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真・らぶ・CAL・てっと 七十
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自分の家へ到着した留美は片手で家を示し
「ここ、あたしの家なの」
と告げ、導くように玄関を入っていった。
治の細く可愛らしい手を引きながら
「みんな入って。 紹介するからね」
と促した。
その直後、治は硬直した。
それは留美の言葉のためではない。
「お嬢さん、おかえんなせえやし!」
というような……本職は自衛官、見てくれはヤクザの着流し兄ぃ、というコワモテのお兄さんたちの出迎えのためである。
その声には佑も軽くビクッ!とし、由香は割り合い慣れていて平気だった。
当然だが留美はへっちゃらだったが、治は……気の毒にも留美とは真逆だった。
つまり、顔面蒼白、心臓バクバク、足はガクガク……と、薄幸の美少年の描写としてはおよそ似つかわしくない状態であったのである。
昔ならコレに……いや、品が落ちるので詳細は避けよう。
「きゃ、治クン!」
はっとして留美は治をいたわった。
「平気だから、ね、治クン この人達はねあたしの父の部下なの」
「え」
留美を見つめるその瞳が明らかに
「うそだ!」
と言っている。
佑と由香は確かにその声を聞いた。
「あたしは慣れてるモンで……治クンみたいに怖がる人もいるってこと……すっかり忘れてて……ごめんね?」
佑の事はもっと忘れていないか?と訊きたくなるような留美の口調。
だが、それはもちろん留美なりの気遣いである。
(今回大事なのは『佑とユカ』の仲直りだモンね)
とはっきり把握していたのだ。 だから、必要以上に治をなでなでするのである。
治はふるふると力無く首を振り
「だいじょうぶ……ですから」
もちろん、なでなでの理由は、治が『かわうぃっ!』からであるのも……否定はできない。
今回、留美が『かわうぃ!』とやらかさなかったのは、実家の玄関だからだろう。
他の所ならかなり危ないほどの治の可わ愛さであったからである。
治の病気は全快し、だからこそ両親・叔母夫婦は『全快パーティ』を何日も催したわけだが……。
健康体だといっても、そのショックはかなりキツかった。
治は、まだまだ『かよわい』美少年なのである。
憧れの上級生に抱きしめられ、キスをされ、愛を受け入れてもらえて、もう一度抱きしめられた……ここまでは幸せなショックだったが、ラストがコレである。 そこまでギャップの落差が激しいと健康な佑でもけっこうドキドキだ。
彼の病気が心臓関係だったらまずかったかもしれないが、幸いにも違ったのでなんとか無事だったのである。
もちろん、佑も治をいたわろうとしたが、(失礼なんじゃないかな)とか(出しゃばると悪いかも)とか(説得力が無いかもしれない)とか考えているうちに機を逃したのだった。
ややあって、治の具合が落ち着いたあと、治は三人の詳しい釈明(笑)を受け、お兄ィさん自衛官の身分証を見せて貰ったりといろいろとあったが、それは割愛する。
「ほら、お前さん、行くよ! あんたらもだよ! 買い物行くからついといで!」
佑、及び由香が訪問したとき御用達(?)の、留加のお出かけ鶴の一声が今回もあった。
「それじゃ皆さん、ごゆっくり」
更に
「坊ちゃん、驚かせてしまったようですみません」
「顔は怖いですが、気のいいやつらばかりですから驚かないでやってくだせえ」
着流しの兄ィに口々にそんなことを言われて、治は驚きの連続であった。 もちろんさっきのやつとは驚きのベクトルが違う。
(……世のなか……油断できないんだなぁ……留美さんも……油断出来ないひとみたいだったけど……)
そんなことを思いながら、ポッと顔を赤らめる治。
彼もまた、思春期なのであった。
(留美さんの……柔らかかった……)
従姉妹の茗よりもかなり発育が良かった。
別に茗のに触れたことがあるわけではない。
しかし、目測では……いや、治はそういう目測で女子のサイズを測れるような特技はないから、言及するだけ無駄だろう。
そして、
留美の両親と兄ィ然とした自衛官たちが全員着物姿で出かけ、街の人々の目を丸くさせている頃、ようやく治の様子も落ち着いた。
