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そのななじゅうさん
鼻血
「こんにちはリシェ。今日も一段と美少年ですね」
次の授業の為に教室から移動している最中、リシェは保健医のロシュと偶然かち合ってしまった。リシェの姿を見るなり心底嬉しそうなロシュとは逆に、当の本人は嫌そうに眉を寄せている。
隣のスティレンは完全営業スマイルで「こんにちはぁ」とロシュに挨拶をした。
「こんにちは、スティレン。今日も綺麗ですね」
元の世界での記憶があるロシュは、スティレンに対してどういう言葉を投げ掛けてやればいいのかは十分把握している。むしろ彼程単純な相手は居ないだろう。
とりあえずその美しさを褒めてやればいいのだから。
ロシュが褒め称える発言をすると、スティレンは満足気に頰を赤らめて「それ程でもぉ」と満更でもない様子を見せた。
「やっぱり俺の美しさは誰からでも分かるんですね」
「ええ、ええ」
にっこりと笑うロシュ。
怪訝そうな顔のリシェは、単純極まりない従兄弟に対しておめでたい頭をしているなと呆れていた。
簡単なスティレンとは違い、リシェは逆に分かりにくい。
「ほらリシェ。俺が誰の目から見ても美しいって分かっただろ?お前みたいに何のお手入れもしない奴はそのうち劣化速度が早くなっていっちゃうんだ」
「何の話をしているんだお前は」
二人が言い合っているのを目の当たりにするロシュは、性格は違えど似た雰囲気を持つ者同士を眺めているのも悪く無いなと唸る。どちらも文句の付けようのない美少年だ。
二人が絡むのを愛でるのも悪くない気がする。
「折角持って生まれた素材を生かしていかなきゃ損だって言いたいのさ。何の手入れもしないで顔を洗う時もタオルをごしごししてる程度の奴が他からちやほやされるのっておかしいって。お前はとにかく何してもガサツなんだから」
「お前が異常なだけだろうが。洗顔も手間掛けて、終わったかと思えば変な液体やらクリームやら必死に塗りたくって。それ必要なのか?そうじゃないだろう」
自分の都合のいい妄想をしているロシュの前で、二人は言い合いを初めていた。話をしているうちに妙に殺伐としてきた様子だったが、ロシュには美少年二人が仲睦まじく絡み合っているようにしか見えないらしい。
この二人を両側に侍らせて可愛がるっていうのも悪くは無い気がするなぁ、と薔薇色の妄想を働かせていた。
真っ白なレース付きの寝巻を着せたりするのもいいし、足が見えるハーフパンツを穿かせてほんのり色気を出しても最高だ。
「ううん」
ロシュは自分で作り上げた妄想についぐっと喉を鳴らす。
「大体、そうまでやってても周りの奴らなんてお前の事なんて見てないからな。実際俺はお前をそこまで見ていない。だから他の奴も見る訳が無いのだ」
従兄弟のあまりの自意識過剰っぷりに、リシェもうんざりしたように歯をギリギリさせながら否定していた。
「は??はぁああ?お前は元から見る目が無い上に趣味も悪いからそう言えるのさ。てか、俺を見過ぎて慣れてるんでしょ?あーあ勿体無いね、お前が実に恵まれた環境に置かれているのか分からないとか」
「見過ぎてうんざりしている所だったのにお前が勝手に俺に付いてきたんじゃないか」
「ちょっと、まるで俺がお前を追い掛けてきたみたいに言わないでよ!」
「実際その通りだろうが、自覚がないのか」
「俺がこっちに来たのはお前が悪さをしないかって不安になっただけなんだけど!?」
「俺が悪さをするだと!?」
会話がヒートアップしている中、やはりロシュの妄想は続いていた。その中身を聞いていないせいもあり、二人が仲良く会話をしているように見えているようだ。
自分の両側に二人侍らせている最中、自分の目の前で彼らが絡み合う妄想をして堪らない気持ちに陥ってしまう。
「(あぁっ…凄っ…これ最高じゃないか、二人の美少年が乳繰り合うのって!!)」
いけない想像をしてしまう中、ロシュは鼻がつーんとする感覚を覚えた。良く知った感覚だ。反射的にハッと我に返り自らの鼻の下に手を当てる。
そして赤い液体に「ああ」と声を上げた。
それまで言い合っていたリシェとスティレンは、ロシュを見上げると驚いた様子で悲鳴を放つ。
「え!?」
「ろ、ロシュ先生!?どうしたんですか!?何で鼻血!?」
スティレンはポケットからティッシュを彼に差し出すと、心配そうな面持ちで大丈夫ですかと問い掛ける。
「あ、ありがとうございます…いや、結構こうなってしまうんですよ私。気にしないで下さい…」
受け取ったティッシュの礼を言いながら、自分勝手な妄想をするのを止める。
