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そのさんじゅうろく
リシェ*不運スキルMAX【限界突破】
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リシェを探し回ったものの校内で見つけられなかったラスは、うわー!と泣き喚いていた彼をようやく見つけて慌てて駆け寄った。
「先輩っ!」
「痛…ええっ?」
べそべそと泣くリシェを、ラスは優しく抱き締める。
「探しましたよ、先輩」
何故泣いていたのだろうと思いながら、彼は大好きなリシェの頬を自分のハンカチで優しく拭った。
「どうしたんです、こんな場所で大泣きして」
「スティレンに殴られたのだ」
ぐすぐすと泣きながらラスに言う。
「な、殴られた…?んで、今まで延々と泣いてた訳ですか?」
「当てつけがましく泣いておけばいいのかなって思って」
「………」
やはりこちらの世界におけるリシェは何かがおかしいようだ。ようやく泣くのを止め、彼はごしごしと目を擦る。
「スティレンは?」
「シャンクレイス学院の生徒会長に拉致された」
全く状況が掴めない。
ラスは疑問符が頭に沸きまくるのを感じた。
「じ、じゃあ先輩は今はフリーな訳ですよね」
リシェはこくりと頷く。
「よし。先輩、二人っきりで帰りましょう。二人っきりです。放課後、誰にも邪魔をされないように。二人っきりですよ、先輩」
とにかく二人っきりだというのを強調し、ラスはリシェの手を取った。
リシェは真っ赤な顔のまま、「いいのか」とうきうきで歩き始めるラスに問う。ん?と彼は首を傾げた。
「今、俺と一緒に居ると大変な事になるかもしれないぞ」
「何がです?」
やけに猛禽類のような匂いが漂ってくる。
そして謎の鳴き声。
「俺と一緒に居ると、たまに色んなのが寄ってくる」
「先輩はモテるから仕方ないです。だけど先輩は俺のものなんですから平気ですよ」
「いや、違う。何故か分からないが無駄に敵意を持たれてるんだ。俺は別に何をした訳でもないのに」
ラスは不自然な気配を感じ、不意に足元を見た。
数羽のハトがリシェの足を突いている。
「えっ…!?ええっ!?」
そして彼の背後に目を向けると、何故か一列にハトが綺麗に並び、リシェを突く順番待ちをしていた。
ぞわりとラスは背中に寒気を感じる。
周囲の生徒達も薄気味悪く感じたのか、やはりこちらを見て引き気味に下校していく。
「な、何これ!?」
気持ち悪い!とつい口走っていた。リシェは頭を垂れ、「何でだよ」とうなだれる。
「俺は何にもしてないのに。何でこいつらに足を突かれなきゃならないんだ」
ラスはリシェをぐいっと引っ張り、ハトを追い払った。
「近付くなっ!何だお前ら!俺の先輩に!!」
ばさばさと羽音を立て、ハトは飛び去っていく。しかしいくつかはリシェに近付こうとしていた。ラチがあかず、ラスは彼を引っ張って逃げましょう!と走りだす。
あいつら、先輩をエサだと思ってるんですよ!と走りながらリシェに言った。
「ううう、俺はエサじゃない」
「全く、鳥のくせに図々しい!先輩はいずれ俺が頂くんだから触らないで欲しいなあ!」
ハトの集団を振り抜き、ようやく来襲から逃れた所でようやく足を止め呼吸を整える。
寮に戻りましょうかとうなだれるリシェに声をかけた。
「…先輩?」
ラスはリシェの目線に合わせ、彼の顔を覗き混んだ。
ああ、ハトに襲われてショックなんだなと苦笑いをすると、その柔らかい頰に優しく触れる。
「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ、先輩…」
慰めたい。
少しだけ近くても大丈夫だろう。
俯いたままのリシェの顔に近付き、その薄く形の良い唇に触れたその瞬間。
べちょっ
何かが落ちた音が聞こえてきた。
「先輩…?」
同時にリシェはぼろぼろと涙を零す。ラスは彼の頭に視線を移すと、彼の黒髪にべったりと鳥のフンが落ちていた。
「せ、先輩!早く帰ってシャワー浴びないと!!」
リシェはうわーんと再び泣き出す。ここまで恨みを買っているのかと。売った覚えも勿論無い。
「俺が何をしたっていうんだ!!」