留美は戸締まりを確認し、一同はやっと留美の部屋へと向かったのである。
……徒歩十五秒程度の、留美の部屋へ。
「ここ、あたしの家なの」
と告げ、導くように玄関を入っていった。
治の細く可愛らしい手を引きながら
「みんな入って。 紹介するからね」
と促した。
その直後、治は硬直した。
それは留美の言葉のためではない。
「お嬢さん、おかえんなせえやし!」
というような……本職は自衛官、見てくれはヤクザの着流し兄ぃ、というコワモテのお兄さんたちの出迎えのためである。
その声には佑も軽くビクッ!とし、由香は割り合い慣れていて平気だった。
当然だが留美はへっちゃらだったが、治は……気の毒にも留美とは真逆だった。
つまり、顔面蒼白、心臓バクバク、足はガクガク……と、薄幸の美少年の描写としてはおよそ似つかわしくない状態であったのである。
昔ならコレに……いや、品が落ちるので詳細は避けよう。
「きゃ、治クン!」
はっとして留美は治をいたわった。
「平気だから、ね、治クン この人達はねあたしの父の部下なの」
「え」
留美を見つめるその瞳が明らかに
「うそだ!」
と言っている。
佑と由香は確かにその声を聞いた。
「あたしは慣れてるモンで……治クンみたいに怖がる人もいるってこと……すっかり忘れてて……ごめんね?」
佑の事はもっと忘れていないか?と訊きたくなるような留美の口調。
だが、それはもちろん留美なりの気遣いである。
(今回大事なのは『佑とユカ』の仲直りだモンね)
とはっきり把握していたのだ。 だから、必要以上に治をなでなでするのである。
治はふるふると力無く首を振り
「だいじょうぶ……ですから」
もちろん、なでなでの理由は、治が『かわうぃっ!』からであるのも……否定はできない。
今回、留美が『かわうぃ!』とやらかさなかったのは、実家の玄関だからだろう。
他の所ならかなり危ないほどの治の可わ愛さであったからである。
治の病気は全快し、だからこそ両親・叔母夫婦は『全快パーティ』を何日も催したわけだが……。
健康体だといっても、そのショックはかなりキツかった。
治は、まだまだ『かよわい』美少年なのである。
憧れの上級生に抱きしめられ、キスをされ、愛を受け入れてもらえて、もう一度抱きしめられた……ここまでは幸せなショックだったが、ラストがコレである。 そこまでギャップの落差が激しいと健康な佑でもけっこうドキドキだ。
彼の病気が心臓関係だったらまずかったかもしれないが、幸いにも違ったのでなんとか無事だったのである。
もちろん、佑も治をいたわろうとしたが、(失礼なんじゃないかな)とか(出しゃばると悪いかも)とか(説得力が無いかもしれない)とか考えているうちに機を逃したのだった。
ややあって、治の具合が落ち着いたあと、治は三人の詳しい釈明(笑)を受け、お兄ィさん自衛官の身分証を見せて貰ったりといろいろとあったが、それは割愛する。
「ほら、お前さん、行くよ! あんたらもだよ! 買い物行くからついといで!」
佑、及び由香が訪問したとき御用達(?)の、留加のお出かけ鶴の一声が今回もあった。
「それじゃ皆さん、ごゆっくり」
更に
「坊ちゃん、驚かせてしまったようですみません」
「顔は怖いですが、気のいいやつらばかりですから驚かないでやってくだせえ」
着流しの兄ィに口々にそんなことを言われて、治は驚きの連続であった。 もちろんさっきのやつとは驚きのベクトルが違う。
(……世のなか……油断できないんだなぁ……留美さんも……油断出来ないひとみたいだったけど……)
そんなことを思いながら、ポッと顔を赤らめる治。
彼もまた、思春期なのであった。
(留美さんの……柔らかかった……)
従姉妹の茗よりもかなり発育が良かった。
別に茗のに触れたことがあるわけではない。
しかし、目測では……いや、治はそういう目測で女子のサイズを測れるような特技はないから、言及するだけ無駄だろう。
そして、
留美の両親と兄ィ然とした自衛官たちが全員着物姿で出かけ、街の人々の目を丸くさせている頃、ようやく治の様子も落ち着いた。
留美は戸締まりを確認し、一同はやっと留美の部屋へと向かったのである。
……徒歩十五秒程度の、留美の部屋へ。
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