異世界学園の中の変な仲間たち

へすこ(ひしご)

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そのごじゅうよん

好きだから嘘をつく

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 寮に繋がる道まで走り、ようやくラスはリシェの手を離す。はあはあと呼吸を整え、彼はリシェに大丈夫ですかと聞いた。
 リシェはこくりと頷く。
「なあ」
「………」
「さっきの話、意味が分からないんだけど」
 ラスはびくりと身を震わせる。
 ゆるゆるとリシェの方に顔を向け、言いたくなさそうに首を振った。
「知らなくていいです」
「だって、あの人言ってたじゃないか。向こうの世界とか、俺は知らないのに」
 色々と引っかかるものがあったらしい。
 リシェはしきりにそれを知りたがる風に見えた。逆に知られたくないラスは、彼に対し暗い気持ちになってしまう。
「先輩、知ったらどうするんですか」
「え」
「知ったらあの人の所に行くんですか?」
 返事に詰まるリシェ。
 例えロシュの言う通りだとして、知ったらどうするという訳でもない。向こうではどうであれ、今はろくに相手の事を知らない他人同士のようなものだ。
 リシェはふるふると首を振る。
「何であの人に対して様付けをするのか、知りたかっただけだ」
「聞いたじゃないですか。あなたはあの人に仕えていたって。だからですよ。…先輩、俺嘘ついてた。先輩はあっちでは俺と恋人同士だったって。本当は全然違う」
「………」
「先輩はあの人に一途で、俺なんか眼中に無かった。俺は一方的にあなたに憧れて、好きだったけど諦めなきゃいけなかった。あの人に夢中だったから、俺なんかが入る余地が無かった。だから、こっちでは絶対先輩を自分のものにしたかったんだ」
 正直に話しているのにも関わらず、ラスは胸が苦しくなっていた。
 どうしても彼が欲しくて、嘘を言っていた自分が情けなくて。これでは呆れられてしまうに違いないと覚悟しなければならない。
「嘘ついて騙してた。ごめんなさい」
「………」
 リシェの顔がまともに見れない。
 どう返してくるのか、ラスは怯えながら待っていた。だが彼の言葉は自分が想像していたものとは予想外の言葉だった。
「謝られても、俺記憶も無いし」
「………」
「嘘ついてたって言われたって、そうかとしか…お前が楽になるなら、話は聞くけど」
「………」
「別に気にする必要なんか」
 ラスはリシェに恐る恐る目線を移す。彼は顔を若干気まずそうにしながら、ふいっと顔を逸らしていた。
「あの人より、今はお前を知ってるから」
「……!!」
「お前が嘘ついてたなんて、知らん。別に俺は困らないし、何か変わる訳でもないだろう」
 そう言い終えたリシェは、突然先輩!と抱きついてきたラスに驚いていた。かくりとバランスを崩しながら「何だよ!」と慌てる。
 ラスは不安から解放されて安心したのか、リシェに抱きついたまま頬擦りをしまくっていた。
「先輩…先輩!!嬉しい、嬉しいよう!!」
「なっ、何をすっ…!苦しい、離せ!」
「ありがとう、先輩!じゃあこのまま好きでいてもいいんですよね!?ああ、嬉しい!」
 調子に乗るな!とリシェは両腕でラスを押しのけようとする。
 ラスはリシェの頰に触れ、自分の方に向けさせる。ひっと軽く声を上げたリシェを見つめながら、優しく撫でてやった。
「なっ…み、見るな!そんなに間近で」
「嫌です、見たい」
「俺が、いっ、やっ」
「俺は嫌じゃない。先輩、絶対俺のものになって下さいね」
 リシェは完全に固まり、ラスを見上げながらされるがままになっていた。
 つうっと首筋に指がかかると敏感な反応を見せてくるし、小さく色気のある声を漏らす。
 沢山触りたいが、ラスはそこで我慢する事にした。我慢した方が、後で更に喜びも倍になる。
「先輩」
「?」
「キスしていいですか?」
「だめ!!」
 即答される。
 まあ、分かってはいたけれど。
「だめ?だってこの間してくれたじゃない」
「だめだ!調子に乗るな!」
「ええ…だめ?」
「だめ!!」
 したくてたまらないのに。
 仕方無い。
 ラスは必死に嫌がるリシェの額にかかった前髪を寄せてやると、そこに軽く口付けをしてやった。
 それでもリシェは「ひいいい」と未知への遭遇にあったような悲鳴を上げる。
「次は絶対にべろちゅーしますから」
「は…?」
「舌を絡めながら激しいキスします」
 宣告されたリシェは、瞳を潤ませながらショックを受けた。舌を絡めるなんて、そんなと。
「い、いやだー!!」
 ラスの腕の中で、彼は半泣きで喚いていた。
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