痴話喧嘩のようだった。
しばらくその状態を繰り返していると、校門付近にスーッと真っ白なリムジンが滑り込んでくる。
当然のように生徒達はそちらに視線を奪われた。
ん?とスティレンはそれに気付くと、うげっと似合わぬ声を上げる。リシェも彼の異変に気付いた。
リムジンの後部座席の窓が開かれると、同時に軽やかな悪魔の声がする。
「スティレーン!また来たよー♪」
シャンクレイス学院の生徒会長。
リシェは硬直するスティレンをよそに、口をあんぐりと開けて彼を見ていた。
「あいつまた何しに来たんだよっ…!」
彼は苛立つ様子で小さく呟く。
「また、なのか?」
「今朝も来たんだよ、鬱陶しい!」
「お前に会いに来た風だけど」
「俺は別に会いたくないんだけど!!」
こっちに怒鳴られても、とリシェは困った。
全く歓迎されていないのを知らない生徒会長サキトは、早くこっちに来てよと手招きする。しかし行きたくない様子のスティレンは、リシェの小さな背中を後ろで小突き「お前が行けよ」と言った。
「な、何で俺が」
「行きたくないんだよ!」
そんな事を言われても、とリシェは困った。
「何でそんなに毛嫌いするんだ。別にどうって事無いだろ」
リシェの疑問に、スティレンは答えなかった。
特にあの生徒会長と仲が良かった訳ではない。単に向こうが一方的にスティレンに対し好意を寄せているだけだ。
自分には全く関係無い。
「お前には分からないよ、あいつの極悪非道っぷりが…ああ、おぞましい。何なんだよ、何で俺な訳?あの悪魔め」
嫌がる素振りをむき出すスティレンとは違い、満面の笑みの小悪魔サキトは愛らしい顔で「早く早くう」と急かした。
仕方無くリシェが近付くと、リムジンの後部座席側で身を乗り出すサキトは頰を膨らませた。
「もう。君じゃないってば」
「それは知ってるよ。でもあいつが行きたがらないんだ」
「仕方無い子だねぇ。ま、無理も無いかぁ」
「何をしたんだ、あいつに?」
ふふっ、と彼はニコニコと笑う。
「知りたい?スティレンったらなぁんにも言わないんだから。僕、あの子のお初をうっかり頂いちゃったんだよねぇ。可愛くて可愛くてさぁ…」
「お初?」
意味深な言葉過ぎて、あまりリシェにはピンと来ないらしい。
意味が通じないのを察し、サキトは妖艶に舌をぺろりと出して「うちのリムジンの後部座席はねぇ、防音なのさ」と微笑む。
「はあ」
「だからね、たあっぷり可愛がってあげたの。そしたら照れちゃって近付いてこなくなったのさ」
「………?」
やはりピンと来ないらしい。
「はあ」
「これだけ説明してもポカーンとするなんて。君、何の話をしてるか分かってる?」
サキトは不思議がった。回りくどい言い方がどうにもリシェには苦手のようで、さあ…と首を傾げる。
話が通じず、彼は溜息をついた。
「もう、スティレンはまだ来ないの?スティレーン!!ねえ、僕と一緒にまたいやらしい事しようよぉ!!ねえっ、いやらしい事ぉ!!」
全力で大声を放つ小悪魔に、下校途中の生徒らはギョッとしてこちらを見た。ぶつかってくる視線の槍。
リシェはかくりと全身の力を失う。
なるほど、そういう事か。そこでようやく意味を理解したリシェは離れた場所で警戒している従兄弟に振り返って叫んだ。
「スティレン!何いやらしい事をしているんだ!!」
スティレンは顔を真っ赤にしながら「…っはぁああっ!?」と怒鳴る。
「いやらしい事をするな!!お前はまだ学生の分際でいやらしい事をするのか、この変態!!全く、いやらしい!!」
やたらいやらしいを連呼するリシェ。
「馬鹿なの!?一切してないし!!てか、されたのなんかキスくらいだよ!何吹き込んでるのさ!」
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