心配してくれる二人の生徒のあらぬ妄想をして鼻血を噴いたなんて口が裂けても言えない、とロシュは思った。
次の授業の為に教室から移動している最中、リシェは保健医のロシュと偶然かち合ってしまった。リシェの姿を見るなり心底嬉しそうなロシュとは逆に、当の本人は嫌そうに眉を寄せている。
隣のスティレンは完全営業スマイルで「こんにちはぁ」とロシュに挨拶をした。
「こんにちは、スティレン。今日も綺麗ですね」
元の世界での記憶があるロシュは、スティレンに対してどういう言葉を投げ掛けてやればいいのかは十分把握している。むしろ彼程単純な相手は居ないだろう。
とりあえずその美しさを褒めてやればいいのだから。
ロシュが褒め称える発言をすると、スティレンは満足気に頰を赤らめて「それ程でもぉ」と満更でもない様子を見せた。
「やっぱり俺の美しさは誰からでも分かるんですね」
「ええ、ええ」
にっこりと笑うロシュ。
怪訝そうな顔のリシェは、単純極まりない従兄弟に対しておめでたい頭をしているなと呆れていた。
簡単なスティレンとは違い、リシェは逆に分かりにくい。
「ほらリシェ。俺が誰の目から見ても美しいって分かっただろ?お前みたいに何のお手入れもしない奴はそのうち劣化速度が早くなっていっちゃうんだ」
「何の話をしているんだお前は」
二人が言い合っているのを目の当たりにするロシュは、性格は違えど似た雰囲気を持つ者同士を眺めているのも悪く無いなと唸る。どちらも文句の付けようのない美少年だ。
二人が絡むのを愛でるのも悪くない気がする。
「折角持って生まれた素材を生かしていかなきゃ損だって言いたいのさ。何の手入れもしないで顔を洗う時もタオルをごしごししてる程度の奴が他からちやほやされるのっておかしいって。お前はとにかく何してもガサツなんだから」
「お前が異常なだけだろうが。洗顔も手間掛けて、終わったかと思えば変な液体やらクリームやら必死に塗りたくって。それ必要なのか?そうじゃないだろう」
自分の都合のいい妄想をしているロシュの前で、二人は言い合いを初めていた。話をしているうちに妙に殺伐としてきた様子だったが、ロシュには美少年二人が仲睦まじく絡み合っているようにしか見えないらしい。
この二人を両側に侍らせて可愛がるっていうのも悪くは無い気がするなぁ、と薔薇色の妄想を働かせていた。
真っ白なレース付きの寝巻を着せたりするのもいいし、足が見えるハーフパンツを穿かせてほんのり色気を出しても最高だ。
「ううん」
ロシュは自分で作り上げた妄想についぐっと喉を鳴らす。
「大体、そうまでやってても周りの奴らなんてお前の事なんて見てないからな。実際俺はお前をそこまで見ていない。だから他の奴も見る訳が無いのだ」
従兄弟のあまりの自意識過剰っぷりに、リシェもうんざりしたように歯をギリギリさせながら否定していた。
「は??はぁああ?お前は元から見る目が無い上に趣味も悪いからそう言えるのさ。てか、俺を見過ぎて慣れてるんでしょ?あーあ勿体無いね、お前が実に恵まれた環境に置かれているのか分からないとか」
「見過ぎてうんざりしている所だったのにお前が勝手に俺に付いてきたんじゃないか」
「ちょっと、まるで俺がお前を追い掛けてきたみたいに言わないでよ!」
「実際その通りだろうが、自覚がないのか」
「俺がこっちに来たのはお前が悪さをしないかって不安になっただけなんだけど!?」
「俺が悪さをするだと!?」
会話がヒートアップしている中、やはりロシュの妄想は続いていた。その中身を聞いていないせいもあり、二人が仲良く会話をしているように見えているようだ。
自分の両側に二人侍らせている最中、自分の目の前で彼らが絡み合う妄想をして堪らない気持ちに陥ってしまう。
「(あぁっ…凄っ…これ最高じゃないか、二人の美少年が乳繰り合うのって!!)」
いけない想像をしてしまう中、ロシュは鼻がつーんとする感覚を覚えた。良く知った感覚だ。反射的にハッと我に返り自らの鼻の下に手を当てる。
そして赤い液体に「ああ」と声を上げた。
それまで言い合っていたリシェとスティレンは、ロシュを見上げると驚いた様子で悲鳴を放つ。
「え!?」
「ろ、ロシュ先生!?どうしたんですか!?何で鼻血!?」
スティレンはポケットからティッシュを彼に差し出すと、心配そうな面持ちで大丈夫ですかと問い掛ける。
「あ、ありがとうございます…いや、結構こうなってしまうんですよ私。気にしないで下さい…」
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