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そのさんじゅうろく
何か憑いている?
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また俺を無視して部屋に帰って来るんだから…と文句を言ってやろうと思っていたラスは、何故か自分より遅く帰寮したリシェの姿に思わず「へぇっ!?」と変な声を上げてしまった。
戻ってきた彼は何というか、ヘロヘロというかボロボロというか、そんな言葉が似合っていた。
「せ…せせせ先輩!?どうしたんですかそれ」
そんな彼は制服はヨレヨレになり、頭はボサボサで日焼けし難い白い頰は擦り傷があった。転んだにしてはあまりにも酷過ぎる様子。
リシェは泣きながら、非常に恨みがましい様子で「くそが」と可愛らしい顔に似合わない呪詛を吐き出す。
「昼休みに奴らに襲撃されてな」
「や…奴ら?」
「昼はまぁいいんだ。いいんだが、問題は放課後だ」
「はぁ…」
舌打ちしながら彼は続けた。余程腹が立ったのだろう。苛々した様子を見せながら、持っていた鞄を床に放り投げ靴を脱ぐ。
「あいつら俺を待っていたかのように学校から出たら襲撃してきやがった。いきなりだぞ、いきなり。話が通じないから余計タチが悪い。いっその事火炎放射器を背負った方が良いような気さえしてくる。奴らを焼き鳥にして食ってやった方が世間の為になるぞ」
「あぁ…」
リシェの話を聞いたラスは、襲撃した相手が誰だったのか分かった。これが見知らぬ他人だったら大事だが、人類では無い事に何故かホッとする。
それにしても彼らは何故リシェを見るなり襲撃して来るのだろう。
「それは災難でしたね先輩…とりあえず制服を脱いだ方がいいですよ。それと怪我をしてるみたいだから…」
彼に対してハトにモテるという言葉は禁句だろう。
リシェは泣きながら制服を脱いだ。
「この年で鳥に苦しめられるとは思わなかった」
ここまで攻撃され続ける人間もなかなか居ない。…というか、ハトが人間に攻撃的になる話など聞いた事もなかった。
ラスは「ううん…」と考え込む。
「先輩」
「あ?」
リシェはまだ涙目のまま、普段着に着替えていた。
「こうなったら見てもらいましょう。何故先輩がハトに攻撃されてしまうのか」
突然意味不明な事を提案される。
一体誰に見て貰うというのか、と。
「何だよ。お前、ハトの専門家に知り合いでも居るのか?そんな事誰も知る訳ないだろ…」
かくりと小さな頭を垂れながら絶望的な面持ちで言った。
「前にクマをお祓いした先生に霊視して貰うんです」
「…ハトを霊扱いするな!!あいつらは生きているんだぞ!!」
ムガー!!と泣きながら怒り狂う。そんな彼を宥め、まぁまぁと落ち着かせた。
「こうなった原因とか霊視して貰えば何か分かるかもしれないじゃないですか…ほら、先輩が前に壺を買わされた時だって業を持って生まれて来たって言われてたでしょ」
「壺じゃない、あれは花瓶だ!!」
過去に謎の老婆に「変な壺を買わされてしまうだろう」と言われたその後に、普通に魔除けの壺を買わされてしまった過去をほじくり返され余計かぁっとなってしまった。
あれからリシェはその買わされた壺を花瓶だと言って強引に通している。
ラスは既に花も飾られておらず、棚に放置されたままの例の壺に目を向けた後一息吐いた。
まんまと口車に乗せられてしまったリシェがとても可愛いと思っているのだが、彼にとっては思い出したくもない過去なのだろう。
「…とりあえず」
「仮に霊視したとしても何も変わらないと思うがな!!」
怒鳴り散らしながら泣くリシェ。こんなに感情が激しいと却って疲れないのだろうかと思うのだが、元の世界の彼を知っているだけに感情を爆発させた方が健康的だろうと敢えて指摘しなかった。
自分の携帯電話を引っ張り出すと、「じゃあ予約を取っておきましょう」とカウンセリングの予約を取り始める。今はメッセージアプリなどの流行で簡単に好きな時間に予約を取る事が出来る。
「…よし、予約取れたっと…ん?あれ?早いな。すぐ返事が来た」
リアルタイムで見ていたのか?とラスは疑問に思いながら返事を確認する。そして、「えぇ…」と困惑気味に呟いた。
「どうした?」
ラスの様子を見たリシェは、不思議そうに問い掛けた。
「いや…何というか。返事が」
そう言って彼は予約画面をリシェの顔の前に見せる。
『誠に申し訳ありませんが、今回のご予約はお受け出来ません。こちらではお客様のご依頼に添えるだけの力が無く、ご期待にお応え出来ない可能性があああああああああ あああ驢ああ胃あああああああ あああかかかか鼯夔かかかかかか 』
その画面を見たリシェは薄気味悪さに顔を歪めた。
「気持ち悪…」
「何だろ…これ…文字化けかなぁ…困ったなぁ…」
最初から拒否されてしまうとなればホラー感が増してしまう。前回もクマを除霊しようとしたら嫌がっていたなと思い出した。
あまり能力が低いタイプの人だったのかもしれない。
「…仕方無いなぁ。俺、他に探してみますよ。先輩はそれまで我慢して下さいね…」