彼はラスに引っ張られながら先程よりも激しい泣きっぷりを披露する。
「あーほー」
犯人らしき鳥…カラスは、人を小馬鹿にする鳴き声を放ちながらバサバサと飛び去っていった。
「先輩っ!」
「痛…ええっ?」
べそべそと泣くリシェを、ラスは優しく抱き締める。
「探しましたよ、先輩」
何故泣いていたのだろうと思いながら、彼は大好きなリシェの頬を自分のハンカチで優しく拭った。
「どうしたんです、こんな場所で大泣きして」
「スティレンに殴られたのだ」
ぐすぐすと泣きながらラスに言う。
「な、殴られた…?んで、今まで延々と泣いてた訳ですか?」
「当てつけがましく泣いておけばいいのかなって思って」
「………」
やはりこちらの世界におけるリシェは何かがおかしいようだ。ようやく泣くのを止め、彼はごしごしと目を擦る。
「スティレンは?」
「シャンクレイス学院の生徒会長に拉致された」
全く状況が掴めない。
ラスは疑問符が頭に沸きまくるのを感じた。
「じ、じゃあ先輩は今はフリーな訳ですよね」
リシェはこくりと頷く。
「よし。先輩、二人っきりで帰りましょう。二人っきりです。放課後、誰にも邪魔をされないように。二人っきりですよ、先輩」
とにかく二人っきりだというのを強調し、ラスはリシェの手を取った。
リシェは真っ赤な顔のまま、「いいのか」とうきうきで歩き始めるラスに問う。ん?と彼は首を傾げた。
「今、俺と一緒に居ると大変な事になるかもしれないぞ」
「何がです?」
やけに猛禽類のような匂いが漂ってくる。
そして謎の鳴き声。
「俺と一緒に居ると、たまに色んなのが寄ってくる」
「先輩はモテるから仕方ないです。だけど先輩は俺のものなんですから平気ですよ」
「いや、違う。何故か分からないが無駄に敵意を持たれてるんだ。俺は別に何をした訳でもないのに」
ラスは不自然な気配を感じ、不意に足元を見た。
数羽のハトがリシェの足を突いている。
「えっ…!?ええっ!?」
そして彼の背後に目を向けると、何故か一列にハトが綺麗に並び、リシェを突く順番待ちをしていた。
ぞわりとラスは背中に寒気を感じる。
周囲の生徒達も薄気味悪く感じたのか、やはりこちらを見て引き気味に下校していく。
「な、何これ!?」
気持ち悪い!とつい口走っていた。リシェは頭を垂れ、「何でだよ」とうなだれる。
「俺は何にもしてないのに。何でこいつらに足を突かれなきゃならないんだ」
ラスはリシェをぐいっと引っ張り、ハトを追い払った。
「近付くなっ!何だお前ら!俺の先輩に!!」
ばさばさと羽音を立て、ハトは飛び去っていく。しかしいくつかはリシェに近付こうとしていた。ラチがあかず、ラスは彼を引っ張って逃げましょう!と走りだす。
あいつら、先輩をエサだと思ってるんですよ!と走りながらリシェに言った。
「ううう、俺はエサじゃない」
「全く、鳥のくせに図々しい!先輩はいずれ俺が頂くんだから触らないで欲しいなあ!」
ハトの集団を振り抜き、ようやく来襲から逃れた所でようやく足を止め呼吸を整える。
寮に戻りましょうかとうなだれるリシェに声をかけた。
「…先輩?」
ラスはリシェの目線に合わせ、彼の顔を覗き混んだ。
ああ、ハトに襲われてショックなんだなと苦笑いをすると、その柔らかい頰に優しく触れる。
「怖かったでしょう?もう大丈夫ですよ、先輩…」
慰めたい。
少しだけ近くても大丈夫だろう。
俯いたままのリシェの顔に近付き、その薄く形の良い唇に触れたその瞬間。
べちょっ
何かが落ちた音が聞こえてきた。
「先輩…?」
同時にリシェはぼろぼろと涙を零す。ラスは彼の頭に視線を移すと、彼の黒髪にべったりと鳥のフンが落ちていた。
「せ、先輩!早く帰ってシャワー浴びないと!!」
リシェはうわーんと再び泣き出す。ここまで恨みを買っているのかと。売った覚えも勿論無い。
「俺が何をしたっていうんだ!!」
彼はラスに引っ張られながら先程よりも激しい泣きっぷりを披露する。
「あーほー」
犯人らしき鳥…カラスは、人を小馬鹿にする鳴き声を放ちながらバサバサと飛び去っていった。
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