…ハトに攻撃されるだけなのに、こんな薄気味悪い展開になってしまうとは。
そのメッセージの中身に、リシェはやはり自分に何かが憑いているのだろうかと背筋が寒くなってしまった。
戻ってきた彼は何というか、ヘロヘロというかボロボロというか、そんな言葉が似合っていた。
「せ…せせせ先輩!?どうしたんですかそれ」
そんな彼は制服はヨレヨレになり、頭はボサボサで日焼けし難い白い頰は擦り傷があった。転んだにしてはあまりにも酷過ぎる様子。
リシェは泣きながら、非常に恨みがましい様子で「くそが」と可愛らしい顔に似合わない呪詛を吐き出す。
「昼休みに奴らに襲撃されてな」
「や…奴ら?」
「昼はまぁいいんだ。いいんだが、問題は放課後だ」
「はぁ…」
舌打ちしながら彼は続けた。余程腹が立ったのだろう。苛々した様子を見せながら、持っていた鞄を床に放り投げ靴を脱ぐ。
「あいつら俺を待っていたかのように学校から出たら襲撃してきやがった。いきなりだぞ、いきなり。話が通じないから余計タチが悪い。いっその事火炎放射器を背負った方が良いような気さえしてくる。奴らを焼き鳥にして食ってやった方が世間の為になるぞ」
「あぁ…」
リシェの話を聞いたラスは、襲撃した相手が誰だったのか分かった。これが見知らぬ他人だったら大事だが、人類では無い事に何故かホッとする。
それにしても彼らは何故リシェを見るなり襲撃して来るのだろう。
「それは災難でしたね先輩…とりあえず制服を脱いだ方がいいですよ。それと怪我をしてるみたいだから…」
彼に対してハトにモテるという言葉は禁句だろう。
リシェは泣きながら制服を脱いだ。
「この年で鳥に苦しめられるとは思わなかった」
ここまで攻撃され続ける人間もなかなか居ない。…というか、ハトが人間に攻撃的になる話など聞いた事もなかった。
ラスは「ううん…」と考え込む。
「先輩」
「あ?」
リシェはまだ涙目のまま、普段着に着替えていた。
「こうなったら見てもらいましょう。何故先輩がハトに攻撃されてしまうのか」
突然意味不明な事を提案される。
一体誰に見て貰うというのか、と。
「何だよ。お前、ハトの専門家に知り合いでも居るのか?そんな事誰も知る訳ないだろ…」
かくりと小さな頭を垂れながら絶望的な面持ちで言った。
「前にクマをお祓いした先生に霊視して貰うんです」
「…ハトを霊扱いするな!!あいつらは生きているんだぞ!!」
ムガー!!と泣きながら怒り狂う。そんな彼を宥め、まぁまぁと落ち着かせた。
「こうなった原因とか霊視して貰えば何か分かるかもしれないじゃないですか…ほら、先輩が前に壺を買わされた時だって業を持って生まれて来たって言われてたでしょ」
「壺じゃない、あれは花瓶だ!!」
過去に謎の老婆に「変な壺を買わされてしまうだろう」と言われたその後に、普通に魔除けの壺を買わされてしまった過去をほじくり返され余計かぁっとなってしまった。
あれからリシェはその買わされた壺を花瓶だと言って強引に通している。
ラスは既に花も飾られておらず、棚に放置されたままの例の壺に目を向けた後一息吐いた。
まんまと口車に乗せられてしまったリシェがとても可愛いと思っているのだが、彼にとっては思い出したくもない過去なのだろう。
「…とりあえず」
「仮に霊視したとしても何も変わらないと思うがな!!」
怒鳴り散らしながら泣くリシェ。こんなに感情が激しいと却って疲れないのだろうかと思うのだが、元の世界の彼を知っているだけに感情を爆発させた方が健康的だろうと敢えて指摘しなかった。
自分の携帯電話を引っ張り出すと、「じゃあ予約を取っておきましょう」とカウンセリングの予約を取り始める。今はメッセージアプリなどの流行で簡単に好きな時間に予約を取る事が出来る。
「…よし、予約取れたっと…ん?あれ?早いな。すぐ返事が来た」
リアルタイムで見ていたのか?とラスは疑問に思いながら返事を確認する。そして、「えぇ…」と困惑気味に呟いた。
「どうした?」
ラスの様子を見たリシェは、不思議そうに問い掛けた。
「いや…何というか。返事が」
そう言って彼は予約画面をリシェの顔の前に見せる。
『誠に申し訳ありませんが、今回のご予約はお受け出来ません。こちらではお客様のご依頼に添えるだけの力が無く、ご期待にお応え出来ない可能性があああああああああ あああ驢ああ胃あああああああ あああかかかか鼯夔かかかかかか 』
その画面を見たリシェは薄気味悪さに顔を歪めた。
「気持ち悪…」
「何だろ…これ…文字化けかなぁ…困ったなぁ…」
最初から拒否されてしまうとなればホラー感が増してしまう。前回もクマを除霊しようとしたら嫌がっていたなと思い出した。
あまり能力が低いタイプの人だったのかもしれない。
「…仕方無いなぁ。俺、他に探してみますよ。先輩はそれまで我慢して下さいね…」
…ハトに攻撃されるだけなのに、こんな薄気味悪い展開になってしまうとは。
そのメッセージの中身に、リシェはやはり自分に何かが憑いているのだろうかと背筋が寒くなってしまった。
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